トランプ次期大統領の外交発言は様々な波紋を広げている。カナダではトルドー首相辞任のきっかけになる可能性がある。また、NATO加盟国に対しても関税をチラつかせて軍事費の拡大を要求している。
そんなトランプ氏だが、今度はパナマ運河とグリーンランドが欲しいといい出した。
カナダのトルドー首相に対する辞任要求が出ている。野党が不信任案の提出を言明しており年明けにも動きがありそうだ。きっかけはトランプ関税だった。
そんなトランプ次期大統領だが次々とトゥルース・ソーシャルから「次期大統領令」を発し続けている。パナマ運河の管理方法が気に食わないと発言し「だったら管理権をアメリカに返してもらう」と宣言した。
また第一期目に主張していた「グリーンランド購入」にも再び意欲を示しているそうだ。グリーンランドには自治政府があるのだが一期目のトランプ大統領はデンマークの植民地だと理解しているようでデンマーク政府に対して「グリーンランドを売ってくれ」と要求していた。当然今回も自治政府が「売り物ではありません」と反発しているという。
一期目にはこのようなやり取りがあった。
トランプ氏のこのような発言は、まだ近代国家体制ができる前のヨーロッパの列強の傲慢な姿勢そのものといった感じがする。
ところがトランプ氏は「自らはノーベル平和賞にふさわしい平和の使者」だという自己認識も持っている。安倍昭恵氏との会食のときに石破総理に対して自らの写真集を送りPEACEと署名したというエピソードがある。このため従来の欧米の帝国主義とは違い強い経済力を使って相手をねじ伏せると言う手法を好む。
リチャード・ニクソン大統領はかつて自らを「狂人理論の使い手」と称していた。ニクソン大統領の狂人ぶりが「理論」だったのか本当に狂っていたのかはよくわからない(アルコール中毒だったという話もある)リアルポリティクスを標榜するキッシンジャー氏の支えもあり、この狂人理論には一定の効果があった。
つまりトランプ大統領がどれだけ「狂って」いようが側近さえしっかりしていればアメリカの国益に沿って物事が進む可能性はある。
ただし第二期のトランプ政権はイエスマンに支えられているとされておりキッシンジャー氏のような有能な支え手の存在は確認されていない。仮に実務家がいない政権になると単に遅れてきた帝国主義者ということになってしまう。