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石破政権支持率28%の衝撃

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時事通信の定例政権支持率調査の結果は衝撃的なものだった。石破政権の支持率が28%しかなかった。これでは政権末期も同様だ。

こんな書き出しで始めたいところだが、実際には「まあそうなんだろうな」と言う気がする。一方で気になったこともある。野党支持率が伸びておらず「よくわからない」という人が増えている。時事通信は「態度保留の人が増えた」と言っている。

つまり、あなたが決められないのも当然ですねということだ。みんな迷っているのだから。

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有権者は態度保留

独自分析をするよりも時事通信の解説委員のまとめのほうが的確だ。政権に対する評価を保留した人が多かったそうだ。一方の立憲民主党の野田代表は評価3割、評価しない3割、わからない3割になっている。つまり有権者は政権選択選挙と言われても「判断材料がない」と考えている。

それによると、不支持率は30.1%(前月比27.4ポイント減)。「分からない」が最も多い41.9%(同18.1ポイント増)だった。衆院の解散時期などを巡り、石破首相が総裁選時の発言を翻したり、自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受け、いわゆる裏金議員の公認問題での対応が批判されたりする状況下、政権に対する評価を保留した有権者が多かったようだ。

発足時に「末期」、石破政権の船出◇時事通信10月世論調査【解説委員室から】

ではこれがなぜ衝撃なのか。

「判断材料がないなかで選挙が行われても結果に納得しない有権者が増える」ことが容易に想像できる。

選挙のキャンペーン広告を見ても政治に関する記事を見ても「今こそ変化のとき!」「抜本的改革」のオンパレードだが実際には「政治が変化を起こそうとしても何も変えられない」状況が生まれる公算のほうが高い。

背景にあるジレンマ

背景にあるジレンマは意外と単純だ。

一例として読売新聞の「賃上げ・中小支援が急務…各党の財源確保策、説得力欠く」を読む。変化に伴う痛みに対処するためには財源が必要だが各党ともそれを示せないと書いている。

先日お伝えした最低賃金1500円議論でも同じ様なジレンマがあった。

日本経済を再活性化するためには賃上げが重要だ。だが、どの様なルートでそれを実現しても誰かが痛みを感じる。それを目の前で並べてみて「どれも痛みを避けられそうにありませんねえ」「誰か決めてくれないですかねえ」で議論が終わってしまうのである。

なぜかすべて個人攻撃に受け取られてしまう

翌日のテレビ朝日の羽鳥慎一モーニングショーでは政府の地方創生政策について取り上げていた。

現在の地方創生事業には無駄が多く「普段から地方創生事業に携わっている」という石川アンジュ氏が「まずは田中角栄時代からのマインドセットを脱却しなければならない」と指摘していた。

確かに、地方創生事業にはかねてから「コンサルのお小遣い稼ぎに使われている」という指摘がある。地方の実情にも企業にも詳しくない中央の政治家が予算を握っており彼らが納得する形式を整えた人がお金を引き出せるというゲームに堕しているのだ。

ところがこれを批判すると「一生懸命に考えた官僚を否定するのか」ということになる。安倍政権下で地方創生事業に携わってきた石破茂総理はそもそも田中角栄に担ぎ出されて政治家になったという人だ。田中角栄型の政治を踏襲していてもなんの不思議はない。そして安倍政権下の地方再生事業を批判すると石破茂総理を否定することになってしまう。

同じことがアベノミクス本体にも言える。アベノミクスは日銀の実質的な財政ファイナンスのもとで必要な痛みを伴った変化を起こす余裕を作るという政策だった。しかし安倍総理はそれを選択しなかった。だから今になって問題が起きている。変化に必要な原資は使い果たされ、矛盾は拡大し、人々は停滞に慣れてしまった。

ところが「これは見直すべきである」と主張するとたちまち「安倍総理を否定するな」という声が出てくる。アベノミクス批判ではなく安倍氏への個人攻撃だとみなされてしまうからである。個人の石破候補時代と総理大臣になってからの石破総理が別人のように見えるのはそのためだろう。個人としては批判できるが組織としては批判ができない。アベノミクスやキシダノミクスを党の総裁が批判すると安倍氏や岸田氏を否定したことになってしまう。

このように課題と人格が分離できないことで日本の政治議論は不必要に複雑化し変化に必要な教訓を得る機会が失われてゆく。

変化!変化!変化!

そう考えながら政党の政治キャンペーンや政治記事を見たり読んだりすると「彼らは変化を期待しているのではなく」「自らは変わらずに誰かが変わってくれることを望んでいるのかも知れない」と思う。誰かの変化と自分が変わらないことが等価になっている。

これまで現状追認を意思決定してきた人たちは必要な意思決定を放棄してきた人たちなのだろう。そんな日本の有権者が「保留していた態度」を投票日当日までに決めきることができるのかあるいは投票日も迷ったままで選挙にゆかないのかには注目が集まる。

今のところ各紙の情勢調査では「与党はかろうじて過半数を確保する」ことになっている。つまり変わらないことと決めさせないことを選択する可能性が高いということだ。

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