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再び緊張するヨーロッパ移民危機とゲーム駒にされる移民・難民

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我々がCOVID-19のニュースに釘付けになっている隙にヨーロッパでは再び緊張が起きている。トルコがEUに難民を押し出そうとしているのだ。

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この一報を知ったのはAFPの英文のTwitterである。緊迫したやり取りがそのまま伝わってくる。一連のスレッドはここから読める。偶然かもしれないがCOVID-19騒ぎを利用したのかもしれない。

ことの発端はシリア情勢でヨーロッパにプレッシャーをかけたいエルドアン大統領が「ヨーロッパに何百万人もの難民を送る」と発言したことだった。実際にギリシャ国境を解放して難民たちをヨーロッパに向かわせたことで「これは単なる脅しではない」と気がついたようだ。

EU側はこれに反発し「Blackmailは送れない(つまり恫喝できない)」などと反発したが裏ではお金で解決しようとしたようだ。実はこれまでも協力金の名目でトルコにお金を支払っていた。ヨーロッパの要求は身勝手だ。自分たちは繁栄したいが移民は受け入れたくない。トルコをヨーロッパの仲間には加えたくない。だからお金でトルコに移民難民を押し付けてきたのである。トルコは自分たちが移民・難民のゴミ箱になっていることはわかっている。だから一旦はお金を受け取りつつ今度はそれを恫喝の道具に使った。どっちもどっちである。

トルコからは追い出されギリシャに入れない難民はすでに人権問題になっている。UNHCRは「ギリシャの行動には法的根拠がない」と発言したという。BBCの取材によると、ギリシャ当局はナンバープレートを隠した車に覆面をした係官が乗り難民の取り締まりをしているようだ。それでも難民たちはシリアではなくアフリカやアフガニスタンなどの他地域から「良い暮らしを求めて」ヨーロッパに渡りたいと考えている。彼らは必ずしもシリア紛争の難民ではない。多くの経済移民が含まれている。移民が目指す先はドイツだ。

今シリアはどうなっているのだろう。この記事によると、トルコは「国民解放戦線」を支援しシリア政府とロシア軍の連合体や攻撃してる。Wikipediaにはシリア内戦の武装勢力一覧という記事ができている。もはや誰がどうなっているのかよくわからない。まさに泥沼だ。

今回の直接のきっかけはアメリカの撤退だった。アメリカもまたイラクに入ってくるISさえ掃討できれば資源のないシリアに興味はない。アメリカが撤退することでトルコとシリア・ロシアが直接対決することになった。ロシアはシリアに海軍権益を持っている。地中海に出る通路になっているのである。朝日新聞の記事によると2019年10月にアメリカがトルコから撤退を表明した。トルコは自国にいるシリア難民をシリア国境に押し返しシリア国内に「安全地帯」と呼ばれる帰還地を確保しようとしたようだ。トルコにはなんと360万人のシリア難民がいるそうだ。AFPの冒頭の記事では400万人と書かれている。

トルコはイドリブ県で19名のシリア軍兵士を殺害しておりロシアとも対決しそうな勢いである。トルコはこの状況を有利に進めるためにヨーロッパを味方にしたい。だから恫喝しようとしているのである。

Business Insiderで黒井文太郎さんは自体は複雑でないと書いているが十分に複雑である。おそらくこの結び目が自然に解けることはないだろう。

  • アメリカ合衆国はイラクのISを掃討してしまい「もう意味はない」としてシリアからほぼ完全に撤退した。
  • アメリカに攻撃される恐れがなくなったトルコは躊躇なくシリアを攻撃した。
  • シリア・ロシアもアメリカがいなくなったのでこれまでアメリカがいた地域に展開した。
  • トルコとシリア・ロシアが直接対決することになった。

ヨーロッパはトルコに「あまり派手なことをするな」と言ってきた。一方で国内に難民を受け付けずトルコに「お金で押し付けてきた」とも言える。さらにアフリカやアジアには貧しいままの国があり「自分たちの国がどうにもならないなら逃げ出してヨーロッパに行きたい」と考える人たちがいる。表面的にはトルコが酷いように見えるのだが、実はヨーロッパは過去のツケを支払わされているだけなのかもしれない。

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