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萩生田光一は自民党員であって自民党員でない:自民党がルール無視の対応

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時事通信が意味不明のニュースを伝えている。「萩生田氏ら「党所属」扱いせず 自民、批判懸念で異例対応」となるそうだ。石破・森山体制が民意を掴みかね迷走していることがわかる。

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本論に入る前に、今後のスケジュールについておさらいしよう。

11月11日に指名選挙がある。その直前の11月9日(以降)に自民・国民の党首会談が行われる。それまでに水面下で大枠の政策合意をするのだろう。自・国の党首会談に先立って11月7日に自民党の議員総会が開かれ「ガス抜き」が行われる。万が一にも当内造反が出ないように確認をする狙いもあるのだろう。共同通信は「執行部は、11月11日召集が見込まれる特別国会の首相指名選挙で石破氏に投票する方針も確認したい考えだ。」と書いている。

馬場代表(12月に代表選挙が決まった)は仲間はずれにスネており大阪ローカルのテレビで不満をぶちまけた。これに慌てた自民党は来週に会談をやる方向で調整に入った。

馬場代表は30日夕方段階で「(自民党から)まったく我々のほうに連絡もありません。国民民主党さんと協議するということですから、それはご自由にしていただいたらいいと思いますが、自民党はやっぱり狡猾ですから、そんなに簡単に野党側の声を聞く政党ではありませんから、聞いているふりはしますけど、それをどうやって押し倒していけるかというのはね、うちの党を含めた野党側が考えていくことになると思います」と述べた。

維新・馬場代表「騙された」遺恨の自民党に怒り節 前日まで「全く連絡なし」だった 国民民主より後回し?「自民狡猾」「国民さんとご自由に」MBS番組

このように議員さんたちの中では「誰と誰が仲良しさんで、誰と誰が仲間はずれだ」というような動きが起きている。有権者は完全に蚊帳の外に置かれているという状態だ。

と、だいたいのスケジュールが分かったところで本題に入ろう。

まず、そもそも有権者が自民党の何に腹を立てているのかを言語化してみよう。

自民党は表面上は謝る。だが何がいけなかったのか説明してご覧なさいというとはっきりと答えられない。そして裏でダメなことをやり続ける。それがバレると言い訳をする。

例えて言えばこういうことだ。

子どもがご飯を食べない。ポテトチップスをたくさん食べてしまったからだ。ご飯が食べれないんだったらおやつはナシと叱ったところ「うんわかった」となる。だが次の日もやはりご飯を食べない。子供部屋にはお菓子の袋が散乱してる。これについて問い詰めると子どもはこう言った。「だって食べちゃダメなのはポテチだけでしょ

いや、そうじゃない。

今回、2000万円問題で有権者が怒ったのはどうしてか。それは「非公認と言いながら裏でお金を渡して事実上公認と同じように扱っていた」とみなしたからだろう。森山幹事長の言い訳はひどいもので「選挙期間中に支出したが選挙では使わない」というものだった。今回も「萩生田光一さんと平沢勝栄さんを表向きは党員として扱わないといいながら裏ではどうせなにかやるんだろう」と思われて終わりになるだろう。

だが逆の懸念もでている。

萩生田光一氏は「(森山氏ではなく)高市氏を幹事長にすべきだった」と言っている。つまり次に政局になった場合に「高市総理擁立」のキーパーソンになる可能性がある。だが萩生田さんに投票権がなければその影響力を削ぐことができる。つまり政局的な思惑が透けて見えてしまう。

 「党所属国会議員」として扱われなければ、総裁選で出馬したり議員として投票したりできず、党大会の構成員にもなれない。党内からはやむを得ないとの意見の一方、「ルールを守らない党になってしまった」(関係者)と困惑する声も出ている。

萩生田氏ら「党所属」扱いせず 自民、批判懸念で異例対応(時事)

おそらく森山幹事長は有権者が何に怒っているのかがわかっていない。

だからこの様なチグハグな対応になる。この迷走ぶりが透けて見えるもう一つの話が進行している。自民党の中に政治改革本部が作られた。小泉進次郎氏が事務局長を務めると強調されているが記事を読むと田村憲久元厚生労働相が補佐に入ると書かれている。

本部長の渡海さんは自民党を出てさきがけに入党したが「自・社・さ」政権のあとにさきがけが解党した際に自民党に復党しているそうだ。森山派の前身だった派閥に所属していたが石破派にも出入りしており石破・森山体制の間をつなぐような立ち位置の人のようである。一度外に出た経歴が石破さんに似ているのだ。

自民党は31日、政治・党改革を検討する政治改革本部(本部長・渡海紀三朗前政調会長)の事務局長に小泉進次郎元環境相、幹事長に斎藤健前経済産業相を充てる人事を内定した。田村憲久元厚生労働相が本部長を補佐するポストに就く。

政治改革本部事務局長に小泉氏 自民、年内の規正法改正目指す(時事)

田村氏はもともと石破派に所属していたが「石破氏が総理になれない」とわかると派閥を離脱し岸田派に入り直した。石破氏は田村氏の優れた実務能力はよくわかっているが若干距離があるという微妙な関係だ。おそらく政治改革のような調整が難しい問題については田村さんのような実務家が適切との認識なのだろうが有権者向けの顔として小泉進次郎氏を起用したのではないかと思う。

石破氏は実質的には自分に近い人達を政治改革のコアに据えたが国民向けのアピールのために小泉氏を投入した。

あの惨憺たる総裁選で中身がまったくない事がわかった小泉氏に選挙の応援隊長をやらせ支持率の再浮揚に重要な政治改革の「顔を任せる」ことが有権者にアピールするとも思えない。だが、それでも石破・森山体制(有権者の気持ちが読めない2人組)の臭み取りのために小泉進次郎氏を表看板に据えておきたいという気持ちがあるのだろう。

自民党は腰を据えて真摯に反省しようとは思っていない。どう見せれば国民が忘れてくれるかだけが重要なのだ。確かにハンバーグを作るときには臭み消しのハーブをいれる。新鮮な素材を準備できない場合はそれもやむをえぬ措置だがさすがに限度というものがある。

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