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「日本は台湾有事の際の避難民の受け入れ先になる」と茂木派の国会議員がロイターに提案

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ロイターが木原稔議員にインタビューを取り「台湾有事なら日本はポーランドのような役割=自民党・木原稔氏」という短い要約記事を書いている。「ポーランドの果たす役割」とは台湾有事の際の避難民受け入れなどを指すものと思われる。ポーランドはヨーロッパの避難民のゲートウエイ担っているだけでなく自国でも一次避難民と就労者を受け入れているので、日本も避難民と(問題が長期化した場合には)定住避難民を受け入れるという意思表明になる。外国のプレスへの対応は一人歩きする。国内メディアを通じて国民にも真意を説明すべきだろう。現在ポーランドには120万人を超えるウクライナ避難民がおり一部は就労資格も与えられている。つまり、日本社会に対する影響は決して小さくない。

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この記事はインタビューの「切り取り」にすぎないのだが、それでも2つの問題点があると感じる。

第一に木原氏は超党派議員連盟「日華議員懇談会」の木原稔・事務局長と紹介されている。つまりロイターは「日本の」台湾に対するコミットメントを知りたいと考えている。つまり、海外に説明した以上は与党側の代表者としてこれがどの程度の政府の想定と合致しているかを国内にも説明する必要がある。日本は防衛戦略を転換しつつあり台湾有事を想定した防衛費の増額を国民に要請している。岸田総理は増税への協力も要請している。仮にこの計画の中に難民受け入れ想定があるのならば外国メディアを通じた既成事実化を図るのではなくまずは国内に説明すきだろう。

第二にそもそも政府はどの程度「台湾有事」の可能性を想定しているのかを明らかにしなければならない。ウクライナの問題において、近隣有事の際にポーランドがどのような安全保障上の影響を受けているのかは既に明らかになっている。もはや「仮説にはお答えできません」という段階ではないだろう。

台湾は民進党が地方選挙に惨敗し党勢の立て直しを図っている。民進党は「親欧米」を前面に押し出したい。一方の国民党も「このまま民進党政権が続けば戦争になる」として危機感を煽っている。またポーランドも「ウクライナ問題はヨーロッパの問題である」という了解が広がることを恐れており、ウクライナと台湾をリンクさせたい。こうして各国の思惑から台湾有事が「既成事実化」する可能性がある。仮に岸田派(宏池会)や茂木派(平成研)が大陸中国との経済連携を復活させたいのであれば、現在の想定を明らかにすべきだ。

そもそも現在のポーランドはどうなっているのか。JETROが記事を書いている。状況は常に変化しているものと思われる。これはウクライナ西部も含めて緊張が高まっていた頃の数字だろう。

  • UNHCRによるとEU加盟27カ国全体で記録されているウクライナ避難民は7月19日現在で376万5,720人。
  • そのうち123万4,718人がポーランドで避難民として登録
  • 家族・社会政策省は、7月19日時点で33万5,000人がポーランドで就業したと発表。

ウクライナの人口は概算で台湾の二倍程度である。ただしウクライナは戦争状態の東部と比較的平穏な西部に散らばって人が住んでいるが、狭い島国の台湾は国内避難先が限られる。

いずれにせよ、人口3770万人の国で一時は120万人以上が避難民登録していたというのも驚きなのだが就業の難しさはさらに印象的である。「すぐに帰れるかもしれないしそうでないかもしれない」という状態だ。なかなか現地の言葉を覚えて生活基盤を整えようという気持ちにはなれないだろう。

ポーランド・リトアニア・ウクライナ(特に西部)は歴史的な結びつきが強い。このため同じスラブ系のポーランドはウクライナ人に対して同胞的な意識を持つ人も多いものと思われる。それでもこの程度の就業人口なのである。

日本の場合具体的な就業政策は地方任せになる可能性が高い。仮に就業に結びつかない場合にはある程度人道的に整った環境を整備する必要がある。おそらくこれも地方の財政的負担になるだろう。

避難者が60万人という想定は想像が難しいようだが実例がある。東日本大震災直後の避難者は発災直後の避難者は約47万人・仮設住宅などの入居は最大で約12万4000戸だったそうだ。ただしこの時には日本語を話すことができる人たちが避難してきただけだった。つまりこれに加えて言語教育や中国語が話せるスタッフの確保などが必要になる。

もちろん具体的な予算について説明せよとは思わないが、おそらく有事の際にはこうした問題を受け入れる必要があるという説明をする必要はある。必要な情報さえあればあとは各々の国民が「であれば外交を優先させるべきだ」などとそれそれの判断を下す際の材料になる。それが民主主義というものである。

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