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反省なき既存政党と政治とカネの問題

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マスメディア各社が「自民・公明・立民・国民・共産・維新・れいわ」の7政党が政治とカネの問題について話し合ったと伝えている。

時事通信の記事を読む限り各党とも全く反省が見られないようだ。これまでは少々腹立たしい思いもあったのだが「このまま有権者にまるごと見放されてしまうのではないか?」という心配のほうが先に立つ。

そもそも国民が何に怒っているのかが全く俯瞰できていない上に「どのようなルールを作れば自分たちに有利になるか」ばかりを考えている。これでは有権者の政治不信はますます深まるばかりだろう。

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各党とも「この論争を通じて優位な立場に立ちたい」という気持ちと「改革政党であることを打ち出せなければ有権者に見放されてしまう」という気持ちでせめぎあいになっている。

  • 自由民主党は政策活動費を原則廃止にするが「外交とプライバシー」を理由に全面解禁はしない。企業団体献金は廃止しない方針。
  • 立憲民主党は当初企業団体献金は廃止を求める予定だったが政治団体は例外扱いとする方針だった。
  • 国民民主党は企業団体献金は温存するが立憲民主党の政治団体を例外扱いする方針には反対。
  • 公明党は学術的に様々な論があるとして議論を引き伸ばしたい考え。

まず自民党から見てゆこう。自民党は企業団体からの献金には期待している。またすべてを透明化してしまうとおそらく地方議員との関係が「カネの切れ目が縁の切れ目」になってしまうため「プライバシー」を理由に政治資金のガラス張り化は避けたい意向。

立憲民主党はおそらく地方議員の関係が断絶することがわかっているため「全面ガラス張り化」を訴えたい。また労働組合などの支援団体からの援助は政治団体経由にすることで迂回ができると考えていた。

国民民主党は立憲民主党の狙いがわかっているために「政治団体経由」も禁止したい。しかしそもそも企業団体献金は温存したい。背景に労働組合がいるためここからの援助に期待しているのだろう。逆に立憲民主党は「国民民主党が全部諦めるならこっちも考えるよ」と言って牽制している。

立民案は、企業や労働組合による寄付を禁じているが、政治団体は対象から除くと規定。国民は業界団体がつくった政治団体などを念頭に「抜け道だ」と指摘していた。野田氏は「小規模の政治団体からは貴重な浄財として寄付をもらっても良いという判断があった」と説明した。

立民の野田佳彦代表、政治団体の献金規制容認 「国民」の指摘受け(産経新聞)

つまり、自民・立民・国民でそれぞれ足を引っ張り合っている。

共産党はそもそも機関誌を持っているため献金問題とは無縁。また維新とれいわ新選組は無党派層に支持されているため個人献金さえあればなんとか維持できるのだろう。

公明党はやや複雑。共産党と同じように創価学会に支援されている政党だが形式上は別ということになっている。しかし、改革に後ろ向きと言われたくないためこのように言っている。ただ、その狙いはよくわからない。公明党は創価学会から資金援助を受けているのかあるいは集票動員だけを期待しているのかはよくわからない。仮に創価学会からの資金援助を期待していないとすれば「自民党の援護射撃をしただけ」なのかもしれない。

公明党の西田実仁幹事長は、学説も見解が割れているとして、有識者の意見聴取を提案した。

企業献金禁止、自民は反対 与野党、政活費廃止の方向(共同通信)

そもそも有権者は何に怒っているのか。これは中高年と現役世代で理由が違っているようだ。

中高年・高齢の有権者は昭和の政治とカネの問題についての不毛な議論を知っている。このため「政治家(特に自民党)は何か後ろ暗いことをやってきたのでは」と薄々感じ始めている。つまり自民党が政治とカネの問題を全面透明化しない限り(特にこれまでの支出の問題をクリアにしない限り)疑念が払拭されることはないだろう。とはいえ野党も小手先のテクニックに頼るばかりで将来の安心につながる提案が出てこない。このため今回の政治資金の問題が中高年・高齢者の疑念払拭につながるとは考えにくい。

しかし現役世代はそもそも昭和の政治とカネの問題について知らない。このため「一体政治資金問題の何が悪いの?」と感じているようだ。現役世代の最大関心事は「自分たちの生活」と「減税」に移っており、そもそも今回の政治とカネの問題の議論の中身など一顧だにしないのではないかと思われる。

政党単位でみると「目先の損得」に拘泥するあまり広い視野で国民目線を感じることができなくなっていることがわかるが個人単位で見るともっと悲惨な情景が広がる。

選挙を控えた参議院自民党では政治倫理審査会で禊を済ませたいとする議員が多かった。しかし一部の高齢議員が「さらしものになりたくない」と考えたようで立憲民主党に「一切応じるつもりはない」と突っぱねたそうだ。

結果的に共同通信に「高齢議員(共同通信はベテランと書いている)が足を引っ張った」と暴露されてしまい世間にその意固地さを喧伝することになった。

自民では来夏の参院選で改選を迎える中堅・若手議員らが出席を模索していたものの、統一行動を取りたいとするベテランもおり、調整が難航。石井準一参院国対委員長は26日午前、立民の斎藤嘉隆参院国対委員長との会談で「弁明の希望や申し出がない」と述べていた。

裏金議員、参院政倫審に出席意向 立民へ希望なし伝達後一転(共同)

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Comments

“反省なき既存政党と政治とカネの問題” への2件のフィードバック

  1. 十九代目のアバター
    十九代目

    富山県の自民党衆議田畑氏の件を取り上げて欲しい。まず統一教会の件で問題になり、しかも手を切るとは明言せず、今度は不法な自民党員集め(本人の承諾を得ずに名簿に記載)で富山自民党から斬られようとしている。おそらくは地盤が脆弱な田畑氏が追い詰められて行ったこととは思うが、実は全国で起きていることなのではないかと思う。

    1. 情報提供ありがとうございました。一応記事だけは確認しました。なるほどローカルテレビレベルで全国ネットに取り上げられていない感じなんですね。それにしても、自民党って人材豊富だなあと思いますね。石破総理も大変だろうなあと感じます。