立憲民主党の枝野幸男氏が「消費税減税はポピュリズムだから減税を目指す議員は別の政党に移るべきだ」と主張した。参議院選挙において立憲民主党は終わったと言って良いだろう。ラベリング(決めつけ)をおこなっても問題は解決しない。
衆参同一選挙が行われるか否かにかかわらず日本の国政は三極化する可能性が高くなった。
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政治がわからない有権者は「属性」で情報を取捨選択している。つまり自分が男性であるか女性であるか、どの世代に属しているかなどを基準に自分達の味方をしてくれる政党を直感的に選択しようとしている。
国家も政党も統計に基づいた意思決定を行わない。だから、議論はどんどん単純化してゆき「給付か減税か」という議論に落ち込んでしまった。公明党のように「給付も減税も」と訴える政党もありもはや票目当てのダンピング合戦の様相だ。
消費税減税をポピュリズムだと断罪することには何ら意味はなく、単に消費税を意識する属性の人々(つまり、普段買い物をするほとんどの国民)の反発を買うだけだろう。
自民党や公明党はこの属性問題を「国民全体にお金を配る」ことで解決しようとしている。立憲民主党にも属性問題を越える策はなく単に減税勢力はポピュリストであるというラベリング(要するに決めつけ)で対応するしかない。
これまでシンクタンク作りを怠り選挙中心政党だった立憲民主党もさまざまな選挙目当ての提案や与党批判を展開してきた。その政党が「ポピュリスト批判」を行うとは……と呆れるよりほかはない。
党内ポピュリズムと断罪された議員たちはすでに減税提案をしている国民民主党と行動をともにした方がよさそうである。枝野幸男氏も野田佳彦氏も分断された立憲民主党を救うことはできないだろう。
では国民民主党には問題はないのか。実は国民民主党の提案も世論の反発を受けている。以前提案した「若者対策」が「氷河期世代」の反発を買っているという。
自民党と立憲民主党は「国民」を前提にしている。ところが玉木雄一郎氏は「そもそも国民などいない」ことに気がつきターゲティング戦略に切り替えた。ターゲットのニーズを汲み取りプロアクティブな提案を行い支持を拡大するという手法だ。
立憲民主党が成功した時代はテレビ時代の末期だった。つまり「お茶の間」「世帯視聴率」という概念があった。しかし現在は「個人視聴率」が有効な時代だ。企業も政党も「属性」を分析し細かなマーケティングを行わなければならない。玉木雄一郎氏はこの路線変更で成功した。
しかし、このやり方には明らかな問題がある。若者をターゲットにすれば氷河期世代が反発する。さらに生活者をターゲットにすれば引退世代が反発するかもしれない。結局、国民経済全体を豊かにする「成長戦略」なしには国民の分断が進むだけということになる。
だが参議院選挙までに成長戦略を打ち出しそれが実現する可能性はないのだから、少なくともラベリングはやめてターゲットを明確にした打ち出しを行うべきだということになるのだろう。
企業はすでに「ターゲティングの重要性」に気がついている。マクドナルドのような潤沢な予算を持つ企業はターゲットごとに違ったタレントを起用してそれぞれ異なる商品を売り込んでいる。複数のタレントをセットにする予算が限られた企業もある。さらに予算が少ない企業は特定のターゲットを選んで「他のターゲットを捨てる」という取捨選択が必要になる。
立憲民主党はおそらくこの「個人視聴率の時代」に適応できず自民党と一緒に勢力を落としてゆくだろうが、ターゲティングが明確な政党も国民全体の支持を得ることは(原理的に)できないのだから、国政は分局化が進むことになると予想するのが自然だろう。
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