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BBCに「日本人には政治的意思がなく外圧に期待している」と書かれてしまう……

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日本人は政治に文句は言うが政権打倒にまでは至らない。これが常々不思議だった。だが、その理由が何となくわかるなあと思う記事を共同通信に出ていた。「(東京オリンピック)中止「ガイアツ」に日本人期待」という記事である。共同通信の意見なのだろうがBBCの紹介という体裁になっている。BBCの記事の日本語版(米政府、日本への渡航中止を勧告 東京五輪迫る中)を見てもそんなことは書いていない。不思議な記事だった。

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確かに、同じ写真を使った記事の英語版(US issues Japan travel warning weeks before Olympics)を読むと特派員の分析の箇所に確かに共同通信が指摘した項目を見ることができる。共同通信はわざわざ英語圏向けに書かれた内容を記事に起こしているのだ。ますます共同通信の意見なんだろうなと思った。

共同通信は「世界がそう言っていますよ」と言いたかったのだろう。BBCの特派員はこうした日本人の持つ特性をよく理解している。

A lot of people in Japan will be hoping that the CDC warning for Americans not to travel to Japan is a precursor to the US Olympic Team pulling out of the Tokyo Olympics.

たくさんの日本人が、CDCの「アメリカ人は日本に旅行しないで」という勧告がアメリカ選手団が東京オリンピックから撤退する前触れになることを期待するだろう。

Why? Because most people in Japan want the Games cancelled, and a US team withdrawal would almost certainly force the Japanese government to pull the plug.

なぜか?たいての日本人はオリンピックがキャンセルすることとアメリカのチームの撤退が日本政府が中止を決断するきっかけになることを期待しているのだ。

For weeks people here have been saying Japan won’t cancel without some outside pressure. There’s even a name for this in Japanese – it’s called “gaiatsu”.

最近人々は日本政府は外からの圧力なしにはオリンピックをキャンセルしないだろうと言っていた。これには日本語の名前もある。ガイアツというのだ。

多くの日本人はオリンピックなんか無理だろうと思っている。新型コロナがどうなるかよくわからないからだ。だが自分が立ち上がってオリンピックを中止を訴えると自分が悪者に見られかねない。仕方がないことが起こったからと言う理由から何となく周りの雰囲気がオリンピック中止の方向にゆけば面倒なことを考えなくて済むのではないかと思っているわけである。

だから日本人は外圧に期待する。自分たちは責任を負わなくて済むからである。朝日新聞も外国の新聞が中止に傾いているとみているのだろう。スポンサーだったそうだがいやに堂々とオリンピックの中止について訴え始めた。(社説)夏の東京五輪 中止の決断を首相に求めるというタイトルである。

普段スポーツに興味がない人でもオリンピックで日本選手が金メダルを取れば「何となく勢いに乗って」はしゃぐ。中には涙を流して喜ぶ人もいる。何となく流れに乗っかってまるで自分の成果のような良い気分に浸るのが日本式である。

ところが一旦悪いイメージがつくと、それに関わりたくないし考えたくもないと言う気持ちになる。なんとなく明日になったらなくなってくれないかなあと考えるのもまた日本人なのである。さらにみんなが反対しているとなると「そっちに乗っておいた方が得なのでは」という計算も働く。

おそらく次に問題になるのは「東京オリンピッククラスター」が発生し「東京変異種・オリンピック変異種」がワクチン接種の進んでいない国に広がった時ではないかと思われる。日本政府はなかったことにしたがるだろうが菅政権のメディア恫喝は海外には及ばない。それどころか日本人全体が「なぜあの時にオリンピックを止めなかったのか」と責められることになるだろう。中国のように政治的に抑圧されている専制主義の国ではないはずの日本でなぜ国民は声をあげなかったのかと言われかねない。

政府は「できるだけのことはやった」とか「仕方がなかった」とは言えない。なぜならば菅総理大臣は完全なバブルの中で安全なオリンピックができると世界中に宣言してしまっているからである。

さらにアメリカの下院では北京オリンピックボイコットの動きが出ている。おそらく日本も追随する可能性がある。だが東京オリンピック前にはボイコットの意思を伏せておいて、さらに東京オリンピックきっかけでコロナが広がったという風評が広がれば、おそらく「ずるい国」「ずさんな管理しかできない国」という評価が定着しかねない。

だったら今のうちに「やらない方がいいですよ」という側に回っておいた方がいいのだろうなあと思う。

開催60日を切ってオリンピックは単なるリスク要因に成り下がった。準備は完全に失敗したと言って良いだろう。

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