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神聖民主主義に傾くインド モディ首相が総選挙に勝利

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インドの総選挙は「世界で最大規模の民主的な選挙」と言われる。NHKによると選挙は七回に分けて行われたそうである。そのインドでモディ首相率いるBJP(インド人民党・Bharatiya Janata Party)が過半数を獲得した見込みだ。

その内容には懸念も残る。モディ氏は「私は神から遣わされた(sent by God)」 と宣言し45時間の瞑想で選挙戦を締め括った。つまり「民主主義」と言っても神聖化が進んだ独特のものになっている。民主主義は各地で危機状態にあるがインドもその例外ではないということがいえそうである。

投資家たちはBJPの安定を望んでいる。土地の接収や労働改革など投資家に有利な改革が推進しやすくなるそうである。ロイターは出口調査の結果として投資家の懸念は払拭されたと分析している。

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モディ氏はカースト内ではあるが貧しいカーストの出身とされている。反イスラム・ヒンドゥー至上主義政党に参加しグジャラート州首相時代にはイスラム教弾圧などの過激な政策も実行していたようである。首相に就任してしばらくは穏健な政策に留まっていたが次第にイスラム排除の傾向が現れていた。たとえばパキスタン、アフガニスタン、バングラディシュからインドに流れてきた不法移民であってもイスラム教徒でなければ市民権申請を認めるというような法律が制定されている。またイスラム教徒が多いカシミール州からの自治権剥奪のための憲法改正も行った。

だがBJPに対する国民の期待は大きかったようだ。最大野党国民会議派を率いるラフル・ガンジー氏は祖母のインディラ・ガンジー氏や父親のラジブ・ガンジー氏も首相を務めた経験があるインド政界の名門、ネルー・ガンジー家の直系だそうだが「エスタブリッシュメント」であり腐敗しているという印象がある。モディ首相は腐敗したエスタブリッシュメントに代わって貧しいヒンドゥ系のインド人を救うという打ち出しで国民の支持を集めていると言える。高い経済成長を背景にポピュリズムが支持されていると言えるのかもしれない。

インド人に取って最もわかりやすいのが「神によって遣わされた救済者である」という打ち出しなのだろう。インドは多神教のはずだが自分のことを「sent by God」と呼んでいる。一神教的な「唯一の神」によってこの世に遣わされたというのである。勝利宣言も非常に神秘的なもので「45時間の瞑想」を終えたなどと宣伝されているそうだ。インドの新聞を読むと「なぜ瞑想するのだ?」と疑問を持つ人は少ない。むしろ「本当は瞑想などしていないのではないか」と野党が指摘しているという。

アメリカと西側諸国はインドを民主主義の理解者だと位置付けている。中国との対向上有利だと考えられているのだろう。しかし実際のインドは神聖民主主義に傾いておりイランのイスラム至上主義とさほど変わらない状況になりつつある。

今後の争点は憲法改正と経済の安定だ。

権威主義化が進み政権に批判するメディアがないためテレビの出口調査があまり役に立たないという指摘があるそうだが、出口調査を見る限りBJP連合が圧勝したということになっている。下院の2/3を上回ると憲法改正ができるようになり「ヒンドゥー至上主義が加速する」という懸念も持たれているようだ。

一方でBloombergなどは303議席を上回れば土地の接収や労働改革などに着手できるようになると指摘する。

BJPが地滑り的な勝利を収めれば、インドの経済成長を加速させるために不可欠とされる政治的に困難な土地取得や労働改革を推進するために必要な権限をモディ氏に与えることになる。

つまりモディ首相が大勝した方が投資家にとっては有利であるとの分析を出している。ロイターにも次のような指摘がある。BJPの現有議席が303でありそれを上回った勝ちを得ることができるかが注目されているようである。

A summary of five major exit polls projected the NDA could win between 353 and 401 seats, a number that is likely to boost financial markets when they reopen on Monday. The NDA won 353 seats in the 2019 general election, of which BJP accounted for 303.

インドは既に中国を追い抜いて人口では世界第一になっているが、経済も日本を抜いて2027年から2026年ごろには世界第三位の経済大国になると予想されている。一連の報道から「インド経済」に投資家の高い関心が寄せられているということがわかる。単なる発展途上国という扱いではないのである。

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