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日本の選挙にお金がかかるのはバカが政治を支配しているから

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今回のテーマは「バカは金がかかる」というものだ。このためにはまずバカを定義しなければならない。その後になぜバカの政治には金がかかるのかを論理的に説明したい。まず冒頭のテストをクリアした人だけがその続きを読んでも構わない。バカがバカを罵ることになりかねない。これは不毛だ。

BBCがスウィングオミターという手法を使って今回の労働党の地滑り的勝利を解説していた。これが理解できるかがテストになっている。

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BBCはまず全体としてどの程度労働党にスウィングしたのかを計算している。「【イギリス総選挙2024】 保守党から票を奪って議席獲得、労働党の「スイング」を分析」というタイトルで日本語訳されている。

だがこの数字では労働党の躍進が説明できない。何が起きたのか、とBBCは視聴者に問いかける。

BBCは続けて「黙っていても勝てるところには資源を投下せず接戦選挙区に重点的に配分した」ことで勝利を手にしたと分析する。

つまり標準的な傾きと実際の結果を比較することで労働党の戦略が効率的なものだったと説明したのだ。BBCは日本で言えばNHKに当たる。つまり大勢の人がこれを見て情報価値を感じたことになる。これがイギリスの選挙報道だ。

もちろんイギリスの選挙報道にもゴミ箱頭男の話題や投票所に来たペットの話題などそれなりに楽しい報道がある。ペットの話題はイギリスの選挙では定番コンテンツと言って良い。だが締めるところはきちんと締めている。

この話を聞いて理解できる人はおそらく「原理」を聞いて情報整理ができる人だろう。まずベンチマークになる「標準」を出す。こそしてベンチマークから突出した分を効率的だと評価するのだ。

だが、これが理解できない人もいるだろう。今回の定義では「バカ」なのでこの先は読まなくてもいい。おそらく「ああ理系志向ね」と考えた人もいるのではないかと思う。概ね正しい理解だがこの人も今回の定義では「バカ」なのでここでクローズボタンを押してほしい。

とここまで書くと「そんな「簡単なことを理解できるのは当たり前」なのに「何をわざわざイキっているのか」」と反発する人も出てくるだろう。それはその通りだ。つまりこの思考法をたやすく理解できる人とそうでない人というのが存在する。これが今回の話のポイントである。

おそらく日本の「文系・理系区分」は軍隊教育の名残だ。軍隊では天皇に近い人が一番偉いことになっている。この人たちはたいてい事務を担当する文官である。そしてその文官がそれぞれの役割を持った人を使いこなすことになっている。役割を持った人は少数の技術系の人たちと多数の兵隊から構成される。

だがこれは先進国標準ではない。MBA教育などを受けると最初に統計学を習う。つまり経営管理をする人は基本的な数学知識を身に着けなければならない。これを「経営者は理系思考を身に着けなければならない」などという人はいない。

例えば今回の都知事選にはAIエンジニアの候補が出ている。おそらく本人は意識していないのだろうが「文系の政治支配」へのアンチテーゼになっている。このAIエンジニア氏にはいろいろな陣営から「副知事」のお誘いがあるそうだ。文系がトップに立ち理系はそれを補佐するという日本的な考え方に基づいている。

実際にはエンジニアは意思決定者というより解析官兼モデレータとして機能していた。都知事選の間にポスター掲出を効率化し、選挙戦を利用して有権者の要望をマニフェストとして組み上げるという試みも行っている。理系技官が文官に奏上しそれを意思決定者(軍隊の場合は天皇)にあげるよりも「理系思考」を身に着けた人のほうが効率的かつスピーディーに都民の要望を具体化することができるということを身を以て示している。

と同時にこの試みはおそらく一般の有権者やメディアには受け入れられないだろう。日本ではこの「理系思考」が幅広く理解されない。

イギリス労働党は選挙リソースを党中央が管理している。そしてそれを効率的かつ戦略的に重点配分している。おそらく限られた資源を効率的に配分する仕組みがあったのだろう。「戦略的」とは言うが「理系的」とは言わない。

一方で日本の政治はどうか。

日本の政治は個人商店方式を採用している。つまり選挙資金リソースの重点配分ができない。お金をかければ当選できる確率が高まるのだから当然派閥同士の競合になる。すると価格の吊り上がりが起きる。価格の吊り上がりが起きると相手に手の内を見せたくないという気持ちが生まれる。これが裏金高騰のメカニズムである。だが自民党の議員も本部もこの仕組みに気が付いていない。またメディアもこれを指摘しない。

これがバカの特徴である。

文系支配のメディアも今回の定義では「バカ」に分類できる。日々細かな人間関係を報道している。メディアの競争はこの人間関係を他社よりも半日から数時間(あるいは数分から数秒)早く報道することだ。「バカ」はポイントはつかめないがディテールにうるさい。

バカが支配する日本の政治報道は視聴者を疲れさせる。

政治家は日々政敵を罵ったり仲間と高価な輸入ステーキを食べるのに忙しい。だが、実際に政治が問題を解決してくれているわけでもない。そのうち人々は「政局報道など我々の暮らしにはなんの役にも立たない」と考えるようになってしまうのである。

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