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「マクロン恥を知れ」の顛末

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日本ではあまり大きく報道されていないがネタニヤフ首相がマクロン大統領に対して「恥を知れ」と恫喝した。普通に考えると世界大国で支援国であるフランスのほうがイスラエルよりも立場が強そうだ。だが実際には慌てたマクロン大統領がネタニヤフ首相に電話をしてイスラエルの自衛権を保証している。実はネタニヤフ首相のほうが立場が強いのである。

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マクロン大統領は国内統治に失敗し極右と極左の台頭を招いている。フランスはエスタブリッシュメントが政治を独占していたが大衆が離反した。そこで改革派のマクロン大統領に期待が集まる。しかしながらマクロン大統領も所詮はエスタブリッシュメント出身者に過ぎなかった。年金改革などが反発され急速に支持を失っていった。結果的に都市部では極左の台頭を生み地方では極右が躍進している。

フランスは西アフリカからも撤退しておりかつてのような世界大国ではなくなっている。経済的な状況も芳しくない。国内の政治は分断されており経済が好転する兆しもない。そして、フランス人はそれがなかなか受け入れられない。

内政で行き詰るマクロン大統領にとってフランスの勢力圏だったシリア・レバノンへの介入は「フランスはやはり未だに世界大国である」と内外に示すことができる絶好の機会になったはずだ。

イスラエルがレバノンへの攻撃を強めると旧フランス領を保護する立場から反対を表明し「イスラエルへの武器輸出の禁輸」を訴え、レバノンを支援する国際会議を主催すると宣言した。フランスだけでなくフランコフォニーと呼ばれる協力機構を引き連れて「フランコフォニーの盟主」として振る舞おうとしたのだろう。

仏語を公用語とする国・地域などでつくる「フランコフォニー国際機関(OIF)」が開いた会合の閉幕会見で語った。フランスの委任統治領だったレバノンもOIF加盟国。

レバノン支援の国際会議、月内開催 フランス大統領表明(日経新聞)

これがネタニヤフ首相の激しい反発を呼ぶ。ネタニヤフ首相は自身の延命のために戦争を継続しているものと見られるが、イスラエルはイランを含む7つの戦線を維持しており自衛の権利があると主張した。だがそれだけではなくマクロン大統領に「恥を知れ(shame on you)」と発言した。英語がよくわからない人でもドキッとするような発言だ。読売新聞は「恥知らず」と翻訳している。

公共の場で公然と「恥を知れ」と罵られたのだ。マクロン大統領も強い姿勢で言い返しても良さそうだ。だが実際にはマクロン大統領はネタニヤフ首相に電話をして「イスラエルの自衛の権利を認める」と発言している。

ネタニヤフ首相は強気に出れば出るほど国内での支持が上がる。一方でアメリカ合衆国やフランスは国内の政治状況を有利に運ぶためにイスラエル状況に介入しているに過ぎない。つまり双方の切実度は全く違っている。

結果的にアメリカもフランスもこの混乱を止めることができず中東情勢の泥沼化は収束しそうにない。

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