逃げる時だけリーダーシップを発揮 岸田総理が派閥離脱を表明

8日に集中審議が行われるため今日は何も出ないのだろうと思っていたのだが、岸田総理が派閥の離脱を表明した。「自分が中心になって全容解明を主導する」と表明しているが、審議を前に「派閥から逃げた」と言われることは明白だ。逃げる時だけはリーダーシップを発揮するのだなと感じた。

一方で、安倍派の事務総長にも報告だけではなく環流もあったのではないかと報道されている。該当する事務総長には本来政府側の説明を統括する官房長官が含まれる。

野党は派閥の解体を求めているが「本当に派閥がいけないのだろうか」という構造分析はされないままである。ワイドショーなどでは「本来政策立案に注力したいがお金集めが忙し過ぎてとてもそんな余裕はない」などとする元議員たちの声も聞かれる。






お昼過ぎの突然のニュースで岸田総理が派閥を離脱する意向であるということがわかった。NHKは「より中立な立場で対応する姿勢を示す」と表現しているが、そもそも総理大臣は就任時に派閥を離脱するのが慣例になっていたのだから、この説明に納得する人はさほど多くないだろう。意向表明のニュースの後、岸田派の定例会が行われたが総理の派閥離脱について言及はなかったそうだ。

その後、岸田総理は夕方の会見でも重ねて意義を強調した。だがこの時に「無派閥の議員も大勢いるので」と意味のわからない説明をしている。無派閥の人が大勢いる状況は今生まれたものではない。おそらくまともな説明ができるメンタリティではないのだろう。

集中審議前に「私は派閥を離脱しているので派閥のことはよくわからない」と説明できる状況を整えたことになる。面倒なものからは距離を置きたいということなのだろうが、状況はかなり深刻なものになっている。

官房長官は表ではプレスへの説明を担当しつつ裏では総理大臣ができない「裏回し」をやらなければならない。その官房長官が疑惑の張本人になっている。どうやら安倍派の歴代事務総長に報告が上がっていただけではなく「環流」も行われていたようだという報道がある。
このため松野官房長官はメディアが再三求めてきた説明を拒絶した。こうなると官房長官の発言を信頼する人など誰もいなくなる。

もともと岸田総理が信頼できる人は限られていると言われていたが、木原誠二官房副長官を文春スキャンダルで政府の外に出している。この上、松野官房長官も機能しなくなってしまうと、ほとんどの調整を岸田総理が自分でやらなければならなくなる。まとまった政党というよりは派閥の連合体になっていた自民党は指令機能を失いつつあり党内は混乱状態だ。

野党は「派閥が諸悪の根源だ」という理由で解散を求めている。なるほどとは思うのだが、こちらは政党が派閥のようになっている。どちらも選挙互助会なのだが、自民党は単位が派閥になっていて、旧民主党系は立憲民主・国民民主・前原新党という3つに分かれているという違いがあるに過ぎない。つまり、派閥を非難したところで「政策集団がなく選挙互助会しかない」という今の政治状況が解決するわけではない。

派閥がパーティーを使った裏金作りに勤しむ理由についてはワイドショーなどで散発的に情報が出てきている。どうやら遊ぶ金が欲しいという理由で裏金を作っていたわけではなく、お金を集め続けないと政治団体や選挙活動が維持できない状態に陥っているようだ。元議員の中には「お金集めばかりで政策に集中するのは難しかった」などと証言する人もいる。これを解決するために政党助成金という制度が作られたはずだ。「なぜパーティーをやってお金をかきあめなければ政治が成り立たなくなってしまったのか」を議論すべきなのだろうが与野党共にとてもそんな余裕はなさそうである。

政治にお金がかかるようになった理由はよくわからない。例えば、河井克行氏の事件の時はどこかから河井氏に多額の資金が渡っておりこれが買収工作に使われたことがわかっている。河村建夫氏は「機密費は陣中見舞いにも使われていた」と堂々と発言しており、政党助成金、パーティー収入、官房機密費などを総動員して「選挙費用のインフレ」が起きていたという可能性も浮かび上がる。

お金のかかる選挙は本来政策に集中したい熱意のある政治家を政治の中心から遠ざける。結果的に政策の官僚依存が強まるだけでなく熱意のある人たちが政治から離反する原因になっている。

いずれにせよ、総理大臣や各党の党首がリーダーシップを発揮して政治家が政策立案に集中できる環境を作るための協議を始めるべきなだろう。だが、現在の状況はもはや単なるパニックになっている。そんな中、岸田総理が選んだのは自分が真っ先に説明から逃げることだった。






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