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岸田総理襲撃事件後の半日でわかっていることとわかっていないこと

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岸田総理が襲撃されて半日が経った。海外でも報道されBBCでは「警備体制の見直しが行われるであろう」というような分析がされているが、産経新聞は「このままでは安全だという認識が揺らぎかねない」としており意識の差が見られる。実際の日本の報道は容疑者の「人物像」を暴くのが主目的になっている。普段なら特定厨が仕事しているはずだが、興味深いことに容疑者の主張がSNS経由で伝わってくることはない。そもそも社会とのつながりが希薄だったようだ。容疑者の周辺取材は徐々に進んでいる。容疑者については不確かな情報も出たがネットの自警団が否定した。情報発信した人はアカウントに鍵をかけた。

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概要

既に伝えられている概要は次のとおり。

和歌山1区の候補者の応援のため和歌山市南部の雑賀崎漁港を訪れていた岸田総理に金属の筒状のものが投げ込まれた。警察官1名が軽傷したが総理大臣は無事だった。その後、岸田総理は和歌山駅に向かい千葉(市川と浦安)での予定も予定通りこなした。容疑者は弁護士が来てから話すと黙秘中である。

以上は時事通信による。

木村隆二容疑者についてわかっていることとわかっていないこと

  • 木村隆二(24歳)容疑者は兵庫県川西市在住
  • 総理大臣との距離はわずか10メートルだった
  • 容疑者は黙秘し組織的背景などは不明
  • 現在家宅捜索が行われている
  • 持参したリュックサックの中からは鉄パイプが見つかっている
  • 周辺取材では「どこにでもいるおとなしい若者」との印象
  • 「そう言えばお父さんをしばらくみていない」という証言があり、父親の怒鳴りつける声を聞いたことがあるという証言も出ている
  • 社会生活の跡がほとんどなく「特定厨」による捜索も捗っていない様子
  • 自民党系の地元市議の市政報告会に参加していた

特徴的なのは本人の個人的主張や組織的バックグラウンドなどが明かされていない点だろう。アメリカで同様の報道があるとSNSが特定され「犯人の過激な思想」が明かされたりするのだが周辺取材を含めて「おとなしいどこにでもいる青年」というのが最初の報道内容だ。ただし何らかの政治への関心はあったようだ。

被害を最小限に抑えられたのは地元の漁師さんたちのおかげだった

顔馴染みの地元の集まりだったのだが「知らない顔がある」ことが不幸中の幸いだったようだ。一方で周辺警護をしていた人たちは異状に気がつくことができず「爆発物と見られるもの」の投げ込みを許してしまった。なお警備が手薄だったことで周辺の聴衆が危険に晒されていた可能性があるのだが爆発物と見られるものの詳細がわかっておらず現場に金属探知機がなかったことが正しかったのかなどについての論評は進んでいない。統一地方選の後半戦が始まるため課題になる可能性がある。

不確かな情報はネット自警団によって鎮圧された

「アベ政治を許さない」と主張していたという情報を発信した人がいる。まとめサイトができたが速攻で周りから打ち消され現在炎上中とのこと。情報を流した人はあまりの反響の多さにアカウントに鍵をかけたようである。Wikipediaでもエントリーが作られたようだが現在は削除されている。

安全神話から脱却できていない

BBCは9ヶ月の間に総理経験者と総理大臣が狙われたのだから選挙中の要人警護に見直しが図られかつなぜこのような社会になったのか分析されると指摘している。安倍元総理の件が」「衝撃」として語られたのだから、まともに考えるとBBCが指摘するようなことになるはずだ。

今日の攻撃の詳細が明らかになれば、なぜこの国の総理大臣があのように攻撃されやすい状態にあったのか、問われることになるだろう。元総理が9カ月前に暗殺されたばかりなのだから。

だが、日本で本質論を議論し始めると「誰の責任にするのか」という方向に議論が流れてしまう。このため、おそらくこうした本質的見直し論は行われないものと思われる。

ネットを見ると山上徹也さんを英雄視したのが悪いとか自民党の政治家の話を聞きに行っているのだから当然自民党支持者であろうというような話ばかりが飛び交っている。

卒アルをTwitterで晒し人に対してマスコミの「取材申し込み」が殺到しているようだ。山上容疑者と統一教会のような問題でも出ない限り「木村容疑者の人物像」について伝えて報道は終わりになる可能性が高い。

細野豪志さんが、なぜか統一教会の対策法案に遡って再考すべきだなどと主張しているが、各界識者から違和感を指摘されている。細野さんはそもそも統一教会問題を政治が直視してこなかったという事実は忘れてしまっているようである。どうしても細野さんには細野さんの事情があるのだろうかなどと思えてしまう。

今度こそ、24歳の男がどんな境遇にあろうが、テロ行為にどんな理由があろうが同情の余地がないことをマスコミは報じるべき。政治の責任は更に重い。安倍晋三元総理殺害テロに端を発し法案を通したことが本当に正しかったのかも検証が必要。このままだと日本の治安が崩壊する。

なぜ岸田総理は民衆と触れ合う必要があったのか

同じことを安倍元総理が襲撃された時に書いた記憶がある。

地方選挙や国政選挙では地元政治家たちが総理大臣経験者が訪れる際に「貢献の証」として動員をかけることがある。

具体的には各地に看板を立て、支援者にチラシをまいたりする。例えば千葉市では菅義偉・河野太郎ラインの自民党議員が配下の地方議員たちと共同で「河野太郎来たる」「菅義偉來る」と集客する。するとそれに負けじと立憲民主党系の議員たちが「野田佳彦來る」などと宣伝するという具合になっている。呼ばれる方の「重鎮」たちも人が集まれば集まるほど「あの人は人気のある政治家だ」という絵をマスコミに対して示すことができる。

安倍元総理の極めて不幸な事件の後もこうした動員合戦は続いている。

BBCは「おそらく日本の社会状況も変わったのだろう」と見ているようだ。これは外から見た冷静な観察といえるだろう。一方で産経新聞などは「政治家を狙う事件が続くようであれば「日本社会は安全、という意識が揺らぎかねない」などとする評論家の懸念も紹介した。」と書いている。

つまりまだ過去の安全神話から脱却できていないことがわかる。マスコミの認識もアップデートできていないがおそらく政治家も聴衆たちもまだまだ日本は安全な国だと思っていたいのであろう。

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