北朝鮮からの漂着者8名が秋田県の由利本荘市に流れ着いた。途中でエンジンが壊れて流されたのだと言っているそうだ。彼らは「北朝鮮に帰りたい」と言っているので、中国を経て北朝鮮に帰る見込みだという。男鹿市でも漂着船が見つかり、こちらは一部白骨化した遺体が乗っていたそうだ。能登でも一部生存者がいたというが漂着船が見つかっている。
さらに、北海道の松前小島の近くではやはり船が見つかり10名が発見された。松前小島に退避して小屋にあった家電を盗んで自力で脱出しようとした可能性があるという。松前小島は無人島だが、灯台と漁船待避用の小さな漁港備えている。梶が壊れていたということだが、海流の関係上自力で北朝鮮に帰るのは難しかったのではないだろうか。漂着者が大量に出るということは海流が西から東に流れているそうだ。対馬海流は津軽海峡に流れ込むので流れに乗ると北海道南部から東北にかけての日本海側に行き着くのである。
日本海の漁場では去年の秋頃から北朝鮮船が見つかっており日本船の操業を圧迫しているという。中には武装した船があったとの報告もある。ニュースを読み返すと、夏頃には海上保安庁が「追い払った」と言っていたのだが、また戻ってきたようである。船が荒れていて巡視船が出せないという状況があるのかもしれない。
巡視船がまともに出ることができないほど海が荒れているのに北朝鮮からの船が流れ込んでくる背景には北朝鮮の困窮がありそうだ。食料事情が逼迫しており国が漁業を奨励している。軍が先導しているという話もあり「冬季漁獲戦闘」とも呼ばれているそうである。まともな食料や燃料を与えずに現場に放り出すというのは日本のインパール作戦に似ている。いつもこのような状況をみると日本は悪い文化見本を輸出したものだと思う。
日本の排他的経済水域にある大和堆は豊かな漁場として知られ、危険を承知でこの海域にやってくる船があるようだ。中には大きな船に引っ張ってもらいここまでくる木造船もあるのではないかと言われている。しかしながら、設備に余裕がなく「船が壊れたら流されるだけ」という状態になっている。つまり、北朝鮮の沿岸から直接漂着することはないのだが、どうにかして大和堆あたりまでくると対馬海流に流されて東北から北海道二流れ着くのである。読売新聞には4〜5日で到達可能だという話も載っている。
しかし、沿岸警備は極めて手薄だ。北朝鮮の人たちは誰にも見つかることなく上陸し民家に助けを求めたという。いきなり呼び鈴が鳴らされて「意味のわからない外国語」で話しかけられたということだから、とても怖かっただろう。
にもかかわらず自民党政府はこの件について極めて無関心である。アメリカからミサイル防衛システムを買ったり、北朝鮮を蔑視・挑発するのには熱心だが、海上保安庁の人員を増やして警備をしたりする計画もないようだし、地元に警備のための人員をさくつもりもない。普段から「国民の安心・安全を守る」というのが形ばかりのものであるということがわかる。派手な形ばかりを求め、地道に安全を守ろうなどということはやりたくないのだろう。
政治家は何もやらないばかりか、不安を煽り立てるようなことばかり言っている。麻生元首相・元副首相は「武装難民に備えなければならない」と言っており、青山繁晴議員は天然痘に感染した生物兵器を送り込まれるかもしれないなどと言っている。
このような状況が作り出されたのは国際的に北朝鮮を追い詰めた結果である。国防上仕方がないことなのかもしれないのだが、後始末も淡々と行うべきだ。
にもかかわらず、政府はこれといった対策も立てず、地方に後始末を丸投げしている。さらにいつもかっこいいことを言っている国会議員も不安を煽るばかりで具体的な対応策について語ろうとはしない。多分、北朝鮮問題だけではなく、あらゆる側面でこのようなことが行われているのではないかとすら思えてくる。