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「イデオロギーなき国のイデオロギーなき政党」自民党の期待を集める小渕優子氏と小泉進次郎氏

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自民党は左派に対抗するために保守系の政党を集めて作った政党である。このため「アメリカについてゆく」以外のこれといったイデオロギーがない。あえてイデオロギーらしいイデオロギーを定義するならばそれは「政権政党であり続ける」ということになる。つまり体制維持が目的の正当だ。国民の支持が集まっているならばそれもまたよしといったところなのだが、さすがに求心力を持たせるのに苦労し始めているようだ。そこで期待が集まるのが「プリンスとプリンセス」である。ただし期待される方も「使い潰される」恐れがある。世襲だから必ずしも楽な政治家人生を歩めるというわけでもなさそうである。同じように血統が重要視される国に立憲王国のカンボジアがある。

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現在、安倍派は後継者探しに苦労している。もともとは自由放任主義の経済に反対しアメリカと組んで日本の自主独立を推進するという政党だったが安倍晋三氏の時代になり無党派の受け皿になった。言い方は悪いのだが民主党への敵意や特定の人々の蔑視感情を利用して無党派を惹きつけるという派閥になってしまったと言えるだろう。

清和会は政策で人々を引きつけているわけではないので、当然後継者選びには苦労している。政策は引き継げるが人気は引き継げない。一応集団指導体制を決めたが森喜朗氏と仲が悪い下村博文氏を排除するだけに終わってしまった。

そこで「国民人気が高く血筋もいい」小泉進次郎氏を会長にしては?という案が出てきたとある週刊誌が書いている。

週刊誌報道なので話半分に聞いておくべきだとは思うのだが、推挙の理由は「オーナー家の一角を占める政治的血統が決め手」なのだそうだ。政策コンテストの伝統もないのでどうしても「血統」とに頼ることになってしまうのだ。

本来ならば小泉進次郎氏と清和会の「政策が合致しているのか」ということを分析したいところだがそもそも政策と言える政策がないのでこれは不可能だ。そもそも血筋が良ければ誰でもいいのは「領袖」を神輿にしたいという人が大勢群がっているからだろう。

ただし小泉進次郎氏は神輿として消耗されることに対して警戒心があるようだ。現在国対の副委員長というポジションにいる。メディアへの露出は少ないが国会で何が行われているのかを勉強するためには非常に役に立つポジションなのだという。副委員長といっても10人以上おり目立たない「雑巾掛け」ポジションだが中長期的な政治家としてのキャリアを考えるならば非常に良い選択と言って良いだろう。

もう一人の「血統書付き」には小渕優子氏がいる。幹事長に起用されるのではないかという憶測があるそうだ。こちらも森喜朗氏の影響が見られる。

若い女性を起用して国民の支持を得ることができる上に茂木氏潰しにも使えるという評価があるそうだ。小渕優子氏は旧竹下派に属していて「血統としてはオーナーの家系」にあたり、茂木氏よりも格上なのだ。

さらに旧竹下派から起用したとなれば茂木氏にも文句を言う筋合いはない。旧竹下派では参院のドンと言われた青木幹雄元官房長官が茂木氏を蛇蝎の如く嫌っていた。青木氏が代わりに領袖候補として推していたのが「血統としては上」の小渕氏だった。

茂木氏をめぐっては全く別の話も出ている。外務事務次官の本命とされていた山田重夫氏が駐米大使になるという。岸田総理の強い意向があったとされている。茂木幹事長との関係が深いのが理由なのではないかと言われているそうである。つまり岸田総理は幹事長として強くなりすぎた茂木氏を政党の中心から外そうとしているのである。

国民には全く関係のないことなのだが茂木氏を幹事長にしておくか外すかは極めて重要である。政権内に置いておくと「補正予算を組むべきだ」などとのスタンドプレー発言が飛び出す。

一方で要職に置いておくと「チーム岸田」と言うことになり時期総裁選に出にくくなる。

茂木幹事長は政策通なのだが二つの弱点を抱えている。党内外に人望がなく「政治的名家」の出身ではない。

「優秀な人物であることは誰もが認めるところでしょうが、とにかく怒りっぽい人なんですよ。相手が理解できないことを言ったり、職務に怠慢があると思ったりすれば遠慮せずに怒る。それは相手が官僚であっても、記者であっても同じです。驚いたのは、自分よりも高齢の同僚議員にも怒鳴っていたこと。下につく党職員や官僚は戦々恐々としているはずです。これからハレーションがいろいろとあるでしょう」

ただし、代替として検討されている小渕優子氏が幹事長にふさわしい実力を持っているのかということがよくわからない。こちらも「神輿」として期待されている上に「岸田さんの政敵排除に血統が利用されかねない」というリスクも生じる。

このように自民党では世襲貴族化が進んでいる。そもそも3割が世襲とされているそうだが、その中でも「家の格」によって上品・中品・下品のような身分的階層ができ始めているようだ。自民党には国民の一定数の支持があるのだから世襲事態が民主的ではないと言うつもりはないがやはり欧米の先進国とは精神構造がまるで違う。

だがやはり世襲かのデメリットは大きい。世襲依存の裏側にはビジネスやそれぞれの専門領域に知見を持つ人たちが国家経営に参画できないと言う問題がある。現在これに対抗できるのは完了出身者か「学歴お化け」のような人たちだけである。つまり実務家の知見が国会の意思決定に生かされにくくなっているのである。

ただし、こうした世襲依存は日本だけの現象ではない。日本と同じ立憲民主制のカンボジアでは首相が世襲された。首相を退くフン・セン氏は他の役職について2033年までは息子を見守るとしている。党首兼最高枢密院議長として政治に影響力を持ち続ける意向のようである。

変化を拒み体制維持を目的とするなら世襲には多くのメリットがある。しかし新しい知見が入ってこないのだから変化への対応は難しい。あとは国民一人ひとりがそれを望んでいるかどうかである。結局は一人ひとりの選択なのだ。

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