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陰謀論者に吹き込まれ トランプ大統領が情報機関のトップを解任

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世の中の話題はトランプ関税と株価下落だろうが、むしろそんなことはどうでも良くなりつつある。

トランプ大統領がNSCのメンバーを複数名解任した。陰謀論者として知られる人のアドバイスを受けたものとされている。その後でNSAの長官も解雇されている。トランプ大統領の耳には一部の偏った意見を持つ人達の情報しか入ってこなくなるだろう。トランプ大統領はある意味極めて操作がたやすい操り人形になっている。

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トランプ関税の算出根拠が明らかになると世界中に動揺が走った。極めて厳(いかめ)しい数式で表現されているが、要するに貿易赤字はすべて外国の不当な扱いのせいだと主張している。まともな経済学者が見向きもしない理論を「いかにも数学っぽい」体裁で提示してみせたのがUSTRの示した数式だった。

トランプ関税発表の翌日のABCニュースはNSC(国家安全保障会議)の参加者の6人が「取り除かれた」というニュースを扱っていた。9.11は内部犯行であるという陰謀論を振りかざすアドバイザーの意見を受けたものと考えられている。さらにNSA(国家安全保障局)の長官も更迭されている。

その内幕をBBCが書いている。CBSの伝聞報道だ。シグナルの情報漏洩問題において糾弾されるべきはトランプ大統領の側近だろう。しかし大統領は「誰かが自分たちを陥れようとしている」と考えたようだ。なおREUTERSは解雇または異動が6人としており、BBCは少なくとも3人が解任されたとしている。

CBSが事情に詳しい消息筋の話として伝えたところによると、シグナルの件をきっかけに、トランプ大統領に十分同調しないスタッフの存在が精査されるようになったほか、ルーマー氏が大統領のもとを訪れたことで、スタッフ解任が決まったのだという。

トランプ米大統領、国家安全保障会議の3人解任(BBC)

トランプ大統領はすでに軍隊の制服組トップも解任している。G-mailを使って職務情報をやり取りしている高官もおり、おそらく同盟国はアメリカ合衆国に情報を流さなくなることが予想される。さらにトランプ大統領は自分に近い取り巻きやお気に入りのアドバイザーの言う事を進んで聞き入れる傾向がある。

解任されたホー局長はサイバー軍司令官も努めている。ロシアとの接近を狙うトランプ政権はすでにロシアへのサイバー攻撃を控えるようにとの指示を出していた。さらに今ロシアの高官がアメリカを訪れ「経済協力の下地づくり」を行っている。

つまりトランプ大統領は今後自分が気に入らないニュースをますます遠ざけるようになり耳障りの良い情報だけを取り入れることになると予想される。つまりトランプ大統領を合理的に説得することは不可能になるであろうということになる。

主に日本語で情報を取っている人は「アメリカのような民主主義国で民意がトランプ政権の行き過ぎに意義を申し立てしないのか」と考える傾向があるようだ。確かに関税政策の発表後に株価は動揺しインフレに対する怒りが渦巻いている。

しかしおそらくこうした不都合な現実は徐々にトランプ大統領には届かなくなるだろう。

こうした「とりまき」たちが何らかの意図を持って組織的にトランプ大統領の目と耳を塞いでいるのか、あるいは一種の集団的なメカニズムが働いているのかはよくわからない。しかし今回の一連の流れを見ていると同盟国を「味方こそ厄介」と敵視しロシアに接近している。

アメリカ合衆国に限らず民主主義の土台は国民の知る権利が健全性だろう。健全な情報によって形成された民意が大統領に正しく伝わってこそ堅牢なフィードバックループが形成されるが、現在のアメリカ合衆国はそのような状況にはない。

アメリカ合衆国の「民主主義」がはからずも生み出した意思決定プロセスは今や世界にとってのリスク要因になりつつある。

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