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リベラルはポピュリズムの温床になる

今回の文章は思いつくままに一度書いたのだが、何が言いたいのかよくわからなかった。Twitterを見ながらいろいろ考えたところ次のような結論が得られた。が、感覚的にはいろいろ許容できないところがある。心情的には人権伸長という意味でのリベラリズムが勝利すべきだと考えているからだろう。だが、考察結果はそうはならなかった。反論や政党の主張などがある方はコメント欄を利用していただきたい。感情的な反論を避けるために掲載の権利はこちらで持たせていただくができるだけ多様な意見を残したいと考えている。

日本では安倍政権の嘘が庶民階層の暴走を防いでいる。嘘が解消しなければ、やがて不満がティッピングポイントに達してポピュリズムが蔓延する。その担い手は二つ考えられる。第一の候補は共産党を中心としたリベラル勢力だ。一方で、リベラルに支持が集まらなければ自然法則に従って均衡化が進行する。それがハイパーインフレである。資産フライトができない人たちは全ての資産を失うので結果的に貧富の格差が解消する。これは究極のポピュリズムである。

世界各国で民主主義の破綻が問題視されている。ここでいう民主主義の破綻とは複雑さに疲れた民衆が自ら民主主義を手放してポピュリストの独裁者に一任してしまうという事例である。南アフリカ・ブラジル・インドで懸念され、トルコにも同じような現象が見られるようだ。独裁化にはこれといったレシピはないのだが共通する幾つかの特徴も見られるという。経済が行き詰まった国では政治の汚職が蔓延し、それを疑問視した有権者が「民主主義を超越した」強い指導者を求めるのである。

経済が比較的好調なアメリカにも置き去りにされた人たちがおりポピュリズムの萌芽が見られる。選挙プロセスそのものが疑問視され国民の対立を煽る主張で知られるトランプ大統領が当選した。だが、アメリカには経済的に豊かで民主主義を守りたい勢力がおり、それなりに民主主義的な防衛手段も準備されている。最近では17の州とワシントンDCがトランプ大統領を訴えた。地方自治がしっかりしており、ある程度司法もそれに応えていることになる。

日本には「安倍政権がファシズムになるぞ」と脅す人たちがいる。見ていると共産党や社民党といった左派の人が多い。だか、彼らは民主主義的なプロセスが信頼できないので「デモによって民意を反映させよう」という気持ちの強い人たちであり、結果的に独裁化の要件に当てはまってしまうという逆転現象が起きている。

この勢力は韓国で起きた政権交代を支持しているようだ。背景にはオアク政権の汚職体質に対する庶民の怒りがあったのでポピュリズムの要件を満たしている。民主主義や自治の歴史が短い韓国ではこうした非民主的な政権交代が起こるのだが、同時に軍事独裁を経験しているので、独裁化に対する拒絶反応が強い。この微妙なバランスが独裁国家と韓国の違いなのだろう。

また経済政策を無視したバラマキもポピュリズムの特徴だ。これは左派政権を模倣した山本太郎の政策によく表れている。裏にいるのは小沢一郎なので「政権のためにはイデオロギーを利用する」という意味ではよりポピュリストに近いかもしれない。幸いなことに小沢さんにはポピュリストに必要なカリスマ性がない。人を煽ったりルックスの良さでひきつけたりすることができないのだ。そこをルックスの良い俳優出身の非政治家に託しているのだろう。

このため日本では面白い状況が起きている。ヘイト発言を繰り返すのは「ネトウヨ」と呼ばれる人たちである。この人たちは権威主義的に政権と結びついており、リベラルな主張をする人たちに差別的な発言を繰り返す。だが、実際に政権を運営しているのは既得権を持った経営者たちなので、彼らのヘイトが直接政策に結びつくことはない。これがポピュリズムに結びつくと暴発するのだから、政権の嘘が暴発を防いでいることになる。安倍政権はお子様ランチ的にいろいろな政策を詰め合わせているので、結果的にこのような「幸運」が起きているのかもしれない。

暴力性の萌芽は左派リベラル側に顕著に見られる。電気信号的に(つまり政治的主張を外してみると)こちらが対立を煽っているように見えてしまうためなのかリベラル系のTwitterでアカウントが凍結されることが増えているようである。彼らが権威と結びつけば旧弊で人権を理解しない人たちを対象にした「親父狩り」が始まるだろう。

このように「必要悪」的な要素のある安倍政権の嘘だが、すでにルビコン川を渡っているという観測がある。

安倍首相は就任当時からある嘘をついている。それは株価である。この週刊朝日の記事によると現在の株価水準は12000円程度程度であるべきなのだそうだ。日銀と年金が株価を押し上げているのである。参議院の財政金融委員会の議事録などを読んでみたのだが、野党側の追求の歯切れが悪い。

安倍首相がこの政策を止めてしまうと株価が下がる可能性がある。バブルは大蔵省が加熱する土地の値段を抑制したことで崩壊した。株価バブルが弾けるとそれと同じかあるいはそれよりも悪いことが起きる可能性がある。話し合いにで他者との調整をすることが苦手な日本人は、絶対に上がるという土地を頼るようになった。これがなくなると日本人は何を信頼していいかわからなくなった。不安にかられた企業は内部に自己資金を溜め込む道を選び給与や投資として分配しなくなりこれが現在の恒常的な「デフレ状態」の原因になっている。

誰も表立っては言わないが、多くの経済人は「政府がバブルを起こしてくれないかな」と期待していた。これを成し遂げてくれたからこそ安倍政権は支持されているのだし、今後の政権はこれを引き継がざるをえない。

このため日銀出身の大塚代表はある程度以上は問題に踏み込まない。自分たちが政権を引き継いでも同じようなことをしなければならないからだ。またハイパーインフレを恐れているとされる藤巻議員も「ブレーキがないのではないか」という指摘はするが深くは追求しない。Twitterで藤巻さんは仮想通貨で資産フライトができると言っている。この人の狙いはハイパーインフレの回避ではなく仮想通貨のプロモーションにあるようだ。個人資産がベータテスト状態で何の保証もない仮想通貨に流れると言う危険性がある。政府与党の人ならばとてもこんなことは言えないであろう。維新は政党として政権を取るつもりがないのかもしれない。加計学園が野党に利用されているのは実害がないからなのだが、日銀の場合は嘘の暴露がそのまま経済の破綻につながる。だから野党は加計学園にこだわるのだ。

株価が下がり金融危機が起これば「野党が引き金を引いた」と見なされるだろう。一部では黒田総裁にも後継者がいないのではと言われているそうだ。すでに「職人芸」によって危ない綱渡りを始めている可能性があり誰も引き継げないということだ。

いずれにせよ、安倍政権はすでにポピュリズム的な政策に手を染めている。これを喧伝する必要がなかったのはすでに野田政権の「敵失」で政権を取っていたからだ。庶民がポピュリズムを帰厩しなくて済んでいるのは実は安倍政権がすでに手を染めているからなのである。

ただ、この政策がいつまでも続く保証はない。トルコではすでに通貨下落が起きているそうだが、民族資本が日本に比べると薄いという事情がある。日本は資産規模が大きいので問題が露見しにくい。逆に問題が起きた時には誰も救えなくなるだろう。

日本の政治を見ていると「GHQのような存在が仲裁してくれればいいのに」と思うことがあるのだが、ハイパーインフレシナリオではIMFがGHQの代わりをすることになるのかもしれない。しかし、破綻規模が大きすぎるのでIMFが破綻した経済を数年で戻すというようなことができないだろう。優れた人材が残れば復興は可能だが、その時になってみないと何が起こるかはわからない。

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