共同声明というワードがTwitterのトレンドワードに入った。アーティストの連盟がコンサートチケットの転売に反対しているのだという。オリコンの記事を読むと「グッズの売り上げが減る」ということらしい。
システムや構造の不具合については考えないで、やみくもに禁止したり、相手の心情に訴えかけるというのは、いかにも日本人らしいなあと思う。日本は自由経済社会なので、欲しい人に転売するのを禁止するのはなかなか難しいのではないかと思う。
だが、転売士(いわゆるダフ屋さん)を排除するのは実はとても簡単だ。チケット販売を自前でオークションにすればいいのだ。お客に1週間適度の時間を与えて好きな価格を付けさせればいい。実際にはファンの間でオークションが行われているのだから、それをプロダクションが代替するということになる。仕組みはとても簡単だし、スマホ世代の人たちはオークションに馴れている。何の問題もなさそうだ。
メリットはいくつかある。まず、5秒でチケットが売り切れるということはなくなる。これまで通買えない人は大勢出るだろうが、財力の差ということになる。
次に嵐のコンサートで見られたような面倒な本人認証の仕組みは必要なくなる。これもeチケットにすればいいのにとは思うのだが、価格が上がってアービトラージできなくなれば転売士(ダフ屋)は自然に淘汰されるだろう。
問題は「チケットが高すぎてグッズが売れない」ということらしいのだが、グッズはチケット代金の中に含めればいい。これも解決できる。
最後にチケットの売り上げが事前にある程度把握できるので、追加公演も打ちやすくなるかもしれない。
チケットの値段がつり上がってしまうと、若年ファンがチケットを買えなくなるではないかという話もありそうだが、これも解決は可能ではないか。若年枠は安く買えるように「学生割引」をすればいい。これを「汚い」と思う人がいるかもしれないが、実際にはディズニーランドもシニア割りみたいなことをしている。「かつての女子」たちが平日に連れ立ってディズニーランドに行けるようなパスが売られている。同じようなことができるだろう。
技術的に一番問題になりそうなのは「競り落としたけど買えない」という問題だ。クレジットカード即時決済にすればいいとは思うのだが、学生はクレジットカードなど持っていないわけでこれは難しそう。親が見とがめて社会問題化ということも考えられなくはない。これはもう一定期間キャンセルできるような仕組みにするしかなさそうだ。いわゆる「キャンセル待ち」というやつだ。これを実現するためには数学と統計がいる。
このようにメリットが多いオークション方式だが、これで一番困るのはチケットセンターを運営するプロモーターではないかと思う。かつては独自のルートでマーケティングするプロモーターが全国各地にいた。なぜそんな制度があったかというと、情報を得る手段がタウン誌やミニコミ誌などのマイクロ媒体しかなかったからだ。ぴあのような全国媒体ができて状況は若干改善されたが、いまではほとんどの人がスマホかPCを持っているのだから、かつてとは違った制度があってよいのだ。いったん仕組みができれば、転売士(ダフ屋)も排除されるが、プロモーターも潰れてしまうかもしれない。持ちつ持たれつの興行の世界ではこれが大きな問題になるのかもしれない。
「皆さんで考えてほしい」というので、考えてみた。技術的に難しいことは何もないが、結局はしがらみなのかもしれない。