長島昭久衆議院議員が除名されたばかりなのに、今度は細野豪志衆議院議員が代表代行を辞任した。発表した憲法試案が執行部に評価されなかったのが面白くなかったというのが表向きの理由らしい。ただちに議員辞職したり離党したりすることはないとのことである。
「なんで今なんだろうなあ」と思った。国民の関心は北朝鮮情勢に集まりつつある。アメリカが北朝鮮に戦争をしかけるとは思えないのだが、一応戦争ができるような体制は整いつつある。情報が錯綜しており予断を許さない状況であることは間違いがない。そんななかで「保守のみなさん」は内輪揉めですかと思ってしまう。この空気の読めなさは民進党の伝統芸のようになっている。
韓半島情勢が緊迫して難民が発生するような事態になれば、去年の夏に安保法制を作っておいてよかったということになるのは明白だ。テレビには自民党の議員が出てきて「アメリカとの間にもっと緊密な軍事的連携を取るべきだ」と訴えている。安倍首相は「北朝鮮はサリンを日本にばら撒ける能力があるんじゃないか」と仄めかした。正直何が起こるかわからない中では「アメリカと太いパイプがある自民党政権は安心だなあ」という印象になる。
そうなれば、護憲派はひとたまりもないだろう。「憲法は弾除けにならない」と思う人が増えるからだ。このところ、そもそも日本人が人権をあまり重要視しないのはなぜなのだろうかと考えているのだが、そもそも日本人は人権が守られているとは思っていないのではないかという結論に達した。あれは綺麗事であって、現実には警察に逆らうとろくなことにならないし、空気に逆らって自分の言いたいことをいうこともできない。だったらそういう不愉快な公共にはできるだけ関わらないで生きていこうという人が多いのではないだろうか。
それとは別に護憲派も信頼されていないのかもしれない。共産党はアメリカは軍事行動すべきではないという声明を出したようだが、なぜ中国や北朝鮮にも同じことを言わないのだろうかと思った。多分パイプがなく影響力を行使できないのだろう。
有事の際に「審議拒否いたします」というのは非常に具合が悪いのだが、執行部はまだ森友問題をやるつもりらしい。自民党が「国防に関わる真剣な議論がしたいのに民進党は週刊誌ネタを追いかけている」などと主張するのは必定だ。もはや国民から何の関心も持たれていない民進党だが、さらにその無関心は高まるに違いない。
森友問題は確かに怪しげな事件だったが結局追い込めなかった。ショーとして持たせるためには小出しに様々な情報が出てこなければならないのだが、2時間ドラマの後半1時間で何もイベントがない状態になっている。民進党はネタ元を抑えているわけではないので追加で何か動きがなければ何もできないだろう。さらに、北朝鮮問題が起きると情報発信者は米軍とのパイプを持った自民党になるので、民進党はさらに「蚊帳の外」ということになる。
様々な問題が次から次へと浮かんでくる中で、細野議員の憲法草案が話題になることはなかった。個人の考えは集団に取り入れられなければ(少なくとも日本では)なかったことと同じになる。国会で2/3を取ることができる見込みはなくマスコミもそれほど関心を寄せなかったのだろう。
結局、空気の読めない民進党が国民からスルーされるということになっている。これが結果的に自民党を増長させることになる。