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老害防止に議員の定年制を導入してはどうか

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管理しているスペースで老害を防止するために議員に定年制を導入してはどうかという投稿があった。最初は炎上するのではと思ったのだが、そうはならなかった。日本の議会政治が閉塞していてそれを「老害のせいだ」と思っている人は多いらしい。

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そもそも、議員が高齢化しているというのは事実無根である。議員の平均年齢は50代の半ばだからだ。おそらくは大臣に高齢者が多く目立っているだけなのだろう。最近では台湾(中華民国)のIT担当大臣活躍したというニュースもあり若返れば日本の政治がよくなるのではないかと感じた人も多かったのかもしれない。

70歳定年ではまだ甘いという人まで現れた。60歳にすべきだというのである。恣意的に公民権を停止するのは如何なものかと思うが、ここまで荒唐無稽だとなんとなくシャレで済みそうな気がしてきた。

おそらく高齢者が議員でい続けるのは引退後の行き場がないからだと思う。そのため元気が有り余った元議員たちが裏で暴れまわることも増えてきた。例えば森喜朗・小泉純一郎・菅直人・鳩山由紀夫などの首相経験者はそれぞれ「自由に」発言して状況を混乱させたりしている。古賀誠のようにキングメーカー化している人もいる。

そこでこういう人たちを元老院に集めて相談役として衆議院を監査させてはどうだろうかというアイディアを思いついた。バカなアイディアなので否定されるかなと思ったのだが肯定的な意見もついた。

一旦思いついてみるとこの元老院制度にはいい点がたくさんあると思う。つまり、高齢者には高齢者の役割があると思う。

  • ある一定の年齢に達した議員に名誉を与えることができる。居場所を作ってやれば引退しやすくなるだろう。
  • 人格という漠然とした基準を作れば「元老になりたい」現役議員が自制的に動いてくれるかもしれない。例えばヤジなどをなくす効果もあるのではないか。
  • 現役議員が逸脱した振る舞いをしても「参考意見」という形で元老院が諫めてくれれば自粛してくれるかもしれない。

ただしもとのスレッドには慎重論もついている。年寄りだから黙っていろと言われていい気分がしない高齢者も多いはずである。議論がシャレで進んでいることもありこうした慎重論には返信がついておらず「無視された状態」になっているのがちょっと心苦しいところだった。

なんとなくよく見える元老院制度だが副作用はあるのかなと思った。それが「張本勲効果」である。サンデーモーニングを見たことがある人は張本勲さんの「老害ぶり」に反感を覚えている人もいるだろう。張本さんの知見は現代野球やその他の現代スポーツにキャッチアップできていない。にもかかわらず張本勲さんが重用されるのは高齢化した視聴者の代表意見になっているからである。つまり、自由で無責任な意見はさらに状況を混乱させることがある。

高齢の有権者はおそらく現役議員ではなく元老の方の意見に賛同することになるだろう。数としては高齢者の方が圧倒的に多いうえに今の複雑な状況は理解できない。さらに、高齢有権者にとってみれば現役議員は若造であり尊敬の対象ではない。そこで議決権がなく日本の政治に責任を取らなくて済むようになった元老たちが「くだらない」「理解できない」と騒ぎ出せばそれは確実に高齢有権者の心に響くことになる。実はますます老害を呼び込んでしまうかもしれないのだ。

普通選挙制度はそもそも低所得層を納税者として政治に取り込むために始まった制度である。社会主義に取り込まれないように戸別の政治活動も制限したうえで投票にだけ縛り付けたといえる。これを考え合わせると、被選挙権を奪うと高齢者を議会政治から解き放つことになるのかもしれない。いわゆる「時事放談」が投票行動に影響を持つようになるのだ。

おそらく元老制度の最大の問題はここにある。今でも日本の有権者は政治に責任を感じていない。それは政策立案と話し合いを制限しているからである。自分で決めたわけではないことに責任を持つ人はいないのだ。おそらく「老害」を議決から排除することはこの無責任さに拍車をかけることになるのではないかと思う。政治とは難しいものだなと思う。

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