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札束に埋もれて困窮する不思議な国日本 政府はプライマリーバランス黒字化目標を堅持

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立憲民主党の枝野幸男氏が「消費税を廃止したらハイパーインフレが起きる」と訳のわからない呪いをかけていた。もうこの人は何も言わないほうがいいのでは?と感じる。民主党時代の失敗体験からいまだに脱却できていないのだろう。彼に今必要なのは豊かさの意識と気分が高揚するような成功体験だ。

不思議なニュースを読んだ。2023年末の日本の対外純資産が471.3兆円になるそうだ。「33年連続世界一の純資産保有国」と書かれている。そういえば家計資産も過去最高だったなと思い返して調べてみた。2,141兆円だった。

政府は2025年にプライマリーバランスを黒字化すると言っている。当然自然増収だけでは賄えないので各種増税などが検討されることになる。「ああまた不安が増える」と感じた。

個人消費は落ち込み、20代の正社員世帯の1/4はお金がないから子供は持ちたくないと言っている。政府の不安と思い込みが実際に税収を落ち込ませ社会を縮小均衡に向かわせている。2012年に政権を追われた枝野氏はいまだにその時の認識を持ち続けているのだろうが今の自民党・公明党政権も同じ気分を共有している。

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本来ならば政治家が率先して「日本は持っているお金を有効に使うべきだ」と情報発信するべきだろう。だがその時に重要なのは情報発信する人がそれを信じることである。だが政治家たちは日々の金策に走り回りパーティーもやめられない。政治家も含めた日本中が札束の海に溺れ、毎日「お金がない」という不安に怯えているのである。

確かに枝野氏のコメントは半分正しい。政治家が率先して「日本は十分お金を持っておりそれを有効に回せば未来は明るい」と信じないのならば消費税を減税した分は家計なり企業なりに蓄積されるだけに終わるだろう。つまり問題は消費税ではなくマインドセットだ。そしてそのマインドセットを作り出しているのは明らかに政治家である。

2023年末の対外純資産が471.3兆円に達した。円安により額面が増えたそうだが、最後に「33年連続で、日本が世界最大の純資産国となった。」と書かれている。これをもとに家計から企業に資産が流れていると書こうとして、ふと「そういえば家計資産も過去最高だったんだよな」と思い出した。実は2141兆円で前年同月比で5.1%も増えている。

ところがこれが消費に回らない。実質個人消費4四半期連続の落ち込みはリーマンショック以来の落ち込みになっている。また20代の正社員の1/4が金銭面で不安だから子供が欲しくなと言っているという調査が見つかった。

国としても個人としてもお金を持っている人は持っている。だがどういう理由かはわからないのだがそれを使おうとしない。札束に塩や砂糖を振っても食べられない。結果的に札束の海の上で困窮するという滑稽な状況が生まれている。

この原因の一つになっているのが政府の財政健全化方針である。岸田政権は2025年度のプライマリーバランス黒字化の目標を堅持する。だが、これは2023年の段階で破綻している。内閣府の調査で2025年度には黒字化が達成できないことがわかっている。このため「守れないことがわかっている目標だけを堅持するのはいかがなものか」という批判がNRIに出ていた。

事実上の財政ファイナンス=アベノミクスで問題を先延ばしする一方で政府はこのままでは財政が破綻するとの危機感を強めてきた。これが将来不安を醸成し、ますます国民の生活防衛意識が高まるという悪循環が起きている。不安がある中で思い切って社会の認識を変えるような大型支出はできない。とはいえ自民党は支持者たちに離反されることが怖いので政府支出を止めることもない。結果的になんの目標も達成できない。

岸田政権は明らかに行き詰まっているのだから早く総選挙なり総裁選を実施してこの状況を打開しなければならない。まずは「金ならある」という認識を示しそれを国民に信じさせることができる政治家が必要だ。

ところが政治家自身が「金ならある」を信じることができない。考えてみればこれも当然の話だ。政治家の世襲が進んでいる。つまり家業としてビジネスをやっている家の出身者がいないので「お金の使い方」がわからない。こういう状態を「財の埋没」という。「埋没」には二つの意味がある。一つは財が土に埋もれていて使える形で掘り出せないことである。もう一つは財が漏れるところ(つまり使うところ)が見つけられないことだ。日本の「財」は掘り出せず使えずという状態に陥っている。

このため皮肉なことに財界の人たちは政治に参加しない。そして政治に残っている人たちは日々金策に走り回っている。

安倍派の議員たちはパーティー収入の一部を裏金化しこれを政党支部に寄付することで税還付を受けていた。菅屋氏は「みんなやっている」と開き直ったが、稲田朋美氏は「節税は事実だが裏金は使っていない」と説明している。立憲民主党は政策活動費やパーティーの全面禁止を謳っているのだが岡田克也幹事長などは「パーティーをやらないでどうやって政治資金を集めるのだ?」と反発する。日々の金策の裏には政治家の困窮がある。そしてその困窮が疑念を招き中途半端な対策しか打ち出させないために「もっと厳しい懲罰的な政治と金の対策が必要だ」ということになる。こうしてどんどんと政治家の首が閉まってゆく。

こうして冷静にみてゆくと「将来お金がなくなるかもしれない」という恐怖感が社会全体を支配しているということがわかる。つまり現在の閉塞した政治状況は「思い込み」によって作られている。思考は現実化するとはよく言ったものだ。国民が不足ばかりを睨みつけている状況から抜け出さない限りこの閉塞状況から脱却することはできないだろう。

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