韓国人は徹底して「大丈夫、大丈夫、とにかくやってみましょう」主義を貫く国民性のようだ。
大統領に続いて大統領代行・国務総理に弾劾訴追案が出された。非常に興味深いことに「大統領代行として弾劾するか」「国務総理として弾劾するか」が決まっていないようだ。「ちょっと落ち着いて考えれば良いのに」とは思うがとりあえず行けるところまで突き進むのが韓国流なのだろう。
韓国は北朝鮮と停戦中という「戦時下」の国だがもうそんなことはお構いなしと言った感じのようだ。
これだけ読んでも何がなんだかという人が多いのではないだろうか。
弾劾訴追案が可決されれば、韓氏は職務停止となり、崔相穆・経済副首相兼企画財政相が大統領代行を務める。共に民主党は、首相の弾劾訴追案の可決に必要な在籍議員の過半数の賛成で韓氏を弾劾訴追できると主張。一方、国民の力は、大統領代行であるため大統領の弾劾訴追に準じて3分の2以上の賛成が必要だと訴えている。
大統領代行の弾劾訴追案提出 27日本会議で採決へ―韓国野党(時事通信)
現在韓国では大統領の弾劾裁判が進行中。しかし憲法裁判所9名のうち3人が欠席になっている。弾劾が成立するためには6人の賛成が必要のため全員が賛成する必要がある。このため野党は補充を求めている。
国会は野党が過半数を持っているため補充案は賛成多数で可決されたようだ。しかし韓悳洙国務総理は「与党の同意も必要」と抵抗。これにキレた野党が「だったら弾劾してやる」と息巻いていた。結局韓悳洙国務総理が折れなかったため行きがかり上弾劾訴追案を上程せざるを得なくなり27日に採決が行われることになった。
しかし、ここで問題が起きる。韓悳洙国務総理の弾劾は1/2で可決する。野党議員が結束すれば1/2の票を集めることはできるため韓悳洙国務総理は弾劾される。しかし大統領は2/3の賛成がないと弾劾できない。このためには与党の賛成が必要という状態だ。
この合意が得られないままで弾劾プロセスが着々と進行しており憲法学者の間にも意見の相違があるそうだ。
大統領代行は国務総理が務めることになっているので理論上は国務総理として弾劾されれば大統領代行の資格がなくなってしまう。ただし、この要領で国務委員たちの首を次々とハネてゆくと「国務委員会そのもの」が定員に達しなくなるため(半数の参加が必要)国会で法案を作ってもそれを承認する人がいなくなり事実上何も決められなくなる。
KBSも諦め顔で「さらなる混乱は避けられない」と論評している。
これで、大統領と大統領権限代行が相次いで弾劾される前代未聞の事態が発生し、国政のさらなる混乱は避けられない見通しです。
韓大統領代行 憲法裁判官の任命を事実上拒否(KBS)
そもそもこのような異常事態を想定していなかったのだろうが、韓国憲法には「バグがある」ということだ。野党は与党を妨害するために極めて限定的な予算しか認めていない。ただしこのままでは野党も自分たちの政策を実施できず、国民から「何をやっているんだ!」と言われかねない状況になっている。
このように韓国の政治は「絵に描いたような」チキンレース状態になっているのだが、それでも立ち止まって話し合いをしようという雰囲気にはなっていないようである。皆頭に血が昇って冷静な判断ができなくなっているのだろう。