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杉田水脈氏の公認申請 自民党の地方支部が恐れること

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石破総理が裏金議員の公認について決定を下し波紋が広がっている。政策議論は進まず「自民党と公明党で過半数を割り込むのではないか」とか「選挙が終われば安倍派の反乱は間違いがない」などと言った政局ばかりが囁かれるようになった。

そんななか、山口県連は杉田水脈氏に対する公認申請を出したそうだ。人種差別的を含むお騒がせ発言が多く「自民党は反省していない」という声が渦巻いている。だがそれでも山口県連はネトウヨ層の離反のほうが怖いのだろう。

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石破茂総理の思い切った決定について田崎史郎氏は概ね次のように解説していた。

都市部を中心に自民党の内部調査の結果が良くなかった。執行部は慌てており思い切った対応を迫られていた。どういうわけか裏金候補は原則公認だという話が先行した(田崎さんは「小泉進次郎氏が押しきれなかった」とは言っているが「森山氏が主導した」とは言わなかった)が石破氏は何も決定していなかった。結局、石破総理が議論に入り2対1で「自民党としては相当思い切った処分」が決定された。

一方の東国原英夫氏は別の番組で「そもそも森山氏の発言は観測気球だろう」と言っている。おそらく取材に基づく発言ではなく憶測なのだろうが「世間の厳しい評価を自民党内部に知らしめる効果がある」との分析。

「裏金はなぜいけないのか」という議論は進まず、なんとなく「ダメなものはダメ」ということになっている。その中で政権は落とし所を探そうとしているが、そもそも明確な基準がないためどこを落とし所にしていいかわからない。まさに混沌とした状態となっている。

都市部での結果が相当悪いという発言も「このままでは自民党が負けるから頑張れよ」という観測気球かも知れないと言う気がする。

だが、実際に立候補を取り下げる議員も出てきた。越智道雄氏の子息で福田赳夫氏の孫でもある越智隆雄氏が立候補を取り下げた。世田谷西部が選挙区でこのところ立憲民主党に競り負けていた。都市部では世襲のブランドだけでは勝てなくなっており、なおかつ自民党にとっては厳しい状況になっていることがうかがえる。

なんとなく自民党にいれるのが正解だろう」と考えていた人たちが「今回はまだ迷っている」ことがわかる。田崎史郎氏の取材によれば都市部ではその傾向が顕著だ。

だが石破総理に離反しそうなのは「なんとなく正解」層だけではない。高市早苗氏に期待した人たちが石破総理に疑いの目を向けている。

野田佳彦立憲民主党代表と吉田晴美氏はこの脆弱性をつつく作戦に出たようだ。石破総理や村上総務大臣の過去のアベノミクス否定発言を取り上げていた。過去の発言を掘り返し「自身の主張を封印せざるを得なくなった」変節ぶりを指摘することによって「疑似政権交代ではダメだ」と主張する狙いがある。と同時にアベノミクス否定発言を掘りおこし内部分裂を加速させたいという目論見もあるのかも知れない。

世間の自民党に対する目はかなり厳しくなっている。普通なら「議論を呼びそうな人は候補者から外すのではないか」と思える。自民党山口県連が杉田水脈氏の公認申請を行った。人種差別的な極端な発言が多くリベラル層から広く嫌われている。だから当然批判が殺到している。

自民党は杉田氏を優遇しているという声がある。だがそれは必ずしも真実ではないと指摘する人がいる。「投票用紙に「杉田水脈」と書かれたら困る(?)比例単独議員ならではの選挙戦略とその限界」という坂東太郎氏の記事を見つけた。

確かに前回の総選挙の結果を見ると坂東氏の言っていることは正しい。中国地区は自民党王国なので大抵の議員たちは小選挙区で当選してしまう。残りの「絶対に当選させたい人」が比例名簿の上位に来ている。杉田氏はあくまでも「その他組」である。

いわゆる「ヘイト層・ネトウヨ」と呼ばれる杉田氏に共感するような人が杉田氏を当選させるためには自分の知り合いに「杉田さんをよろしく」と言って回らなければならない。つまり既得権の恩恵に預かれない人たちを繋ぎ止めておくための「道具」という役割がある。とはいえ「まともな世襲議員」は杉田氏のようには振る舞えない。つまり杉田氏は自民党がネトウヨを繋ぎ止めておくための装置なのだ。

赤沢経済再生担当大臣(鳥取県第2区選出)の発言を見てみよう。「公認しないと、自民党の比例票が抜ける。そういうことまで考えないといけない」と言っている。保守王国と言われる中国地方でもかなり深刻な事態が進行していることがわかる。

「なんとなく正解層」に離反された上にネトウヨに離反されると、本当に自民党・公明党が過半数を割り込みかねない。だから自民党は杉田さんのような「実績がある人」を人を切れないのだ。

すでに石破総理は参議院議員選挙までは持たないだろうという言説が飛び交っている。「なんとなく正解層」の人たちは「今回は自民党は正解ではないのでは」と疑い始めるかも知れない。つまりバンドワゴン効果(みんなが乗っているものに乗りたくなる)が失われる。ここで「絶対に自民党でなければならない」と考える人達が多くいてくれればいいのだがおそらく利害関係者はそれほど多くない。統一教会は「今回は自民党は応援できない」と言っている。さらにネトウヨと言われる人たちは「今回選挙に負ければ石破は真正保守の真の底力を思い知るだろう」と考えている。

そう考えると「自民党の形勢が不利だ」という事前の報道が自民党の力になるように思えない。

当初は「さすがに有権者は政権交代までは望んでいないのではないか」と思っていたのだが、その読みはなんとなく外れてしまうのかも知れないと思い始めている。

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