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瑞穂の国にコメがない(1/3) まとまらない議論

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テレビで盛んにコメ不足の話が流れている。色々話を聞いてみたが議論が全くまとまらない。政府は「9月になればコメ不足は解消する」と言っているのだが、一部報道で「コメの値段は高止まりするだろう」という予想が出始めた。今回は三本シリーズで突然のコメ不足と政治への影響について考える。

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テレビで盛んにコメ不足の話が流れている。だが議論が全くまとまらない。テレビは「店頭にコメがない」という結果だけを伝えるが原因が全くわからない。市場調査データをもとに議論を組み立てている専門家が全くいないのだ。

もちろん「説」はいくつも出ている。

  • 政府が発表する作況指数は101だが去年の猛暑の影響で商品にならないコメが混じっていたみたいだ。
  • 外国人観光客が増えたことでコメの需要が押し上げられたんじゃないか。
  • 南海トラフの影響で備蓄用にコメを買う人が増えたのだろう。

一つ一つ議論を検証してみよう。

政府の作況指数問題は単に量だけを問題にしておりどの程度品質のコメが出ているのかのデータが取れていない。品質抜き取り検査もしていなければブランド米とそうでないコメの区別もない。残りの2つの問題は「需要が急騰した」可能性を示唆しているが政府主導の市場流通調査も行なわれていない。そもそもどのようなコメが流通しているかがわからずそれがどのように消費されているかもわからないということだ。

政府がいちいち物流に介入するのはおかしいと言う人もいるだろう。だが日本人にとってコメは主食でありそのために実質的な価格管理が容認されている。

吉村知事は「備蓄米を放出しろ」と言っている。だが備蓄米の放出には数週間かかるそうだ。日本の行政手続の不効率がよくわかる。そもそも「何が足りない」かがわかっていない。仮に備蓄米が放出されたとしても「古米はマズいから買わない」という消費者が多く生まれる可能性もある。平成の米騒動のときには「タイ米はまずい」として売れ残る事態も起きている。ちなみにこの時は本当に凶作だった。

農水省は「コメは足りている」と主張している。NHKの記事にもそう書かれているし、野党にもそのように説明しているそうだ。国民民主党の玉木雄一郎代表は農水省からこのような説明を受けているそうだ。

泉代表も新米が出てくれば状況は落ち着くとしている。

そもそも「コメ」は不足していない。

コンビニからおにぎりが消えたと言う話も弁当屋のコメに麦飯が混じったと言う話も聞かない。袋詰のコメだけが消えている。実際にスーパーを見て回ったところイオン系のスーパーにはコメが置かれていた。だが低価格を売りにして多くの客を近隣から集めているスーパーにはコメがなくドラッグストアからもコメが消えていた。ただパックご飯はきちんと並んでいた。流通に何らかの偏りがあるようだ。

近隣ではコメを求めて行列ができたとか「倉庫にあるコメを寄越せと打ちこわし運動がおきた」などという話も聞かない。つまり消費者は「落ち着いて」行動している。1918年の米騒動では暴動が起きているが、現代の消費者はテレビの情報をもとに「コメがあるときに買っておこう」と淡々かつ防御的にコメを買っている。

政治は「消費者がパニックを起こしているのだろう」と勝手に思い込んでいるようだが、国民はパニックは起こしていない。

「どうも全体的になにか変」なのだが誰も議論をまとめようとしない。テレビは結果を騒ぐばかりだしネットでも様々な「議論」が交わされている。例えば南海トラフ地震を煽りすぎた政府が悪いという記事を読んだ。これまで持論がある人たちが「それみたことか」と騒いでいる。

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