オタクファッションというものがある。チェックのシャツをケミカルジーンズにタックインするというのが典型的なイメージである。ジーンズはケミカルである必要はなく、1年以上洗われていない普通のジーンズでもよい。
オタクも情報を仕入れることができるわけで「タックイン」はダサいということを知っている。そこでTシャツを買ってきてシャツのボタンを開ける。模様があればいいだろうと考えるので、お気に入りのキャラクターの入ったものを使う。するとオタクっぽさが倍化する。
ところがイケメンが同じような格好をしてもオタクっぽくならない。実際にユニクロのチラシにはチェックのシャツを使った構図が溢れている。イケメンが同じような格好をすると「アメカジ」ということになる。
さて、何が違うのか。
最近病気をした。不活発になったからか10Kg以上太った。5kg太ったくらいから鏡を見るのが嫌になり体重計にも乗らなくなった。1年程度経って鏡を見たのだがとてもショッキングだった。チェックのシャツを着たところオタクっぽく見えた。
ここから簡単な教訓が得られる。太った人がアメカジファッションをするとオタクになってしまうのである。つまりケミカルジーンズや柄の入ったTシャツとオタク性はあまり関係がない。そこで少しでもおしゃれに見せようと考えて柄物に手を出すと、体の線が強調されてしまい、オタクの無限スパイラルに入ってしまうのである。
まずはやせることだと思った。そこで腹筋運動をしてみたのだが、次の日には腹筋運動ができなくなった。それだけ体を動かしていなかったわけだ。しかし、急に腹筋運動をしたからといっておなかがへこむわけではない。一応酢の入ったドリンクなども飲んでみた。ということで、腹筋運動とオタク性との間に強い相関はなさそうだった。
次にGUに行った。ちょっと屈辱だったのだが2インチアップのジーンズを買った。990円だった。これは少しオタク性をなくす効果があるらしい。つまり体のサイズを無視して服を選んでいるからだらしなくなってしまう。
あまり関係ないのかもしれないが。ユニクロやGUはオタクっぽく見える地雷のような要素がある。日本人が華奢だからなのだと思うのだが、ウエストが絞り気味になっている。Lサイズを買えばいいじゃないかなどと思ったのだが、ユニクロのサイジングは身長との相関が高いのである。手元にあるGAPを着てみたところMサイズが入った。Tシャツのボトムの幅が違うのだ。アメリカ人の方が体が大きいからなのかもしれない。
しかし、これで写真を撮ってみたのだがまだ太って見える。横からみるとだるまである。服を買いに行った(といっても中古とユニクロ系だけだが…)時にブックオフで去年のファッション雑誌を買ったので、モデルについて調べてみた。任意の写真を選んでそのとおりに立ってみた。
パーツが違うから比べられないんじゃないのかと思う人も多そうだが、実は彼らは背伸びをしている。試しにSAFARIを読んでみるとわかると思うのだが、片足が爪先立っているものが多い。
姿勢を保つための第一のコツは立つことだ。爪先立ちになり、すとんと腰を落とす。すると自動的な調整機能が働いて踵あたりに重心が来る。これが正しい立ち方らしい。さらにどちらかに伸びて反対側の足を浮かせると「歩いている」瞬間を切り取ることができる。
これができないままで写真を撮影すると、おなかが出ており、なおかつ肩や胸に妙に力の入った奇妙な立ち方になることが分かる。体幹がしっかりしないのに上半身で体裁を取ろうとするためだ。これにチェックのシャツを合わせるとオタクっぽい感じの立ち方になる。さらに体の線を無視しただぼだぼな服か、逆にぴちぴちの服を着るとオタクになれるのだ。
よく通販番組で瞬間にウエストが10cm縮んだ!などとやっている。実際にこういうことが起こるのである。痩せたわけではなく姿勢が改善されたことになる。
同じ服を着てもオタクになるか普通の人になるかということはサイジングと姿勢で決まるのではないか。かつては高いスーツを着ることで脱オタク化を図ることができたわけだが、最近はシンプルファッション全盛なのでこれだけですべてが決まってしまうということになる。
オタクは体の使い方について意識したことがないということが言える。野球をやっていてフォームを研究したことがあるとか、ダンスを習ったことがあるという人は体の使い方について考察したことがあるはずなので、それをやったことがない人がオタクといういことになるだろう。
このことは別の重要なことを示唆している。ファッション初心者はユニクロやGAPなどのファストファッションに行くべきだということだ。できるだけシンプルにしなければならないので、変にデザイン性のあるものを選ぶと「痛い」ことになりかねない。ファッションというと、どうしてもアクロバティックなデザインの物を着こなすことだと思ってしまうのだが(例えばMen’s non-noはそのような構成になったページがある)実際にはそうではなさそうだ。
次に考えるべきなのは「じゃあユニクロでいいのか」問題なのだが、これについては別途考えたい。