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トランプ大統領が教育省を解体へ

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トランプ大統領が今度は教育省を解体すると言い出した。解体だけが決まっており具体的に何が解体されるのかはわかっていないうえに、そもそも議会の承認が得られる見込みがないそうだ。ここがトランプ大統領の恐ろしいところである。「承認が得られないなら報復を」というマインドセットがある。このため教育省を通じた人材育成などの支援が絞られる可能性が高まっている。

トランプ大統領はアメリカの破壊活動に今日も大忙しだ。

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アメリカ合衆国は「自由と民主主義」の養護を通じてビジネスに優しい環境を作り世界中から優秀な人材を集めることで繁栄してきた。これがアメリカの繁栄を支える下部構造(インフラ=下部・ストラクチャー=構造)だが、都市のインフラと同じように複雑な構造を持っている。一旦インフラが破壊されてしまうと長年の投資は無駄になり容易に回復させることができない。

トランプ大統領は「アメリカが優秀だから当然」と考えそれを維持するためのコストを度外視する傾向が強い。日本人が「水道水は安全であり鉄道が時間通りに来るのも当たり前」と考えてインフラ投資にお金を使いたがらないのと同じマインドセット。

最近のニュースを見ると移民難民を裁判なしでエルサルバドル送りにしたり、外国から来た留学生たちを裁判なしで国外追放しようとしている。また関税を交渉の武器として振りかざしアメリカ経済の先行きに不必要な不透明感をもたらしている。さらにガザの所有やザポロジェ(ザポリージャ)原発の所有など安全保障政策をモノポリーのような土地所有ゲームとして理解している。

アメリカのインフラの一つが民主主義という価値観を擁護する事によって得られる長期的信頼だとすると、トランプ大統領はこの繁栄のインフラを破壊し続けていることになる。

共和党の中にもこうしたトランプ大統領の暴走を苦々しく思っている人はいるようだが選挙のことを考えるとトランプ大統領には異議申し立てはできないようだ。

そのトランプ大統領の新しい奇策が教育省解体だ。保守の一部の長年の宿願だったそうだ。

今回のポイントは「解体」だけが決まったという点。担当閣僚・報道官・大統領がそれぞれ異なった発言をしており具体策にはまるで興味がないということがわかる。

ただしBBCによれば議会通過の目処は立っていないそうだ。

ただ、共和党は上院で多数派ではあるものの、53議席で、民主党(47議席)とは僅差だ。連邦政府機関の閉鎖には賛成60票が必要で、実現する可能性は低い。

トランプ氏、教育省の解体開始の大統領令に署名(BBC)

しかしこれで「ああ良かった」ということにはならない。なぜならばトランプ大統領は思い通りに行かなかったときに報復に出る可能性が高い。この場合は教育省の予算と人員を削減し議会に対して圧力をかけることが予想される。

トランプ大統領は教育省がなくなり各州が教育を行えばアメリカの学生は優秀になるだろうと根拠なく主張しているが、おそらくはそうならないだろう。

トランプ大統領の関税政策はすでに競争力を失いつつある産業を甘やかすことになり中長期的には産業をますますダメにすると予想される。外国からの優秀な人材の流入を制限することは「国内の甘やかし」につながり、おそらくアメリカの教育は弱体化するはずだ。

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