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スーダン軍が首都を奪還

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アメリカ合衆国は「解放の日」の発表待ちということであまり動きがない。待ち時間に「スーダン軍が首都を奪還した」というニュースを調べてみることにした。スーダンなんか興味がないよという人が多数だと思うが、意外と世界的な動きと連動している。

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スーダン軍が首都・ハルツームを2年ぶりに奪還したとBBCが伝えている。市民は内戦の終了を期待しているという。2023年4月に準軍事組織(RSF)が空港などを爆破する事件があった。しばらくは国際ニュースもこの事案をフォローしていたが徐々に扱いが少なくなっていた。しかし戦闘は2年も続いていたことになる。当時NHKがRSFはUAEからの資金提供を受けていたと書いている。

実はそれに遡ること2019年にバシル大統領が軍に放逐されている。物価高による住民の不満を抑えられなかった。しかしその後の2021年には政権を担ったハムドク首相も軍隊に拘束されてしまう。

スーダンには主に2の利権がある。1つは金などの鉱物資源でもう1つは軍港だ。これをロシアが狙っている。バシル大統領は2017年にロシアに接近しロシアに軍港を提供する協約などを結んでいるそうだ。しかしその後ワグネルは大統領を見限りスーダン軍を支援することになった。

アメリカが世界の警察官の役割を果たさなくなると大陸型国家が「生存圏」構築のために動き始める。ロシアは黒海を抜けて地中海に出たうえでアフリカに拠点を作りアフリカの金などの資源を狙っている。UAEもこの競争に参加し敵対勢力をバックアップしている。

ところが非常に奇妙な動きが起きている。トランプ政権下のアメリカでも、古くからある「アメリカは自前の生存圏を作るべき」という構想(一部ではテクネイト・オブ・アメリカなどと言われる)が復活しグリーンランドやカナダの併合をほのめかすようになった。さらにトランプ大統領はロシアに接近しロシアの黒海通路復活の手助けを始めている。

トランプ大統領に政策の一貫性を見る人がいるが、おそらくそれは何らなかの願望を投影した幻影に過ぎない。

イラン封じ込めを狙いフーシ派を攻撃しているが掃討できていない。フーシ派は中国やロシアの艦隊は攻撃しないためアフリカの国の中には「中国やロシアに接近して自分たちの艦船を守ってほしい」と考えるところも出てきているそうである。

バンス副大統領はフーシ派掃討はヨーロッパのためにしかならなないと言っている。これはある意味正しい。紅海(とスエズ運河)を利用できない船はアフリカを遠回りするしかなくヨーロッパに物価高をもたらした。しかし、その一方で欧米を見限った国々がロシアと中国に接近しているという意味ではアメリカの国際的影響力が損なわれているともいえる。またトランプ大統領は関税により自らの一人勝ちの要因だったサプライチェーンを爆破しようとしている。

中間層の不満を背景にしてアメリカ合衆国が世界の警察官の役割降りてしまった。これをチャンスと見た大陸国家型の国が生存圏の獲得を目指して動き出す。なぜかその動きにアメリカ合衆国が追従しライバルではなく同盟国を攻撃し始める。

こうした下部構造を背景に各地で政治勢力のバランスが崩れ始めている。おそらくは自民党政権もその影響を受けるだろう。しかしそもそも政治勢力がないところは軍事組織同士の衝突となる。

どちらの何らかの形で住人の生活を脅かすことになるが、当然選挙より内戦のほうが影響は甚大だ。

正直にいえば、スーダンの事情にはあまり興味が持てないのだが、意外とそれは世界的な地殻変動とつながっているのである。

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