朝日新聞が連合のアンケートを紹介していた。最近の若者は社会運動には積極的らしいという。おじさんたちはこういうのを見ると「ワシらの運動に引き入れられるかもしれない」と思うんだろう。立憲民主党なんかの支持者になるかもしれないと思っていると思うのだが「少し冷静になった方がいいだろう」と感じた。なんかお互いにずれていて変なのだ。
「若者は社会問題に無関心」とは思わない方がいい。バブル世代・バブル後世代と比べると周りに社会問題が転がっていて関心も高い。わざわざデモに出かけてゆくしかなかった世代と比べると「クリック操作」だけで社会運動に参加ができるのだから敷居も低い。
こうした若者を動員できない運動体の方に問題があると見ていいだろう。市民団体は高齢者の憩いの場所のようになっている。本人たちは楽しいかもしれないが先は見えている。自分たちが変わらずに「なぜ参加者が少ないのだろう」ということになり「若者の意識が低いからだ」と自分勝手な結論をつける。
朝日新聞の記事はこの若者をZ世代と言っている。Z世代は社会運動に積極的 10代の7割「参加したい」というタイトルをつけている。なんでもワールドスタンダード(と言っても欧米のことだが)にしたがる点に意識高い系のおじさんっぽさを感じる。このZ世代は連合のアンケート結果ページにある「識者」の声を拾ったものだ。識者は女性の准教授である。
社会党時代から労働組合・市民運動などの社会運動というのは大抵何かに反対するデモである。ところが若者はこうしたデモやボイコットには抵抗感が強い。朝日新聞の別の記事も立憲民主党となんでも反対のデモは同じくらいきわ割れているというアンケート結果があった。おそらく、連合はこの辺りまで認識をしているだろう。
だが「識者」は個人の運動が組織化できない点が問題だと言っている。つまり、自分たちが変わるつもりはなく若者を変えようとしている。
前回、立憲民主党を応援する記事で「みな誰かを応援したがっているのだから「私が主張する政党」から「あなたを支援する政党」に変わった方がいいですよと書いた。その後も立憲民主党の強硬な政権に反対する姿勢はあまり変わっておらず、おそらく立憲民主党は「あなたのための政党」の意味はよくわかっていないと感じる。
連合のアンケート分析によると、若者が参加したがっている社会運動というのは募金などの支援や署名活動で誰かを応援するという「ポジティブ」な好意である。周囲から浮きたくない、イイヒトと思われたい。だから若者はカジュアルな社会運動をやりたいのだろう。こうした運動に協力することで社会問題に関心があり協力的な人間であると自己表現できるからである。
だったらそうしてやればいいのにと思う。わざわざ相手を変える必要はない。まず重要なのは単純接触だ。
最も簡単なのはこうした若者のニーズを捉えてその運動を「ありのままに」応援してやることだろう。長年の社会運動のプロは物足りないかもしれないが、それが彼らの自然体なのだ。経験が豊富な側が合わせてやった方が簡単である、だがおじさんたちはどうしても自分たちの運動に巻き込みたがる。
識者はこう語る。
一方で、上述した活動や「#ハッシュタグ型」の活動など「一人でできる活動」が好まれる現状には課題も残ります。社会運動内での相互行為の不在は活動の持続性に影響しますし、古くから行われているデモンストレーションやボイコットのような抗議活動・表出的活動に対しては依然として忌避感が強いです。これらの課題は、組織行動・抗議行動としての社会運動の重要性をどう提示していくかという議論にもつながりうるでしょう。
#多様な社会運動 〜新たな時代を切り拓く〜
やたらと上から目線で「動員」したがる。嫌だといっているのだから無理に参加させる必要はない。
おそらく変わるべきなのは若者ではなく連合や立憲民主党などの野党の側であろう。政権を取るというまず単純接触から始めた方がいい。急がば回れというではないか。