実はニュース選びにちょっと困っている。トランプ関税があまりにも派手なので「国内ニュースも見なければ」と思うのだが目立った動きがない。代わりに聞かれるのは「給付か減税か」というばらまき議論ばかりだ。
普段の政治は「国民生活の向上と少子高齢化の歯止め」のために働いていることになっている。だが、選挙前になるとわかりやすく浅ましい本音が出てくる。
日本経済が一朝一夕に再成長するはずもなく所得の増加なども望めない。だから持っているものをばらまいて議席を維持するしかないと政治家たちは考えているのだろう。
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日本の政治は結果的に過去の勤勉さに助けられた。トランプ関税を翻意させたのは米国債売りだったと考えられているがこれは政府が意図的に行ったものではなかったようだ。
しかしながら永田町が国民に感謝することはない。そればかりか「減税か給付か」という議論ばかりが先行している。国民から絞り上げてきたものを原資に議席を買収したいという気持ちが強く滲んでいるようだ。
自民党は消費税減税に消極的だ。消費税の利率を上げるたびに政権が動揺しているために「自分達が血を流して勝ち取ってきた」という意識がある。鈴木総務会長(財務大臣経験者)のコメントは次のとおり。
一度下げるとですね、元に戻すということも相当な政治的なエネルギーがないとできないということもあわせて考えていかなければならない」
消費税減税に自民幹部から否定的な発言相次ぐ(TBS NewsDig)
このため自民党は給付で他野党は減税という対立構造になっている。
この対立に最も頭を悩ませているのが公明党だろう。本来ならば何らかのポーズをとって最もらしい言い訳を考えるべきところだが、石井代表の落選によって棚ぼた的に代表に就任した「愛すべきポンコツ」斉藤代表はその人の良さを遺憾なく発揮し「だったらどっちもやればいいじゃないか」と言い出した。
自民党はインフレによって生み出された増収分をばらまきの原資にしようと考えている。その水準は一人3万円から5万円といったところ。公明党はそれではインパクトがないから10万円ではどうかと主張。しかし経済成長に特にアイディアがあるわけではないため、ガソリン減税もやりましょう、備蓄米もガンガン放出しましょうと言っている。創価学会の信者たちのお友達を説得するためにはこれくらいわかりやすい表現が求められる。
一方で自民党はどうすればトクになるのかがよくわからなくなっているようである。給付を行うべきという声が多数派のようだが「選挙前のバラマキと「思われてしまう」のではないか」と危惧する声がある。
自民党は「選挙対策ではなく関税対策だ」などと言っているが、そもそもトランプ関税がペンディングになっているうえに、これまでシンクタンクも作ってこなかったために、今後の日本経済がどうなるかという予測が立てられない
これまで新聞を読まなかった人たちは「日本の政治がどのような意思決定をしているのか」がよくわからなかったことだろう。だが実際には日本の政治には意思決定などない。前提になる事実を検討することもなく「なんとなく」で全てが決まってゆくのである。
永田町は国民が長年蓄積してきたアメリカ合衆国に対する貸しによって救われた。だが彼らにはおそらくその自覚がない。また今の日本の政治はその資産を国益の最大化のために生かすことも難しいのだろうと感じる。