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搾取されるコンビニと損なわれる安心・安全

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先日、セブンイレブンで買い物をした。デビットカード決済だったが、処理がうまくゆかなかったので、セブンイレブンに調査を依頼した。あれから数日経つが、音沙汰はない。経緯はややこしいので別のエントリーに譲るとして、なぜ店舗は連絡をしてくれなかったのだろうかと考えたのだが、現場がかなり疲弊しているのではないかと思った。
オペレーションの疲弊は重大な事故を生み出す。例えば、最近ではセブンイレブンのATMからの不正引き出しが後を絶たない。なぜこのような事件がなくならないのかと考えるわけだが、現場が疲弊していることが原因の一つなのかもしれない。ATMを注意して見る余裕はないのだろうし、お店の売り上げに寄与するわけでもないのだろう。
Newsweekによると犯人は捕まっていないそうだ。設置しているお店の無関心もあるが、海外のATMカードを受け入れているのに、バックエンドでセキュリティ管理をしないというセブンイレブンの体質にも問題がありそうである。
興味を持って調べてみたところ、コンビニの本部とお店の関係は、正常な取引関係とはいえないようだ。搾取とか奴隷労働とか言う言葉が次から次に出てきてちょっとびっくりした。声高な抗議というよりは閑かな怨嗟の声が渦巻いている。
コンビニの店長は借金を負わされて店を開店する。売り上げを店と本部で分配するのだが、廃棄分も含めて「売り上げ」に勘定される仕組みになっているらしい。オペレーションが複雑なので低い賃金でアルバイトを雇うこともままならない。人件費を節約するためにも二十四時間働き、廃棄された弁当を食べるのが日常だというようなことが書いてある。
一生懸命に働いても売り上げは本部に吸い上げられる。しかし、途中で辞めようとすると多額の違約金を取られる。しかし本部がもう用済みだと判断すれば、契約は延長されない。儲かったら儲かったでライバル店が近所に建てられる。
さらに、次から次へとわがままな客がやってきて無理難題を吹きかけるなどという話もあった。
このように疲弊しているコンビニの店長は日々のオペレーションを乗り切るので精一杯なのだろう。とてもイレギュラーな対応などしている余裕はなさそうだ。顧客対応を間違えても毀損するのはセブンイレブンの看板なのだから、クレーム対応をするインセンティブはない。
本部が我が世の春を謳歌しているかといえばそうでもないらしい。セブンイレブンは内紛騒ぎを起こしたばかりだ。90歳代の高齢者と80歳代の高齢者の争いだったそうだ。オペレーションは安泰なのかもしれないのだが、成長の余地はない。共通の目的が持てないのだから、組織は内部から腐って行くしかない。
フランチャイズをいじめ抜いた末に売り上げが大きく落ち込んだ企業にマクドナルドがある。効率化政策を進めた結果、アルバイトのモラルが低下した。最終的には品質の問題を起こして「過去の企業」となってしまった。マクドナルドのケースではオペレーションのひずみが食の安心・安全という領域に来た時に日がつき、ブランドに取り返しのつかない損害を与えた。
成長しなくなった世界は、他人を搾取するしかなくなる。しかし、搾取した側が幸せになるということはないらしい。資源を巡る争奪戦が起るからだ。その足下では「まじめに働くだけ損だ」という認識が広がる。それがますます他人への搾取が進むのだろう。
セブンイレブンが個別のクレームで炎上してつぶれるということはないだろう。しかし、一度「安心・安全」という領域で問題が起れば、取り返しのつかない損害を被ることは間違いがない。マクドナルドの場合には食べ物の管理が問題だったのだが、コンビニエンスストアは金融機関としての役割を持っており、ここに問題が起る可能性もありそうだ。