斎藤陣営の弁護士がPR会社が盛っていると指摘したことでワイドショーは一度斎藤元彦+PR会社問題から撤退していたが上脇教授と郷原弁護士の告発を受けて再度参戦した。
上脇教授と郷原弁護士の告発に西宮市議とPR会社のやり取りが整理されており「PR会社の言い分が正しい」可能性が出てきたからということなったからのようだ。郷原氏は告発状をウェブサイトで公表しておりこれを紹介すれば手軽に番組を作ることができる。
キーマンは実名で名指しされた西宮市議だ。X上で郷原弁護士とやり合っており「ひるおびに電話します!」としてマスコミに対する対決姿勢を示している。
まずキーになる部分を整理する。おそらく何が問題になっているのかわからずに議論に参戦している人が多数いるのではないかと思う。
問題になっているのは[PR会社]が[斎藤元彦県知事候補のSNS戦略]に[会社]として[主体的に]関わったかである。PR会社が対価を貰えば買収となり、対価がなく(かつ何らかの見返りを期待した)ならば違法な寄附行為となる可能性があるとされている。
「PR会社が対価を貰えば買収になる」で引っかかる人もいると思うが「今はそういうルールになっている」というしかない。例えば選挙期間中にYouTubeの有料広告を支出しても違法になるほど「お金を使った選挙」に対して厳しいのが今の日本の公職選挙法だ。過去に柿沢未途氏と秘書が「有料広告」で公職選挙法違反に問われている。その割に裏金と言われる資金(国会議員と地方議員の間でやり取りされている可能性がある)には(表沙汰にさえならなければ)さほど厳しくないという不均衡さがある。
これに関して、斎藤元彦県知事は「違法性はなかった(つまりポスター印刷などの実務以外は頼んでいない)」と説明していた。また斉藤陣営の弁護士は「PR会社側は会社が話を盛っている」と説明した。確かにPR会社側が盛っていると主張すれば斎藤元彦氏側は無罪になるかも知れないという見方が広がり「嫌疑はあっても斎藤元彦氏を追求しきれないかもしれない」という雰囲気が生まれた。
ここまでは「斎藤元彦陣営とPR会社の言い分の違い」という二項対立だった。
今回上脇氏と郷原氏が見つけたのは第三者の存在だ。PR会社が問題となった投稿を行う前にある西宮市議が「PR会社の存在をXで紹介」しそれにPR会社が呼応したとしている。TBSの「ひるおび」はこれを、本来ならば検察と警察が証明しなければならない証拠を自白の形でインターネット上に残していると説明していた。
郷原信郎氏はX経由で「告発状がダウンロードできる」としておりそれに西宮市魏の森けんと氏が呼応している。TBSの番組では名前は出てこないが告発状には森さんの名前が出てくるのだ。郷原氏の戦略は「テキスト」をテレビに提供しそれを読み込ませるという手法だ。テレビは広告枠さえ売れればよいわけで「報道価値のある」無料素材に狂喜したことだろう。
郷原さんらから名指しされる形となった森けんと氏自身は「自分はSNS戦略を一切担当していない」「ひるおびに電話します」などと呼応している。
森さんはPRを担当している人が複数人いるという指摘(おそらく立花孝志陣営などを指しているのだろう)に対して「斉藤陣営が直接お願いしているのは1人だけ」と説明している。
これには補助線が必要だ。望月衣塑子氏らが「斉藤陣営と立花孝志陣営は裏でつながっている」と疑っている。おそらくこれを払拭しようとしたのではないかと思う。望月衣塑子陣営は「斎藤陣営と立花陣営が結びついているのは「事実」だ」と根拠がよくわからない主張をしている。非常に複雑なことに森けんとさんは元県民局長のPCの中身についての報道にも反応している。
この2つの事象は独立して扱えばそれほどややこしくないが実際にはそれぞれが混戦しており全体の把握が極めて難しくなっている。これがネット社会の特徴だろう。赤い煙と青の煙が別々のところから出ていたとしても全体は紫の煙に見える。
ただ、森さんら斉藤元彦知事に近い人達(告発文では斉藤選対)が説明しなければならないのは「ひるおび」ではなく検察と警察だろう。「怪しいだけでは罰する」ことができないのが日本の司法なので仮にやましいことがなければ単に粛々と捜査に協力すればいいだけのはずだ。
Comments
“ワイドショーが斎藤元彦+PR会社問題に再度参戦 理由は西宮市議のX投稿” への2件のフィードバック
上脇教授と言う名前は、裏金問題が発覚したときにも出てきた名前ですね。当時は、法学者がお金にもならないのに調査して告発していて「すごいな、こういう人がいないと世の中は良くならないんだろうな」と感じていました。
今回の件でも参戦しているのを見て感心したのと同時に、本来はマスメディアがこういうのに食らいついてもらわないと困るんだよなとも思いました。正論だけでは世の中は回らないとは言いますが、ちゃんと正論を言う人がいないと問題は解決に進めることができないんだよなと思いました(自宅のマンションの理事会でも、こういう正論言ってくれて助かっているため、強く実感が持ててます)。
テレビなどのメディアも焦ってはいるみたいですが、なかなか具体的な変化が見えないですよね。ただ個人の奮闘に頼るのは良くないのではないかと思います。
と同時に今回は郷原さんが加わったのも大きかったようですね。組み立てがしっかりしているので素材として取り上げやすかった。