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モックネック – 流行はどのように捏造されるのか

Men’s non-noを立ち読みしていたら「モックネックの次にくるインナーは?」という記事を見つけた。モックネックというのが流行っていたのかあと思ったわけだ。ユニクロのチラシにも「トレンド感の強いモックネック」という記述がある。こういうのをみると「ああトレンドなんだなあ」と思ったりする。
Google Trendで調べてみるとモックネックという言葉が検索されだしたのは2015年の9月ごろからだ。ところがGoogleで日付を区切って検索してもモックアップという言葉はあまりヒットしない。有名なスタイリストがモックアップを買ったというような記述があるきりである。
どうやらユニクロがルメールと組んでモックネックの製品を出したのが2015年の9月ごろらしい。それまでもセレクトショップなどがモックネックの製品を売りだしたりしているのがわかった。ところが12月ごろになると、2015年にはモックネックがトレンドだったというような記事が多くでている。着こなしを教えますというような情報が氾濫しているのかということもわかりちょっとびっくりした。2015年の10月にはMen’s Non-noが今っぽい組み合わせとして取り上げている。よくみるとユニクロ製である。
モックネックとは何なのかということを解説したものが多い。ハイネックとどこが違うのというわけだ。英語で検索してみるとモックネックとはモックのタートルネックという意味らしい。もともとは80年代の後半から90年代の前半に流行した形だという。これが2016年のファッションショーなどで一部使われたという記事を見つけた。いわゆるリバイバルというやつだ。
しかし英語でモックネックという言葉を検索しても特別にヒットしたという形跡はない。

どうやら一般用語らしいのだ。これを日本のファッションコミュニティが取り上げて、流通させているというのが真相らしい。バイヤーもエディターも東京の狭いコミュニティに生息しているのだろう。この人たちの仲間内のちょっとした流行をユニクロあたりが取り上げてみんなが着だすと半年後くらいには「トレンドだ」ということになってしまうようだ。
もともとファッションというのは上流階級の人たちを庶民が真似したものだ。2016年のショーに出ているモックネックもシルエットの中で計算されて存在するのできれいにできている。だが、実際に「トレンド」と言われるものは、東京の仕立屋の仲間内の流行にすぎない。あるいはトレンドという言葉自体が消費され尽くしたワードなのだろう。


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