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揺れる大統領制国家 ルペン氏にも有罪判決

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なぜか大統領制国家が揺れている。韓国では大統領の弾劾裁判がペンディングとなっており野党代表が無罪判決を勝ち取った。トルコでは野党党首の大統領選挙出馬資格が剥奪され株価などに大きな影響が出ている。新しい動きとしてフランスの野党党首ルペン氏に有罪判決が出た。まだ判決は確定していないため収監こそされていないが、公民権剥奪される可能性が高いそうだ。

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一般的な常識では「判決が確定するまでは公民権剥奪は行われない」ことになっている。ところが今回のニュースを見るとフランスでは判決が確定するまでの間も公民権を差し止めるということができるようだ。控訴中は収監はされないとのことだが刑が確定されればうち2年は電子ブレスレットで監視されるという。

フランスの極右政党・国民連合(RN)を実質的に率いるマリーヌ・ルペン氏は31日、選挙資金を横領したとして、パリの裁判所で執行猶予付き禁錮4年の有罪判決を受け、5年間の被選挙権停止処分となった。ルペン氏は、2027年の次期大統領選には出馬できない可能性が高い。

ルペン氏、2027年大統領選出馬難しく-EU補助金横領で有罪判決(Bloomberg)

休戦中という極めて特殊な状態に置かれた韓国で大統領に権限が集中するのは何となく分かる。韓国では保守・進歩ともに何らかの疑惑の目が向けられることは珍しくない。野党党首の李在明氏にも市長時代の土地利用を巡る収賄疑惑があった。高裁レベルで無罪判決が出され最高裁に持ち込まれることになりそうだ。

だが比較的民主主義とジャーナリズムがうまく機能しているはずのフランスでも同じような問題が起きるのだなあと不思議な気持ちになる。実はフランスではサルコジ元大統領も有罪判決を受けており現在電子ブレスレットで監視されているそうだ。

フランスの最高裁に当たる破棄院は18日、選挙資金に関する秘密情報と判事ポストが絡む汚職事件で、サルコジ元大統領を収賄とあっせん収賄の罪で有罪とした控訴審を支持する判決を言い渡した。有罪が確定し、サルコジ氏は電子ブレスレットを1年間装着して監視される。

仏サルコジ元大統領有罪確定、電子ブレスレットで1年監視(REUTERS)

この手の報道だけを集めるとこれらの国の政治が破綻しかけているように感じられるがアメリカ合衆国の事例を見るとこれは「まだマシな方」といえるかもしれない。

最も危険なのが穏健な首相制から大統領制に移行しつつある国である。トルコでは野党指導者が汚職の罪で拘束されており全国に抗議運動が広がっている。都市部ではエルドアン大統領に反対の人が多いようだが、当然大統領にも岩盤支持者がいるはずである。

現在外国から来たジャーナリストが追放処分を受けており国内のジャーナリストの中にも拘束されている人がいる。

だが、トルコ当局に目を付けられた多くの人々には、こうしたセーフティーネットがない。私がBBCのイスタンブール特派員としてトルコに住んでいた2014年から2019年の間、トルコは世界最大のジャーナリスト収監国だった。監視団体「国境なき記者団」によると、トルコは報道の自由度ランキングで180カ国中158位。また、最近の抗議活動が始まって以来、約2000人が拘束されたが、そのうち11人はジャーナリストだ。

「そして電話が鳴った」 トルコを追放されたBBC特派員、当時の状況を語る(BBC)

イスラエルではもっと悲惨なことが起きている。もともとネタニヤフ首相には汚職疑惑があり「司法制度改革(という名前の司法潰し)」が画策されていた。10月7日のハマスからの奇襲を政治利用し「有事」を作り出し行政と司法との戦いはペンディングになっていたのだが、この軍事作戦そのものが新しい汚職の源泉になりつつあるようだ。

司法は首相側近を逮捕し、首相は捜査機関のトップと検事総長を解任を試みるなどの泥仕合が始まっている。

なおこれに比べて首相制度の国は穏やかである。日本では表面上の対立を演出しつつも実際には阿吽の呼吸で与野党が協力し合っている。カナダとオーストラリアでは総選挙が行われるが比較的穏やかな選挙戦になりそうだ。ドイツは総選挙の結果の連立交渉が行われており状況次第では大連立も成立するのではと言われているようだ。

日本は「閉塞感が漂っている」とか「国家として凋落する」などと言われてはいるが、実は国際情勢を俯瞰すると問題がない国の方に含まれている。国外のニュースを見ない人は意外だと感じるかもしれないが、国民が強いリーダーシップを期待しないため、権力に対して強い反発が起こらないのである。

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