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玉木雄一郎氏のこども国債に反対する

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民進党の代表選挙が始まった。蓮舫氏と前原氏に加えて玉木氏が立候補した。あまり争点のない戦いで注目度合いも低い。一応、総理候補になるわけだが、民進党が政権を取れる人がいるとは誰も思っていないからだろう。
その中で玉木氏だけが、なんとなく新しげなアイディア「こども国債」を提案している。こども国債はこどもへの財源として国債を利用しようという<斬新な>アイディアだ。これについて反対の論陣を張りたい。
そもそも国債はその世代だけが便益を受けるわけではない投資に用いられる制度だ。ダムや高速道路を作れば数世代に渡って利益がある。だから、国債を発行をして税金を前払いしてもらおうという制度なのだ。子育ての便益を受けるのはその世代と親世代なので、国債を使うような話ではないのではないだろうか。
それに関連して玉木氏はこどもに関する予算を増やせば子供が増えて将来の税金が増えると説明している。一瞬なるほどと思う説明だが「将来(生まれるかどうか分からない)子供が払う税金を先食いします」と言っているのと同じことである。経済的に合理的な判断なのだったら、今ある予算の配分を工夫すべきだ。それをしないのは経済的に不合理なのだから、国会議員の不作為だと言える。これを遠慮がちにいえば良いのだが、文中では20〜30年経ったら当事者である子供に払ってもらいましょうと書いてある。

彼らは将来、立派な納税者になります。20年~30年償還の「こども国債」を発行すれば、彼らが自らその借金を返していくことになります。財政学でいう「自償性」の高い国債と言えます。

最後に消費税の経緯をみてみたい。福祉目的税として始まった消費税なのだが、いつのまにか福祉予算のキャップとして利用されている。消費税が上げられないから福祉予算の削減をしますというような言い方が平気でなされている。こども国債を作れば「借金できないから子育て予算を減らします」という説明がまかり通る様になるだろう。
こども国債は「学生に奨学金という名前の学生ローンを背負わせて、借金を返済するのにがんばって働きましょう」というのに似ている。この政策が真面目に議論されることはないだろうが、どうしてこんなとんでもない政策を真面目に提示するつもりになったのかよく分からない。
発想としては、昔はインフラに投資していたのだが、これからはこどもに投資すべきだ(コンクリートから人へ)というのが出発点だったとは思うのだが、どうして「借金しないとダメなんだ」ということになってしまったのかがよく分からない。数字に疎いのではと思ったのだが、財務官僚出身なのだそうだ。