8,600人と考え議論する、変化する国際情勢と日本の行方

岸田総理の元で自民党が無法政党化 法律を作るが守らない

Xで投稿をシェア

カテゴリー:

政権与党自民党が無法政党化している。国会には法律を作り予算執行を監視する役割がある。だがその国会の第一党が法律・大人同士の約束・道徳的規範を守る能力を喪失している。岸田総理はこの状態をただ茫然と見つめるばかりで何の対策も講じていない。

現在の政党政治の最も大きな問題は自民党に代わる政党が出てこないという点にある。どの政党も何らかの形で自民党に共依存している。つまり自民党のガバナンスの崩壊は日本の政党政治の崩壊につながる。このため次の自民党総裁選びは大変重要だ。全体のガバナンスを回復させらる人を選べなければ、少なくとも国政は大きく混乱するだろう。

Follow on LinkedIn

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで

|サイトトップ| |国内政治| |国際| |経済|






茂木幹事長の地元の鹿沼市であるポスターが問題視されている。自民党・公明党が支援する新人が敗北したばかりだが、人気漫画「スラムダンク」のアニメ映画宣伝ポスターと似たポスターが使われていたという。茂木幹事長の顔などを使い「オール栃木」を誇示した醜悪なものだったが、今の自民党地方組織はクリエイティブの最低限のルールすら遵守できないのだ。感覚のずれを幾重にも感じさせるニュースだった。

次に自民党は大人同士の約束も反故(ほご)にするようだ。G7サミットまでに問題を解決したかった岸田総理は独断で公明党・維新に接触した。この時に「結論ありき」で維新の提案を全部飲んでしまう。ところが審議が参議院に移ると「検討」を連呼し始めた。最初から約束を守るつもりはなく、また守らせることもできなかった。国会会期を延長してしまうとネガティブなニュースが流れ続けるため会期を延長せずに済ませたい。このため旧文通費について、浜田国対委員長は対応が難しいと言っている。

「衆議院で骨格さえ固まれば」「野党の中から賛同者があったという形さえ作れれば」あとはどうにでもなるということだったのだろう。明日のことは明日考えようということだったのかもしれない。梯子を外される形となった維新の音喜多駿政調会長は「参議院は独自の対応をするかもしれない」と言っている。遠藤敬国対委員長は立憲民主党が出す予定にしている不信任決議案に賛成する可能性があると仄めかした。

茂木幹事長は最初から公明・維新の提案を呑むつもりはなかった。だが岸田総理とその側近たちも「約束は破るためにある」「とにかく今は形をつくらねば」と考えていたことになる。トリガー条項の時も同じようなことをやっていが仏の顔も三度までだ。もはや彼らを信頼する政党は現れないだろう。

この「とにかく体裁だけ整えたい」という姿勢が最も強く感じられるのが東京都知事選挙の対応である。萩生田光一氏は党の役職停止処分を受けている。だが、これはあくまでも「処分しました」アピールにすぎない。問題のソースである萩生田氏は東京都連会長のまま小池百合子氏の支援を表明し「確認団体」の支援を検討している。確認団体自体は合法だ。だがその用途は自民党を隠すための偽装集団だ。有権者を騙してでも小池陣営に潜り込んでこれまで通りに利権を確保したい。

小池氏がこれを受けるとは考えにくく小池氏が確認団体を作って「個人の資格でなら参加してもいいですよ」などと受け入れるのではないかという報道もあるそうだ。時事通信は幹部は受け入れないという形で選挙組織を作るのではないかと書いている。

ここでも「形作り」にばかりこだわり「裏金の反省はしたくない」「利権に近いところにいてこれまでどおりおいしい思いをしたい」という気持ちを捨て去っていないことがわかる。

あくまでも結果論ではあるが、自民党のガバナンスは既に崩壊していたのだろう。だが政治と金の問題の内部調査とその後の政治資金改正法の検討過程で崩壊が露呈した。さらに選挙対策(つまり地方組織の運営)にも大きな問題を生じていることがわかる。「体裁」にこだわる人たちが政治資金をきちんと運営しているなどとは考えにくい。衆議院の政治と金の問題の審議では盛んに「政党のガバナンスに期待」などと言っていたがもはやそんなものは存在しない。

もちろん、同じような問題は立憲民主党や連合も抱えている。蓮舫氏は無所属で出馬すると言われているが、その主張は立憲民主党の「反自民」とリンクしており実質的には立憲民主党の候補者と言える。さらにその支援組織である連合は日本共産党が支援する団体は支援できないと言っている。国民民主党は自主的に小池百合子陣営につくのではないかと見られている。「反自民」というスローガンは反抗という形の共依存で一種の甘えである。自民党が崩壊すると共依存している政党も共に崩壊することになる。

と考えると、国政が再び健全化するためには自立した代替選択肢の登場が望まれる。だがそれが期待できそうにないとすると自民党が今やるべきなのは安倍総理の元で破壊された自民党内部に規範(ガバナンス・コード)を復活させることができる党首を選ぶことになる。

もはや自民党は公の政策をとやかく言える状態ではなくなっているが自民党が崩壊するとそれに依存している政党も全て崩壊してしまう。やはり自民党の規範回復は国政においてもっとも優先順位の高い課題と言えるだろう。

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで