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政府の対応は将来負担増を当て込んだバラマキに終始

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当ブログはポスト・トゥルースの時代というテーマを掲げ、マスコミのSNSたたきは正当なものなのかについて考えている。結論は「正当ではない」ということになる。まず政治が曖昧な状況を作り、これを解消する形で「単純な構造と解決策」が提示される。すると有権者は単純な構造と解決策を信じるようになる。今回は「政府の経済政策の曖昧さ」について考える。

この曖昧さは2つの現象を生み出す。一部の人達は多幸感を伴い収奪されることになる。そして別の一部の人達はより単純な「真実」を信じることになるだろう。

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自民党、公明党、国民民主党が103万円の壁問題で合意に達した。12月にも話し合われる来年度の税制改正に反映させるものとされている。

ただ話をよく聞くと「手取りアップ」の議論が退潮し「30年動いていなかった壁が動いた」と話がすり替えられていることがわかる。これは新興宗教がよく使う手口だ。天国は確かに眼の前にあるがもう一押しが必要だと言い続けるだけで信者は付いてくる。このあと「手取りアップが実現しないのは信者の頑張りが足りないから」とメッセージが変得ることに成功すれば、玉木雄一郎氏は本物の教祖になれる。

国民民主党は防衛増税の議論、財源の議論、社会保障改革の議論には加わらず成果だけを強調したい。また、自民党・公明党は国民民主党が、立憲・維新に協力して補正予算に反対するようなことが起こらなければそれで良しとする立場だ。危ういが確かな共犯関係が生まれつつある。

この玉木雄一郎代表の投稿には18万ものいいねがついている。国民民主党推しの人たちは「自分たちの政策が政治を動かせた」という実感が得られただけで満足してしまい「実際に手取りが増えるかどうか」はさほど気にしない。

やはり冷静に考えると彼らは毟られる側にいる。だが「どうせ毟られるなら多幸感を伴った収奪」のほうがいいのかも知れない。

時事通信が政府の総合経済対策に付いて報じている。これまでの自民党・公明党の政策との違いは見られないため「おそらくバラマキに終わるのだろうなあ」と言う感想を持つ。今年は特に「地方への配慮」が強く打ち出されている。

対策は、1)日本経済・地方経済の成長、2)物価高の克服、3)国民の安心・安全の確保――が柱。財政支出のうち経済成長に10.4兆円、物価高克服に4.6兆円を充てる。安心・安全確保に向けては6.9兆円を計上する。
事業規模では経済成長で19.1兆円になると想定する。物価高克服で12.7兆円、安心・安全の確保では7.2兆円とそれぞれ見込む。

経済対策の財政支出21.9兆円、事業規模は39.0兆円=政府筋(REUTERS)

財源は次のとおりとなる。財政投融資を除くと各種税金で賄うことになるが国民民主党の支持者はおそらくこれを気にかけないだろう。

案文によると、財政支出21.9兆円のうち一般会計の支出は13.9兆円となる。このほか特別会計で0.9兆円、財政投融資で1.1兆円を支出する。

経済対策の財政支出21.9兆円、事業規模は39.0兆円=政府筋(REUTERS)

政府がマインドセットを転換しないままコストプッシュ型のインフレが進んでいる。

インフレには「良し悪し」はない。インフレを利用して儲ける事ができればよいインフレ=経済成長となるが、何もしなければ物価高=悪いインフレとなる。特に日本の場合には海外に滞留している「内部留保」と呼ばれる資金を国内に還元しなければ「よいインフレ」は生まれない構造になっている。

ただしこの「内部留保の国内還元」はしばらくは難しくなるだろう。トランプ政権の4年間は関税の4年間と言われている。つまり日本から何かを輸出する企業にとっては逆風になる。

与野党とも「よいインフレ」を生み出すことができてない。自民党は各種経済団体に抱えられており、立憲民主党と国民民主党も支持母体は大企業・公務員などの労働組合に支えられているからである。彼らは本質的に企業改革を打ち出すことはできない。

現在の与野党は画期的な経済成長作が打ち出せないなか、自分たちの既得権を支えるためにはバラマキを続けざるを得ない事がわかっている。しかしこれは明らかに「無党派層」と呼ばれる人たちからの収奪を意味する。これをどうごまかすかが中核的なテーマになっており特に選挙前にはそれが顕著になる。

ただし有権者は

  • 大きな枠組みでは物事を捉えず
  • 比較によって小さな物事に拘泥する

事がわかっているので「ごまかす」のはさほど難しくない。

そもそも持続可能性がないものを誤魔化しながらやってゆくしかないのだから、当然メッセージは曖昧でわかりにくいものになる。この曖昧さの隙を突いて愉快犯的なSNSの情報発信が増えるとそれに乗る人が出てくる。

マスコミも政府も与野党も「SNSの誤情報が諸悪の根源だ」と言っているが、おそらくそれは筋違いの批判だろう。その源流となっているのは明らかに政治のごまかしである。

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