ざっくり解説 時々深掘り

パルコがなくなる

「パルコがなくなる」ということでセールをやっている。そこで商品券をもらった。カードのポイント交換なのだが、2000円ごとに500円のおまけが付いてくるので「お得だろう」というのだ。
というわけで、最近ここをよく覗くのだが、なぜパルコがなくなるのかということがなんとなくわかった。
周囲には駐車場が少ない。この界隈は車社会化が進んでいるので街の中心部に出てくるのは却って大変なのだ。日経新聞が分析している通り、駐車場不足が街の過疎化を進展させているのは間違いがないだろう。流行っているのは駅から歩いて5分圏内にあるそごうと駐車場がふんだんにある幕張のAEONと南船橋のららぽーとだ。
しかし、問題はそればかりではなさそうだ。品揃えが壊滅的に少ない。男性服の売り場は4階に集まっているのだが、定番品(無地のシャツかボーダー Tシャツといったもの)か、一昔前のロックシンガー(細身でシワの入った黒いパンツに、赤や黒などを合わせたりする)が着そうなものしかない。例外としてTakeo Kikuchiが入っているのだが、値段が高いので誰もいない。それとは別にWEGOと古着屋があるのだが、その一角はそれなりに賑わっていた。
ロック兄の好みそうなブランドはいくつかある。背景を調べてみたら、たいていが糸問屋がブランドに乗り出したものだった。一昔前は同じようなデザインで品物を作れば飛ぶように売れた時代があったのだろう。現在では約半分が売れ残るそうだ。
デザインというものが死んでしまったのだなということがわかる。デザインが成立するためにはある程度の多様性が必要なのだが、多様性を演出しようとするとある程度の売り場面積が必要だ。この近所だと南船橋にららぽーと程度の品揃えが要求されるのだろう。
ららぽーと並みの品揃えができないと「一番売れそうなやつ」に照準を合わせる必要があるわけだが、それが定番商品か栄町(東京でいえば歌舞伎町をうら寂しくした感じ)だったのだなあと思った。つまり、水商売の男性向けのショップになってしまったわけである。こういう人たちが参考にしているのはSafariらしく、店頭にはSafariが飾ってある店が多かった。毎回同じようなコーディネートしか並んでいない雑誌だが、あれが今なんだなあと改めて思った。
客層を見ていると、男性の服装はシンプル化しているらしい。最近の若者(とはいえデートコースになっっているので、そこそこモテそうな人しかこない)はさらにスタイルがよくなっており背も高いのでこうい格好が似合っている。ただ、ファッションとしては面白くはないだろうなあとは思った。
女子だけの買い物客はスマホとにらめっこしていた。コーディネートを調べているのかなあとも思ったのだが、もしかしたらZOZOあたりで値段をチェックしているのかもしれない。定番品が多いのでどこで買っても一緒なのだろう。でも、もし定番だったら一番安いのはユニクロだろう。まあ、パルコにはユニクロはないのだが。
お客が服を選ぶ目線はシビアになっている。限られた予算の中で失敗しない服を選ぶ必要があるのだろう。それはよく売れている商品かシンプルなものということになる。つまり、店頭から多様化が消失しているだけでなく顧客の側からも多様性はなくなっているのかもしれない。
最近の人はスタイルがよいので、いろいろなファッションが楽しめていいなあなどと思うのだが、選択肢があまりにも少ない。色も選べないし、形も決まったものしかない。年齢を重ねるとさまざまなスタイルを試せなくなってゆくので、もったいない話だなあと思う。
img_0511-1さて、このようにファッションの砂漠化しているパルコだがレストラン街だけは盛り上がっていた。ファストフードのチェーン店かラーメン屋しかない地方都市にしては多様な料理が食べられるとみなされているのかもしれないし、ウィンドーショッピングしてから料理を楽しむというのが定番のデートコースなのかもしれない。
日経新聞の記事はアウットレットショップを競合と見ていたわけだが、本当は街中心部にでかけることがイベントになっているのかもしれない。
個人的にはパルコで一番行きたい店はスタバだった。うまれてはじめてコーヒーにクリームをトッピングしてみた。


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