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盛り上がりに欠ける総選挙 自公過半数の予測がまた後退

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第一回の情勢調査(読売・毎日・共同)で、自公で過半数を取ることは確実視されているように思えた。だが第二弾の情勢調査(朝日・共同)では自公過半数を「割り込むおそれ」と表現されていた。

そんな中、時事通信が「自公過半数をうかがう」と書いている。割り込むおそれは「過半数は維持するが達成できない可能性がある」という意味だが、うかがうは「過半数が維持できないが頑張れば挽回できるかも知れない」ということになる。あくまでも文学的な違いだが徐々に勢いが後退している。

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時事通信の情勢調査の記事からは2つのことがわかる。一つは自公過半数の可能性が低下しているという点でもう一つは選挙の争点が「裏金」となっているという点である。

自民党が単独過半数を割り込むという予想は定着しているが公明党も選挙区・比例とも逆風にさらされている。また野党は明暗が別れ「ゆ党」とされることが多かった維新が後退するという予測が定着している。万博や兵庫県知事の問題で批判にさらされれていた。

時事通信は各選挙区の情勢調査も出しておりタイトルはその結果をまとめたものである。ただし時事通信の記事は検索が難しいため「時事 「県名」 情勢」などで検索するといいだろう。読売新聞も数日前に情勢調査を出しているので比較すると面白い。意外な人が苦戦しているのを見ることができる。また迷っている人は「当選しそうにない人」を調べることもできる。つまりそもそも情勢分析に名前が出ていない人は小選挙区で議席を得る可能性が少ないと分る。それでも投票するという人もいるだろうし、そうでない人も出てくるのではないかと思う。

ただ、政権交代の可能性がある割に有権者の関心はあまり高くないようだ。これが2009年との大きな違いである。

今回のワイドショーレベルの政治報道を見ていると選挙が始まってから取り扱いが減っている。選挙区情勢を公平に伝える必要があり政局報道ができなくなった。これを埋めるために当初は政策報道などを行っていたが次第に取り扱いが減っている様な印象だ。おそらく数字が取れなかったのだろう。むしろアメリカの大統領選挙や大谷翔平選手のワールドシリーズ参戦のようなニュースの扱いが増えている。

なぜ政策報道が減っているのかは推測するしかない。

各党の政策に実はそれほど違いがなく財源の裏打ちがないことが影響しているのではないかと思う。現在の状況を改善するためには産業構造や交易条件を劇的に変える必要があるが各党の政策にはそのような劇的な「パイを増やす」提案はない。そこで人々は政府の支援に期待するわけだが、人々の支援の原資は税金なので最終的な請求書は有権者に送られてくると予めわかっている。

こうした閉塞感が支配的になる中で「嫌な意思決定に関わりたくない」という人が増えているのだろう。記日前投票も前回より伸び悩んでいるという。最終的な投票率も低くなるのかも知れない。

ではなぜ裏金に注目が集まるのか。これも推測するしかない。仮に職場や学校やSNSで「自分の生活が悪いのは政治のせいだ」と発言したとしよう。おそらく「政治のせいにするな、お前が悪い」と言われて終わりになるはずである。日本は自己責任社会だ。

だが生活に対する不満や不安は溜まっており「誰かを攻撃したい」というニーズは高まっている。日本の場合「ルールや作法を守らない人」が攻撃される。戦中に隣組の相互監視が厳しくなったのと似ている。自民党の政策の第一は「ルールを守る」だが、これが有権者の閉塞した感情を刺激している可能性がある。

こうなると人々は懲罰を求めるわけだが立憲民主党の党首は「あの」野田佳彦だ。当時の民主党は埋蔵金を掘り出せば国民負担は無くせると主張したが最終的には消費税を値上げした。有権者は騙されたと感じている。自民党・公明党は懲罰したいがかといって立憲民主党もなんとなく信頼できない。維新も結局は万博を利用している。

結果的に有権者は「どの政党も勝たない」伯仲状態を望むようになった。

ただし政治の側もこれを織り込むようになった。有権者が伯仲状態を望むなら「選挙が終わったあとに」政党を組み替えてしまえばいいのだ。

すでに山崎拓氏や森山裕氏が「政界再編・与党拡大」に言及しているという記事はお伝えした。また高市早苗氏が行動を起こすことを期待する人達もいる。週刊誌レベルでは(おそらく希望的観測も含めてなのだろうが)維新にもなにやら動きがあるようだ。自民党の長老に当たる「卒業生」たちが独自の動きを見せている。

だが当然のことながら政界再編は日本の閉塞した状態を変えるのには全く役に立たない。単に政治家たちが生き残りをかけて争っているだけである。

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