当ブログでは「落ちてくる剣は掴むな」「床に落ちてから掴めばいい」と言っている。日本がアメリカと関税交渉を始めたことで日本の株価は持ち直した。嵐は去ったと考えている人も多いだろう。このブログを書き始めた時点ではアメリカの株価も戻っていた。「ああこれで終わったのだ」と感じた人も多かったのかもしれない。
「だが、しかし」だった。
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この日のNYダウは1400超高で始まった。アメリカの投資機関は短期的に成果を出す必要があり今のところ好調なアメリカ経済に資金を戻したいと考えている。前日も噂により一時株価が高騰していたが、今日も同じような動きが起きたのだ。
ではその後どうなったのか。NYダウは520.16ポイント下落して終わっている。投資家は株に資金を戻したいと思っていてその資金もあるのに安心して投資できない。
中国の習近平主席は「アメリカ合衆国とは最後まで戦う」とファイティングポーズを取っている。これに激怒したトランプ大統領が中国に追加関税を課すと表明した。関税額は104%で9日に発動する。トランプ政権は関税交渉に応じる日本と応じない中国に真逆の対応を取り関税に応じる国を増やそうとしている。
だが皮肉なことにアメリカ合衆国は日本ではなく中国製の工業製品に依存している。だから株価が下がった。
アメリカ合衆国では「意味と事実の消失」が起きている。関税計算には根拠がないことがわかっており、もっともらしかった式さえ代入を間違えたという杜撰なものだった。しかしトランプ政権は間違いを認めない。ペンギンとアザラシに関税をかけたのも抜け穴封じだと強弁している。
このため市場はトランプ大統領の発言に一喜一憂し本質的に混乱状態にある。
株価の下落を「数値」で取っている人は考え方を改める必要がある。問題は速度(どの程度のスピードで落ちたり上がったりするか)と変動幅である。ベロシティとボラティリティという。
このためアメリカ合衆国はすでにリセッションに入っており一時的には20%程度株価が下落する可能性があるとする専門家さえいる。
ただしアメリカの企業の価値が根本的に破壊されたわけではないので「長期的にはアメリカの株価は上がるだろう」という認識になっている。
フィンク氏は「長期的に見れば、売り時というより買い時だ。だからといって現値からさらに20%下落する可能性がないというわけではない」とコメントした。
米国はすでに景気後退下、株価さらに20%安も-ブラックロックCEO(Bloomberg)
確かに「今は押し目買いのチャンスだ」という認識は正しいのかもしれない。
しかしそれは中長期投資ができる人に限った話である。ドーパミンに支配された人はギャンブル的相場を愉しみ自己資金の範囲内で損をすればいいと思うが、それ以外の人は日々のニュースを見て「ゲームのルールがどう変化しているのか」を見極める機会にしたほうが良いのではないかと思う。