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安倍首相の「リーダーシップ」では北方領土は戻ってこない

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左翼の人たちが北方領土問題について騒いでいる。安倍首相がロシア人の居住を容認したのが気に入らないらしい。しかし、毎日新聞の記事を読んでもなんのことだかさっぱりわからなかった。
このニュースの背景には二島先行返還論があるようだ。すでにソ連と日本の立法府で決済しており首脳の決断で実行できるのだそうである。鈴木宗男氏によると二島のロシア人は「追い出されること」に懸念を持っているようだ。その懸念を払拭しようとしたのかもしれない。だが、鈴木氏の記事によると返還にはもう一つの条件がある。「サンクションの解除」だ。
しかし、これは欧米の支持が得られそうにない。オバマ大統領は末期なので次の大統領が決まるまで日本は独自の外交は展開できない。仮に日本が極東の一地域が欲しいあまりに抜け駆けしたら大騒ぎになるだろう。
それでも民族の誇りのために西洋諸国の避難を覚悟の上でロシアに擦り寄るというのはオプションとしてはあり得る。安倍首相に強いリーダーシップと覚悟があれば可能だ。だが、安倍首相には国民の支持もリーダーシップもない。ロシア人の居住容認を自分で決めることすらできなかった。事前に発表したのは国内世論に対するサウンディングなのだろう。
実際にイメージすると対馬に韓国人の居住を許可するようなことになる。クリミア半島であったように住民が「民主的に」韓国への帰属を決めたらどうするかとか、対馬と博多の間のパスポートコントロールはどうするかとかの問題を具体的に考えだせば、きっと大騒ぎになるのではないだろうか。南千島と北海道の間をパスポートフリーにすれば、日本へのよい流入経路になるかもしれない。だが、国内世論も「どうせ帰ってこないだろう」と思っているわけで、大した反応はなかった。
国内世論よりもアメリカが怖い安倍政権のこの問題にたいするコミットメントはそれほど強くなさそうだ。
今回の台風で北海道東部の交通は寸断されているそうだ。鉄道に至ってはさらに悲惨でJR北海道が札幌近辺以外の鉄道を廃止すると言っている。これについて安倍首相は何のメッセージも出していない。にもかかわらず、さらにそこから遠く離れた島の開発を本気でやる気があるのだろうか。とてもそうは思えない。たしかに北方領土が帰ってくれば偉大なリーダーだということになるのだろうがその後の面倒を見るつもりはなさそうである。
実は今回の報道ではでなかったことの方が焦点になっていることがわかる。つまり日本は独自にサンクションの解除はできませんよと言っているのだが、これを「英断」のように書いているので話が分かりにくくなっているのではないかと思う。
 


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