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自民党が勝っても立憲民主党が勝っても増税議論が始まる

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いよいよ衆議院選挙が公示された。天皇の国事行為として行われるために特別に「公示」と言われる。補欠選挙と地方選挙は告示とされるが国政選挙は政権選択の意思を意思を示す特別な選挙と位置づけられている。だが、今回の選挙はどちらが勝っても増税議論がついて回る。

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立憲民主党の野田代表は法人税増税と金融資産課税を打ち出している。金融資産課税については「議員個人としての石破さん」は賛成だったが「総理大臣の石破さん」は慎重な姿勢である。

野田代表は消費税減税にも慎重な考えで一度は「消費税還付」を打ち出していた。しかし消費税を納税するのは消費者ではないので「論理が破綻している」として批判されるとその主張を抑制している。

野田代表は明らかに国民負担増を狙った代表だ。主張を全面に押し出すと立憲民主党は勝てないので「自民党の裏金問題」を争点にしたいと考えており、今のところそれは成功している。

では増税を忌避する有権者は自民党にいれるといいのだろうか。

石破総理は「防衛増税の議論から逃げるべきではない」として2024年末の決着を約束している。もともと防衛・安全保障に強い関心がある総理大臣のため「防衛増税をやめる」ということにはならないだろう。また財務大臣だった鈴木俊一氏は麻生派が支援する高市氏や河野氏ではなく石破陣営に入っていて、石破政権では党の総務会長として石破体制を支える。これらの文脈からも石破氏の「決着」は増税になる可能性が高い。

つまり今回の選挙は実は裏金選挙ではなく「国民の負担増」の手法を選ぶ選択選挙ということになる。どちらに入れても何かの負担増を「信認」したことになる。

となると第三党に入れればいいのではないかという気がする。確かに維新は「維新の政権入りはない」と言っている。だが閣外協力は否定していない。仮に自民党と公明党が単独過半数を割り込み、なおかつ立憲民主党も政権を取れなかった場合にはこのポジションが生きてくる。

日本維新の会の馬場伸幸代表は15日のNHK番組で、衆院選で自民、公明両党が過半数割れした場合の対応を問われ「連立政権に入ることはない」と述べた。ただ「結果の議席数を注視しながら、今後の対応をメンバーと議論して考えたい」とも語り、自公との協力に含みを持たせた。

維新代表「連立入りない」 自公との協力には含み

維新が反対した法律や予算は衆議院を通過しないことになるため少数与党は維新の主張を丸呑みせざるを得ない。

もちろん選挙にいかないという選択肢は「権利を放棄した」上で「増税を黙認した」ことになる。

もちろん、国民が自民党・公明党か立憲民主党の負担増の議論を受け入れて承認するという可能性を否定するつもりはない。だが仮にそうではない場合には「どちらも勝たせないこと」が最善の戦略になる。

衆院選トレンド調査で、望ましい選挙結果を聞くと「与党と野党の勢力が伯仲する」が50.7%で最多だった。「与党が野党を上回る」は27.1%、「与党と野党が逆転する」は15.1%だった。

【速報】望ましい選挙結果、与野党伯仲が50%

しかし衆議院の選挙は一度しか行われない。フランスのような二回選挙制であれば状況は変わるだろうが日本にはそんな制度はない。

となると「実質的な二回目とはなんだろう?」ということになる。もちろんそれは参議院議員選挙ということになる。つまり参議院議員選挙が実質的に二回目の選挙になり「ねじれ」が負担増を望まない国民の最適戦略になるのかも知れないと理屈の上では結論付けられる。同じ公示でも政権交代と関係がない参議院では有権者も気軽に野党に投票できる。

経済成長の議論が進まない我が国の政治家が今まで通りの既得権を維持するためには財源が必要だ。そのためには国民に負担増の白紙委任状を提出して貰う必要がある。だがこれは中期的に見れば政治の自滅行為である。そして、現在の議論を見る限り政治はこの自滅行為を自ら選択しようとしているように見える。

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