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オークションと需要と供給問題

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以前、このブログでオークションについて書いた。これと同じことを高橋洋一先生が書いて案の定炎上気味になっている。反発は感情的なものが多いのだが、理路整然と「欲しい人が手に入れられないのが問題」と書いている人がいた。いい線行っていると思う。
なぜチケット価格は高騰するのだろうか。簡単にいえば希少価値が高いから値段が高止まりするのだ。それは供給もと(例えばジャニーズ事務所)が供給をしぼっているからだ。通常の市場なら需要が多ければ供給を増やす。すると価格が下がって最終的には価格が安定するはずである。
具体的にいえば高校生のファンでも嵐のコンサートがみられるようにしたければ、嵐が毎月コンサートをすればいい。「テレビ出演で忙しいからそんなの無理だ」という人がいるかもしれないのだが、それは事務所が儲かるところに商品を出したいからである。
ここまで考えてくると「事務所は価格をつり上げているのに、その利益がダフ屋の所に行ってしまう」という問題であるということがわかる。オークションにすれば少なくともこの問題は解決されるが、コアのファンに届けるためにはコンサートの回数を多くして、バラエティ番組への出演を控えるべきだということになる。高橋先生はファンにはあまり興味がないので「オークション」と言っているにすぎない。
ファンは毎日テレビで嵐をみたいし、同時にリーズナブルな価格でコンサートにも行きたいと考えるのかもしれないのだが、それは無理だ。なぜならば「であれば嵐を独占したい」と思う人が出てくるからである。そういう人を抹殺することは(自由主義・民主主義経済下では)誰にもできない。これは正義の問題ではない。「高いところから低いところにリンゴが落ちますね」と言っているのだから、リンゴは高いところにあるべきだと言っても、リンゴは浮遊しない。
確かに、嵐が毎月コンサートをするのは無理だと思う人もいるかもしれない。この問題はどう解決すべきなのだろうか。例えば、AKBグループやExileは一軍で人気が出たメンバーを別グループに送り込んでいる。すると、後進が育ち、人気グループだけがいつまでも多くのファンを独占するということがなくなる。最近では価値の上がりすぎたSMAPが解体するという悲劇があったが、木村拓哉が別のグループと組んだりしていればこうした問題は起こらなかったはずだし、ジャニーさん代々木事件でわかるように、ジャニーズ事務所も新しいアイドルの講演を増やしている。新しいタレントを顧みないファンが悪いとも言えるが、それも工夫次第なのではなかろうか。
モモクロやAKBが適正価格でチケットを供給できるのは、顔認証システムなどの導入のおかげもあるのだろうが、イベントが常時行われていて、需要と供給が比較的安定している点にも秘密があるのではないだろうか。先の述べたように、特定のメンバーに需要が固まらないような工夫もみられる。前田敦子がいつまでもセンターだったらと考えてみればわかるだろう。多分すべての需要に応えようとしたら前田さんと大島さんは死んでいただろう。
ジャニーズやアミューズなどは「講演回数をしぼって価値を高めること」に重きを置いている。確かに毎回演出に趣向を凝らすことですばらしい舞台を提供できるのだが、価値が上がりすぎてしまい、一般の人に手に入らないという事態が起こっているのではないかと考えられる。


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