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枝野くんやめるってよ

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枝野幸男代表が辞任を表明した。立共共闘が悪かったという話になっているようだ。6,000人がフォローする政治スペースを作って立憲民主党を擁護する人が出てくるのを待っていたのだが結局誰も現れなかった。立共共闘について聞いたところ「俺はどっちにも消えて欲しいからこのままやってればいいんじゃないか」とか「共産党の毒を知らないかそんな甘っちょろいことを言っているのだ」という冷笑的な批判だけが集まった。

早速小川淳也さんという人が出馬を表明し話題になっている。Twitterが動揺し、立憲民主党らしいなあと思った。どうやら「リベラルの危機」が叫ばれているようである。代表が変わったくらいでリベラルがいなくなるんだったら別になくなってもいいんじゃないかと感じた。

すでに比例票の分析で書いたように今回のやり方が必ずしも失敗だったとは思わない。だが「負け方」がよくない。政策と戦略の決め方に自信がないから結果が出なかった時にいちいち揺らぐのだ。

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本論に入るまでにこれまでの観察をまとめたい。地方政治では立憲民主党とか自民党という枠組みはなくなっており「藩と村」というような枠組みができている。基本的にこの藩を掌握したところが勝つというのが現在の小選挙区だ。これとは別にTwitterやSNSにはマウンティング希望の「群れから外れた猿たち」がいる。彼らは自分たちをより大きく見せるために政治を利用している。さらに日本の政治評論はアメリカ型の小選挙区制・政策ベースという幻想があり、政治分析には東西冷戦というフレームワークが用いられ手織り実態とあっていない。

ちぐはぐでわかりにくいのに「未来を変えるために選挙に行きましょう」というメッセージだけが連呼される。だから「俺が投票しても未来が変わらない」と思っている人が離反するのである。20年以上膠着しているのに一回や二回投票したくらいで未来が変わるはずはない。

ところがリベラル村はこれとは全く別の様相を見せていた。「あいつが嫌い」という論が溢れたのである。減点主義者の集団なのだ。マウンティングの人たちとは違った内気さがある。彼らの目的は実は当選運動ではなく落選運動だ。嫌いな奴はいっぱいいる。近年それが「安倍晋三」に向いていたのだ消滅してしまったので別の矛先を探しているのだろう。

小川淳也さんはもともと共産党と政策協定を結ぶことで選挙区をまとめてきたという実績があったらしい。ところがTwitterでの評判は前原・細野と近く維新との連携も視野に入れているとと言われている。小川さんはおそらく戦略的に「民主党時代を脱却するニューリーダーである」というイメージ作りをやっている。これが総合的には「社民・共産が排除され維新と接近しリベラルが後退するのではないか」という懸念を生んでいるようだ。

おそらく、立憲民主党内部には今回の共産党との連携でトクをした候補者とそうでもない候補者がいるのだろう。千葉市は労働組合依存が強く市民団体が相乗りするという形であり共産党連携の存在感は薄かった。

原口一博さんが「代表を一度辞任するのは構わないがもう一度代表選に出ろ」という動画をあげていた。佐賀の選挙区事情がどうなのかはわからないのだが「枝野やめるな」というメッセージを拡散してほしいと訴えている。党内基盤とまとまりがないので風を頼むのだろう。

立憲枝野さんと周囲にいる人たちが「社共連携をやろう」といえば左側にブレる。だがそれが失敗すると政党を作る組織力はない人たちが「それ見たことか」と騒ぎ出し右側にカーブを切ろうとする。形勢が不利だと思うとSNSで応援を要請する。これが外から見るとフラフラしているように見えてしまうのである。

ではSNSの政治セクターからはどう見られているのだろうかと思い「立憲民主党が共産党と共闘したのが良かったのか?」と聞いてみた。リベラルは「相手に優しくしよう」という政治姿勢なので自分たちを大きく見せたい人たちからは評判が悪い。そのため外側からの冷笑的なコメントしか出てこなかった。

2019年の参議院選挙から比べると立憲民主党には比例票が戻ってきている。全ての現状打破勢力を集めることはできないのだから一旦進路を決めたら微調整しつつも大枠は維持するべきだろう。ここで激しく動揺するのはそもそも今の戦略に自信と見通しがなかったからなのかもしれない。ここで折れるようなら所詮「選挙目当てのイデオロギーごっこだった」ということだ。

ただこの動揺すら長続きしなかった。世間一般の関心があるわけではなく代表選も当分行われないからだ。もう時期補正予算に向けた自民党内の取りまとめが始まる。おそらく世間の関心は誰にどんな分配がなされるかというところに向くだろう。

今回は「立憲民主党の代表選が取り上げてもらえないから」といってテレビ局に八つ当たりするのだけはやめてもらいたい。せめて味方でない人も集まっている場所で「どういう理由で今の政策を選んだのか」が理路整然と説明できるようにならないとお話にならない。ぜひそれをいろいろな場で語ってもらいたいものである。

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