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社会主義はなぜ失敗するのか

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政府が導入しているETC2.0がかなり残念なことになっているようだ。ウリになっているのは、料金の引き下げ(ただし圏央道のみ)とインターネットによる情報サービスである。このレポートの筆者は、情報サービスをGoogleやYahoo!と比べている。
Googleは営利企業だ。そしてそこで働いている職員たちには2つのインセンティブがある。1つは個人的な達成で、もう1つはよい給与だ。よく知られているようにGoogleは自分たちの好きなように時間を使ってプロダクトを開発することが認められている。
ところが、役所が作るシステムにはそれがない。作り手は役所の言われた通りに作るだけである。念頭にあるのは「周辺に迷惑がかからず」「法令に違反しない」ということだけだろう。言われた以上のものを作ろうというインセンティブがない。もしくは言われた以上のものを作ろうとすると、懲罰を受ける可能性すらある。
こうした状況を打開するために、民間会社にオープンソースすればよいと考える人もいるかもしれない。しかし、それも望み薄だろう。実際に企画を作るのは会社の上のほうの人たちであって、実際に手を動かす人たちではないのだ。「やらされている」ことには違いがない。
実際に開発する人は作り手であると同時に使い手である必要がある。だが、それだけではだめで、実際の技術にアクセスがなければならないのである。
政府は今や一番の使い手となりつつある。つまり、国全体が社会主義化しつつあるということのようだ。社会主義国であるはずの中国が私財の蓄積を通じて成長しているのを横目でみながら、日本はソ連や東側世界と同じような理由で没落しつつあるのだ。