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参議院選挙に暗雲 米価を抑えられなかった石破総理

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石破政権の米価対策を巡り批判が高まっているという記事がある。5割程度上がっているという認識を表明したが実際には前年同月比で9割(2倍近く)上がっているのだそうだ。カップラーメンの値段がわからずに下野した総理大臣もいたなと記憶している。

ただし、この問題の底流を探ると貧しくなっている日本人という問題が浮かび上がる。

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石破総理の米価に関する発言がネットで反発されているという記事を見つけた。5割値上がりしていると発言した石破総理に対して2倍になっているよという「ネットの批判が渦巻いた」というコタツ記事だ。実際に前年同月比で9割値上がりしているという統計がありネットの感覚のほうが正しいということになる。

これについて盛んに減反政策の失敗を指摘するコメンテータが出てきた。元農水官僚の山下氏の発言を紹介していたTBSが今度は鈴木宣弘氏を招いて減反政策について語らせていた。

山下さんの主張についてはこちらをご覧いただきたい。

鈴木氏はバターについても発言していたなと思い調べてみたところJAに農林水産行政に批判的な文章を寄せているのを見つけた。


TBSの井上キャスターは「政治家(自民党とは言っていない)がJAに集票を期待しているのも一因か?」と質問したが鈴木氏はこれについては否定している。ただJAにも文章を書いている人なので「今回の件をJA批判に結びつけたくない」という思惑はあったのかもしれない。鈴木氏は農家の時給が10円に満たないと主張し農家の窮状を訴えていた。

さらに記事の文書からは集票に関する表現は削除されている。井上キャスターの質問は動画の9分辺りに出てくる。

さらに鈴木氏は次のように発言した。

やっと30年前の米価に戻って、農家は一息ついているだけです。このままではコメ農家がいなくなり、またコメ不足が生じて大騒ぎになるということを繰り返してしまいます。これを止めるために、何とか増産できるような解決策が必要になります。

「“コメの生産減りすぎ”が本当の問題」専門家が指摘 2025年の夏もまた価格高騰のリスクか?【Nスタ解説】

つまり見方によっては米価が30年前の「正常な状態」に戻りつつあるということになり「今までは不当に安かった」という見方もできる。この見方を採用すると30年前は普通に買えていた米が買えなくなっているということになる。日本の消費者が徐々に貧しくなっているとうかがえるのである。

赤澤経済再生担当大臣は今は経済学的にはインフレであると認めつつもデフレから脱却できていないという曖昧な言い方に終止している。国民が恩恵を感じることができるいいインフレになっていないからである。これでは有効な経済対策など立てられるはずもない。

先日、定額減税について書いた。政府が何らかの目的を設定した上での適切な制度設計ができなくなっていることがわかる。政府中枢にいる人達は眼の前の選挙対策(SNS批判対応)にばかり目が向き適切な制度設計ができなくなっているのだがやる気のない地方自治体の職員たちも「自分たちはIT化について行けるはずなどない」と考えているようだ。上から下までこのような調子なのでなにか問題があっても虚ろな目で「色々仕方ないよね」という状況が生まれていることがわかる。

自民党は支持母体の農家の要望にも応えることが出来ず、かといって都市に済む無党派層の要望にも応えられていない。国民はじわじわと貧しくなっていて30年前の水準では米も買えない。

この状況は米の消費減につながってゆくだろう。最初は米が食べられないことに不満を感じている人たちも米に雑穀を混ぜるなどの工夫を定着させるはずだ。いわゆるデフレマインドは有効な政策を打ち出さない政府に対する国民の防衛策なのだ。

9月と10月は買いだめの反動が要因で、12月は米を購入する世帯の割合は増えた一方、買う量を減らしたり価格が比較的安い米を購入したりする状況がみられたということです。

家計調査 前年比実質1.1%減 物価高で食料など節約傾向(NHK)

現在自民党は減税について議論している。しかしそもそも対象になる低所得高齢者はあまり所得税を納めていないため減税効果はさほど期待できない。おそらくは米の価格の値上がりなどのほうが投票先を選ぶ強い動機となるだろう。衆議院議員選挙は「政治とカネの問題」で一部のなんとなく支持層が離反し大きく議会構成が変わった。

さらにトランプ政権の関税交渉も待っている。トランプ政権は非関税障壁(ヨーロッパの場合は付加価値税=VATで日本では通貨政策がやり玉に挙げられるものと考えられている)について改善を求めることが予想されており長期金利はすでに上がりはじめている。

円安が是正されることで消費者には朗報だが金利高騰は地方を中心に「ゾンビ企業」と呼ばれる企業にとっては死刑宣告になりかねない。

また総務大臣の「県はいらない」発言も一部地方自治体からの反発につながっている。

一部の識者や記事は「石破総理は安倍レガシーを破壊しようとしているのだ」という見方をしている。現状把握も出来ず、現状把握が出来たとしても制度設計ができず、制度設計をしても現場となる官僚や地方自治体がついてこない。自民党は党内の派閥抗争(正確には派閥の残骸だが)にかかりきりになっている。

今の政治家には民の暮らしに対するきめ細やかな配慮はなく、また気持ちを国民に振り向ける余裕もない。

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Comments

“参議院選挙に暗雲 米価を抑えられなかった石破総理” への4件のフィードバック

  1. 細長の野望のアバター
    細長の野望

    国産米よりも海外産米(アメリカや台湾)のほうが安いかもと考えたとき、とある妄想をしたことがあります。トランプ大統領が日本の米事情を知り、日本に関税撤廃を要求し、もっとアメリカ産の米を買わないかと迫るのです。その代わり、アメリカが仕掛けようとしている関税について”考えてあげる”と言うのです(だいぶ単純すぎる妄想ですが)。

    1. Quoraではカリフォルニア米がコメの味のデフォルトになるのでは?という説で盛り上がっておりました。コメントも多くなおかつ高評価も多かったので国民の関心は生活なんだなあと改めて実感した次第です。

      1. 細長の野望のアバター
        細長の野望

        それだけ生活が困窮していると思いますし、そこを解決しないと、人権や公的正義、数十年後の日本の未来などを考えることすら出来ないのでしょう。
        それに「貧すれば鈍する」と言うのでしょうか、今の日本や世界で見られる、差別的で扇情的な発言をする人間を支持されるのも貧しさゆえなのだと思います。そういうのに乗っかる人たちも、本当に望んでいるのは「豊さ」であって誰かを差別することではないと思いたいです。

        1. 今はそこそこ暮らしが成り立っているが将来的な見通しを聞かれるとどこか不安ということもあるかもしれないですね。食うに困るほど困窮しているというひとばかりでもないのでしょうがやはり心もとなさはある……