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突発性決断症の岸田総理 最後の発症は総裁選不出馬

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岸田総理が総裁選不出馬を決断した。一応、総理大臣の交代が決まったのだから各局ともそれなりに扱ってはいたが「ああやっぱり」「何もこのお盆に決めなくても」というのが一般的な評価だったようだ。これで憲法改正議論と文通費改革議論は暗礁に乗り上げることになる。

なぜこの時期に決めたのかは謎だが「石破さんがいないうちに決めてしまおう」としたのではないかと指摘する人がいた。だが意外と外交日程が終わったからという程度の軽い理由だったのかもしれない。とにかく突然意味不明の決定する人なので何をしでかすのかがよくわからない。

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突発性決断症は伊藤惇夫さんのネーミングだが岸田総理の決断スタイルを良く表している。調整に疲れ果てると周りに根回しせずに突然何かを決めて周囲が大騒ぎになる。

だが、総理大臣退任はすでに織り込み済みである上に岸田総理が突然何かを決める傾向がある点にも驚きはなかった。「ああやっぱり」「もううんざりだ」と言ったところだろう。

記者会見が意味不明なのもすでにお馴染みの岸田スタイルだった。以下、NHKから発言を拾う。

自分は政治と金の問題で責任を取ることにしたと言っているが、仮にそうであればもっと早く辞めているべきだった。あとは自分の成果をダラダラと述べたうえで3人の記者たちの質問にこれといって内容のない返しをして会見は終了になった。

アメリカ民主党のバイデン大統領に倣ったとの見方もある。

アメリカ民主党はとにかくトランプ大統領の再来だけは避けたいと言う気持ちがありもっともお手軽なトランジションを狙いハリス氏が代替候補として担がれている。一致団結しているように見えるのだがハリス氏の政治家としての資質は疑問視されており党内左派と穏健派の対立も存在する。

岸田総理はドリームチームが作られることを望んでいるという。だが、日本にはトランプ氏のような「今ここにある脅威」がない。野党はまとまらないままで立憲民主党の代表選挙にはほとんど注目されていない。誰が代表になっても自民党には勝てないと思われている。

退任表明が唐突だったため「なぜいまなのか?」も話題になった。逆に言えばそれくらいしか話題がない。石破茂氏が台湾を訪問中なのでその隙を狙ったのではないかと見る人がいた。ありそうな話ではあるが、意外と外交日程が終わった(これはご本人がそう言っている)というのが本当の理由なのかもしれない。とにかく何を考えているのかがよくわからない。

仮に退任表明で多くの候補者が出てくれば「自民党は新しいアイディアがある活気に満ちた政党なのだ」と支持率が上る可能性はある。逆に旧派閥や長老たちの牽制で国民人気の高い候補者が総裁選に出られないと国民はますます落胆するだろう。

なお今回の件で維新が推していた文通費改革は座礁した。憲法改正の議論もおそらくは停滞し任期中の憲法改正発議も難しくなりそうだ。憲法九条を含めるか緊急事態条項のみを議題とするかは次の総裁選のアジェンダの一つになる可能性があり退任が決まった総理のもとで話し合う議題ではない。

岸田内閣は首班が弱小派閥の出身だったため最初から「総裁選再選」を意識した内閣だった。このため政権としては短いという印象があり回転ドア(総理大臣が入れ替わり立ち替わりする)の再来を懸念する声がある。だが実際には意外と長命の内閣で戦後8番目が確定しているそうだ。

中央アジア歴訪をキャンセルは巨大地震への備えと説明されてきた。だが実際には官邸はほとんど何も情報を発信していない。おそらくは公共工事誘致のために課題なリスク評価が行われたが「観光業に影響が出る」として配慮を求める声も出ていた。結局官邸は「ぜひ注意しましょう」とも「いつも通り観光に出かけてください」ということもなかった。

最後まで、周囲の声に振り回されそれを打開しようとして突発的な判断を繰り返す総理大臣のもと政権としての方向性が全く見えないという不思議な内閣だった。だがそれももう終わろうとしている。岸田政権は長いような短いような不思議な内閣だった。

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