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「弱者が負けるだけ」 トランプ大統領はゴルフ休暇を満喫

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アメリカでは連日株価の大暴落が続いている。トランプ大統領は株価の下落や物価高にはあまり関心がないようで、平日にもかかわらず自身が所有するゴルフコースでゴルフ休暇を楽しんだとされている。関税に関しては手術が終わったと豪語しており「負ける人が出てくるかもしれないがそれは弱者だからだ」と主張している。

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アメリカ合衆国の経済を再び独立させる偉大な発表を終えたトランプ大統領はゴルフ休暇に入った。おそらく税金の入った政府のヘリコプターの前にカートを横付けさせ自身の所有するゴルフコースに向かったのである。

トランプ大統領にはその権利がある。トランプ大統領は「ディール」に勝ち続ける勝者だ。これは金持ちになるチャンスであり、SNSでは「弱者だけが失敗する」と投稿したそうだ。英語の表現は”ONLY THE WEAK WILL FAIL!“となる。

トランプ大統領のいう弱者とはどんな人たちなのか。株式市場の下落によりアメリカの金融市場は6兆ドル(約877兆円)を失った。

直接の原因は中国が報復関税を決めたことだ。今後アメリカの家計は自分たちがいかに中国の安い工業製品やメキシコなどからの安い食料品に支えられていたかを知ることになるだろう。

現在ヘルスケア産業などは株価の大幅下落を免れている。物価が上がってもヘルスケア製品は買い続けなければならない。だが、医薬品に追加関税をかけるかもしれないという情報が出ている。

Trump told reporters that tariffs on computer chips and pharmaceuticals are being worked on and would be on a “level that you haven’t really seen before.”

Trump says tariffs on chips, pharmaceuticals coming soon(ABC News)

トランプ大統領には「絶対に謝るな、謝ったら負けだ」という人生哲学がある。このため問題が起きても「それは相手が弱かったから仕方がない」という独特な認知のゆがみを持っている。

日本の石破政権の対応について考えたときに「これ以上投資を差し出してもアメリカ合衆国の心は打たないだろう」と分析したが根拠は示さなかった。

トランプ大統領は一種脅迫も入った行動を「ディール」や「強さ」と考える傾向がある。一方で恫喝に負けて何かを差し出すのは「弱さ」のしるしであると思っている。ヨーロッパやカナダはこれがわかっているからこそ強気な態度を崩さないが、日本人はこうした対決型のディールが極めて苦手である。

今回の関税政策に関しては議会共和党からも修正の動きが出ている。まずテッド・クルーズ上院議員がトランプ関税を批判している。この文中に4人の共和党議員が対カナダ関税に反対したと書かれている。

これに先立つ2日、米上院はトランプ氏による対カナダ関税に異を唱える民主党の決議案を賛成51、反対48で可決した。クルーズ氏の批判は、民主党議員と共に決議案に賛成票を投じた共和党議員4人の動きとも重なる。

米共和のクルーズ上院議員、トランプ関税を批判-経済への打撃を警告(Bloomberg)

また超党派でトランプ関税に歯止めをかける法案も提出されている。ベトナム戦争の収拾がつかなくなったとき「大統領の戦争権限を縮小する」法案が成立しているがそれを参考にした法案だ。つまりトランプ大統領が国家緊急事態を背景に関税戦争を始めたとしても議会がそれを認めないという法律になる。

日本では産経新聞が紹介しているが共和党重鎮のグラスリー上院議員(アイオワ州選出)と民主党のカントウェル上院議員(ワシントン州選出)が共同で提出した超党派法案であるところに意味がある。

だが、産経新聞はこの法案がどの程度の議員の参道を集めるのかについては書いていないがポリティコは「議案が法律化される見込みはほとんどない」と付け加えている。

It’s highly unlikely this proposal will ever become law. Still, support from Grassley — who chairs the Judiciary Committee, sits on the Finance Committee and is third in line for the presidency as the Senate’s president pro tempore — sends a strong signal about the GOP’s growing unease with Trump’s actions and the party’s willingness to say something about it.

Top Republican leads bill to reassert Congress’ tariff power amid Trump trade war(Politico)

今回の関税騒ぎが「一時的なショック」になるのか構造的な変化をもたらすのかはまだよくわからない。少なくともトランプ大統領に歪んだ認知を説得によって変えることは難しそうだ。大統領は(日米同盟を含めた)協力関係を重要視せずすべてを勝ち負けで理解しているからである。さらに自分は強者であるという認識を持ち他社に対する共感的視点は全く持ち合わせていない。

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