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医者を兵士に置き換えると、新型コロナ禍が本当に第二次世界大戦末期の状況に見えてきた……

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ついに大阪・兵庫・東京の三都府県に三回目の緊急事態宣言が発出されることが決まった。政府は経済への悪影響とやらを気にして範囲を狭めたいようで、東京以外の関東圏は入らないようだ。そんななかいつものようにニュースサイトをハシゴして見ていたら医者が兵隊さんに見えてきた。ワクチン摂取部隊として戦う兵隊さんとしての医師がかなり不足しているようで、戦況はかなり悪いようだ。

きっかけは読売新聞の「【独自】歯科医もワクチン注射打てるように…接種の担い手確保、厚労省が「特例」案」独自記事だった。読売新聞の独自記事は基本的に政府が世論誘導するために使う大本営発表という側面がある。調整に失敗した上で世論誘導を図っているんだろうと思った。

では、一体誰が何の目的で独自記事を出しているのだろうと色々勘ぐって記事を読み進めて見た。

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Quoraでも質問したのだが「個人的な想像に過ぎないが」と断った上で回答がついた。お医者さんの側はこれまでも「これは医療行為であるから」と特定業務を囲い込んできた。ところがPCR検査などの間口を広げたい厚生労働省は歯医者さんでも検査をやっていいと方針を変えた。このニュース自体は「歯科医院でPCR検査ができるようになる」という誤解を与えたようだが実際には歯科医師さんの動員令に過ぎない。業務自体は地域医師会等が運営するPCR検査場に囲い込んでいる。つまり歯医者さんに仕事は渡さないが労働力としては期待しているということである。

何かと動員はしたがるが権益は渡したくない。技能実習生制度みたいな話である。

回答はこの件を引き合いに出し医師会としては「この特例がインフルエンザなどに拡大をされては困る」と考えているのではないかという。同じような綱引きが注射で起きたとしても不思議はないというわけだ。歯医者さんでも医療行為の一部ができるようになったという実績が後々自分たちのビジネスを脅かすことを恐れているのだということになるだろう。

国難とまで言われるコロナ禍だ。裏でお医者さん同士の縄張り争いが起きているとしたら嫌な話だと思った。せっかく国が協力を要請しているんだから素直に従ってくれればいいのにとも思う。

では「国はちゃんと支援してくれているのか」と目をワクチンに転じてみる。どうも怪しいようだ。医療従事者へのワクチン接種が実は25%しか進んでいないという。

時事通信が「政府、全国のワクチン接種状況初公表 医療従事者25%、高齢者9県でゼロ」という記事を出した。こんな状態でコロナウイルスへの被曝があるかもしれないワクチン接種に動員されても困るという人が出てくるだろう。「休業補償はしてくれるのか?」という話になってもおかしくはない。これは新規動員される歯科医師にとっても医師にとっても等しく深刻な問題だろう。

このような足元の議論が全く整理されないままで状況打開を図る厚生労働省の役人たちが「リーク」を通じて世論形成を図っているとしたらそれは悪夢のような状況だ。期待したような効果が出ればいいが逆に歯科医師の側から「頭越しに世論を形成しようとしているのか」というネガティブなフィードバックが出かねない。

政府にはリーダーシップがなく担当者レベルで勝手に世論を引きつけようとあの手この手で情報発信をするという状態だ。誰も総合的な補給(ロジ)に責任を持たず総合戦略を立てない。「大本営+インパール作戦」という日本の典型的な負けパターンである。

この時点で「お医者さん同士の縄張り争い」という話は忘れていた。いつも通りに政府の無策に目がいってしまったためだ。

ところが「スクープ!東京女子医大で医師100人超が退職」というニュースを見てまた縄張り争いの問題に戻ってきた。かなり構造的で深刻な問題である。

このニュース自体は副業を禁止された医師たちが堪りかねて大学病院をやめたという話でコロナとは関係がない。ポイントは「お医者さんであれば安泰」というのが今や昔話だという点にある。大学病院に勤めている医師はアルバイト的な外勤がないと食べてゆけないような状態になっている。ここから抜け出す道は「開業医になることなんだろうなあ」と思った。だが開業医になるのは難しい。だから劣悪な環境にしがみついているのだろう。

少子高齢化で地域人口は減り続けている。確かに地方にはお医者さんは足りない。だがお医者さんは地方に行きたがらない。結局、都市部で医者が過剰な状態が作られているのかもしれない。計画経済の歪みである。一方的に政府が悪いとも言えないし市場調整に任せるべきだとも思えない。

このニュースの背景を想像すると「医師団体同士の縄張り争い」という観測に真実味が出てくる。政府の支援が得られないのだから「自助努力で利権にしがみつくしかない」ことになる。結局はこれも政治問題である。

総合すると「単に新型コロナウイルス対策に失敗している」というわけではなく、実はこれまで積み上がってきた矛盾がここにきて一気に露呈しているということになる。

実はコロナ禍は放置された複合的な問題をあぶりだしただけだ。だが、いずれにせよ緊急事態宣言はやってくる。大阪はすでに医療崩壊を起こしているとも言われていて、医師不足・看護婦不足の問題はさらに深刻化するだろう。

我々は社会全体で無策を放置した痛みを分け合うことになる。

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