ざっくり解説 時々深掘り

石坂浩二と内向的な性格

カテゴリー:

MBITにEとIという性格特性が出てくる。ユングの心理学理論を基にしており、外向性と内向性と訳される。内向的な性格というと内気だという印象があるのだが、これは間違っているらしいが実感としてよく分からない。ところが、最近、石坂浩二さんのニュースを見ていて、内向的な人が少し分かったように思えた。
石坂浩二さんが『なんでも鑑定団』という番組で2年間干されていたという。いろいろ話をしているのだが、全く放送には乗っていないというのだ。普通の人ならここで「なぜ、自分の場面がカットされるのか」と不満に感じてよいところだが、石坂さんは全く意に介さない。フジテレビのインタビューに対して「個人で思うところはあるが、それは個人のも問題」だとした上で「テレビ東京の問題はテレビ東京に聞くべきだ」と言っている。
普通にこれを聞くと「相手や立場を慮っているのだろう」と考える。しかし、そうではないのかもしれない。
石坂さんは浅丘ルリ子さんと結婚をしていた。ところが実際には長い別居だったのだそうだ。ところが、ある日突然離婚を切り出した。「女優に母親を介護させられない」というのが表向きの理由だった。ところがその5日後、身の回りを世話してくれていた女性と結婚してしまった。回りの人たちは、石坂さんとこの女性が付き合っていたとは思っていなかったという。
このことから、石坂さんは人間関係に関心がないことが分かる。関係が切れていても実質的な問題がなければ特に気にならないのだろう。ところが、身の回りの世話をしてくれていた女性にきっちりと法的な関係を与えなければならないとなると、ためらいなくその関係を切ってしまうのだ。
『なんでも鑑定団』で自身の発言が放送されなくても(放送は毎回見ているようなので、切られていることは知っているらしい)気にしなかったのではないだろうか。使われない事が分かっていながら、お宝に関する蘊蓄は毎回話していたのだという。内部に価値観の源があって、それを披瀝できていれば、特に回りが反応してくれなくても満足なのかもしれない。
石原さんの趣味は幅広い、絵を描いたり、プラモデルを作ったりと「内側にある創造性」を追求したい人なのではないかと思われる。インタビュー記事によると、プラモデルを眺めながらいろいろ考えを巡らせるのが好きということだ。思いを巡らせ色々調べるうちに様々な蘊蓄が蓄積して行くのだろう。あるインタビューでも「作品に没頭することで回りが見えなくなるくらいが良い」と語っている。全く見えなくなるのもダメで全体を俯瞰しているくらいがよいのだそうだ。
石坂さんは「内的な世界」を気にするという逸話はまだ残っている。石坂黄門は短命(2シーズン)で終った。表向きは病気の為の降板ということになっているのだが、実際には周囲との関係が悪かったからだという説があるそうだ。もともと髭を生やして印籠をかざしているいる印象が強い水戸黄門だが、石坂さんは「史実と違う」という理由でこれを拒否していた。長年蓄積されたTVショーとしての歴史や視聴者の愛着よりも「史実」の方が重要なのだ。
東映京都撮影所は撮影の調整を暴力団に依存していたという話がある。代々の水戸黄門はこの関係を保とうとしていたが、石坂さんはこれを断っていたというのだ。退院してから「面倒な仕事がなくなって清々した」というような発言をしたという逸話が残っている。
石坂さんにとって重要なのは内的世界を構築し、それを他人に披瀝することなのだろう。それがどう使われて、どのような評判を得るかということはあまり関係ないことなのではないかと思われる。
「内向的な性格」というと、話しべたで自分の気持ちを伝えられない人という印象がある。しかし、石坂さんは社交的で女性にももてるそうだ。自分の意見もしっかりと持っていて、人に伝えることもできる。また、内向的な人は内側に閉じこもるので主観的であり客観性に欠けるのだという人もいるが、石坂さんは客観的で冷静な印象がある。
外向的・内向的という性格特性は誤解されやすく、様々な性格診断でも「暗い人=内向的」となっている場合も多い。むしろ、動機の源泉がどちらにあるかということなのではないだろうか。


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です