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年内解散のメッセージ効果とは何か

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気が狂っているのではないかと思った。年内解散という話が出ているらしい。数年前ならば「解散権の乱用であり決して許されるものではない」というようなことを書いたと思うのだが、もはやそのようなことを書くつもりはない。どうやら安倍政権のデタラメぶりに慣れてしまったようだ。

だが、同時に年内解散はないのではないかとも思った。

安倍首相のオブジェクティブは明確である。好きなように仕事をやりたいのに野党がいろいろと難癖をつけてくるのが許せないのだ。自分たちの仲がいい人たちに便宜を図るのは当然のことだし、海外で偉大なリーダーとして拍手喝采をしてもらうためには国内整備もしなければならない。

このこうるさい野党を黙らせて自滅させるにはどうしたらいいだろうか。それは彼らに「課題」を与えることである。どうやら民進党には「次は当選できないかもしれない」と考える議員が多いらしい。彼らは共産党と協力するかどうかということを巡ってもめているようだ。前原代表が共産党抜きで戦える陣営を整える前に「選挙だ」ということになれば、やはり共産党と連携しようという話になるだろう。すると共産党嫌いの人は抜けてくれる。分裂した野党はそれほど怖くない。

加えて自民党の中にも安倍おろしを画策するメンバーがいるようである。アメリカに行って好き放題放言したい副首相を筆頭に、憲法改正についてケチをつけてくる石破さんのような人もいる。彼らはどうしようもないが、公認権などをほのめかせば造反は防げるだろう。

つまり、解散は内外への恫喝の道具になっているのである。

もし解散をするのであれば野党の準備が整っていないほうがよいのだから、おおっぴらにマスコミに流れるようなやり方で「総選挙の検討を指示」なんかするはずはない。

ということで、解散をほのめかしつつ数ヶ月を過ごせば野党はガタガタになって自滅してくれるのではないだろうか。

実際には選挙をやってくれたほうが、いろいろとすっきりする。この場合、民進党が中途半端に買ってしまうより、負けてしまったほうがよいようにすら思える。

民進党には2つのオプションがある。1つは独自の再編がうまくゆかず結局共産党と組まざるを得なくなるというものだ。もう1つは意地を通して共産党なしで戦うというシナリオである。

ここで、民進党が独自で勝つと、政策立案能力の強化を求めて自民党と協力してしまうという「補完勢力シナリオ」が出てくる。だが、民進党独自の政策はなく、支持者もいないので、こういうことは起こらないのではないだろうか。

一方で、民進党が独自で戦い自民党に負ければ「攻撃材料が豊富なのに勝てなかった」ということになるので、前原おろしが起こるだろう。すると残るのは民共協調路線である。

つまり、民進党が単独で勝つということさえなければ、どちらにせよ民進党は政策提案を捨てて自民党攻撃に専念せざるを得なくなる。攻撃さえあれば、数は少なくともネタを求めたマスコミが騒ぎ出すので、自民党の(というより安倍政権の)支持率は下がって行くだろう、

こうなると選挙はできないので、自民党は4年の間安倍おろしに専念できるわけである。

ここで重要なのは若狭さんのようなポピュリストたちが勢力を得る可能性がなくなってしまうということである。彼らが注目されているのは次の選挙で勝つのではないかと思われているからである。さらに、選挙候補者になれるかもしれませんよといって講演会商売をしているので、選挙がなければこのまま減衰する可能性が高い。

つまり、解散はブラフだとは思うものの、解散してもらったほうが好都合だと言える。懸念材料はむしろ民進党が単独でそこそこ勝手しまうというシナリオだが、これは無視しても構わないほど低い可能性しかない。自民党が勝っても負けてもどちらでもよい。どちらにせよ予算を通すためには国会を開かなければならないわけだし、憲法改正も言い続けてくれたほうが、与党議員の放言を引き出すことができるだろう。

中には「無関心な有権者に自分たちの正当な声が届いていないのが問題なので、急いで政策を作るべきだ」などと言っている人がいるが、幾重にも間違った意見だ。第一にこれまでも政策でまとまったことなどないのでいくら時間をかけても無駄だし、有権者の多くは閉塞状態にはうんざりしているものの政治に怒りをぶつけなければならないほど困窮をしているわけではないようだ。だから、議員の不倫とか放言のほうが政策論争よりも重要視されている。

ということで結論としては解散はやってもらいたいし、やるなら自民党に大勝してもらいたい。

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